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今日もアンリは両親に怒られていた。
学校の授業が延び、夕御飯の支度が遅れてしまったのだ。
「この子はいつまで待たせる気だい。夜中になっちまうよ」
「おい、今日は鶏肉の煮込みだったはずだろ!!しかもサラダにトマトが入ってないじゃないか!!」
「ごめんなさい、学校が延びてしまって。鶏肉を買いに行く時間が無かったんです。トマトは、まだ収穫が出来るほど育たなくて……」
「お前の魔法が弱いからだろ!!」
バシッと鈍い音が響き、アンリの左頬が叩かれる。
「痛っ、ごめんなさい!!」
咄嗟に謝るも、両親の怒りは収まらない。
「お前は言ってもわからないし、料理もまともに出来ないのだから、今日から納屋で寝てもらおうかねぇ」
「それはいい。この家はこいつにはもったいない。さあ、さっさと納屋に行け!!」
母の意見に賛成した父が、アンリを納屋へと追い立てた。
兄は止めもせず、ただニヤニヤと笑って見ていた。
納屋へと連れられ、外から鍵をかけられたアンリは途方に暮れて泣いていた。
ポケットに入っていたハンカチを、水魔法で濡らし、叩かれた左頬を冷やす。
その時、控えめな声が外から聴こえた。
「アンリ?もしかしてここに閉じ込められているの?居たら返事をして」
マイクだ。
「マイク!あの、私、ちょっとここに用事があって」
「誤魔化さないでいいよ。閉じ込められているんだね。今、人を呼んでくる。こんなの酷すぎるよ」
「待ってマイク、違うの!!」
呼び止めるアンリの声を無視して、マイクの足音が遠ざかる。
どうしよう……。
私のせいなのに、大事になってしまったらこれからどうしたら……。
これ以上のお仕置きなんて、イヤ!!
アンリがしゃがみこんで頭を抱えたときだった。
パッと辺りが明るくなったような気がして顔を上げる。
それと同時に、耳をつんざくような歓声と地響きを感じ、アンリは思わず立ち上がった。
何が起きたの?
立ち上がったアンリの前には、見たことのないほどの人の群れだった。
口々に歓声を上げている。
「召喚は成功だー!!」
「バンザーイ!!」
「これで救われるぞー!!」
「ありがたやー!!」
皆、アンリを見て興奮し、泣いたり拝んだりしている。
とにかくすごい熱気に圧倒されたが、さっきまで納屋にいたはずのアンリには意味がわからなかった。
これは夢?
私、泣きながら寝てしまったのかしら。
目の前の光景に理解が追い付かず、夢だと思ったアンリに、二人の男性が近付く。
「よくぞいらして下さいました、聖女様」
言いながら二人は片膝を付き、頭を下げた。
聖女様?
聞き慣れない言葉に首を傾げる。
「ああ、まだ状況がおわかりにならないですよね。今からご説明致しますので、ご安心下さい」
いえ、全然安心出来る気がしないのですが……。
と思いつつ、二人の男性に膝を付かせていることが申し訳なく、慌てて立ち上がってもらおうとするアンリであった。
学校の授業が延び、夕御飯の支度が遅れてしまったのだ。
「この子はいつまで待たせる気だい。夜中になっちまうよ」
「おい、今日は鶏肉の煮込みだったはずだろ!!しかもサラダにトマトが入ってないじゃないか!!」
「ごめんなさい、学校が延びてしまって。鶏肉を買いに行く時間が無かったんです。トマトは、まだ収穫が出来るほど育たなくて……」
「お前の魔法が弱いからだろ!!」
バシッと鈍い音が響き、アンリの左頬が叩かれる。
「痛っ、ごめんなさい!!」
咄嗟に謝るも、両親の怒りは収まらない。
「お前は言ってもわからないし、料理もまともに出来ないのだから、今日から納屋で寝てもらおうかねぇ」
「それはいい。この家はこいつにはもったいない。さあ、さっさと納屋に行け!!」
母の意見に賛成した父が、アンリを納屋へと追い立てた。
兄は止めもせず、ただニヤニヤと笑って見ていた。
納屋へと連れられ、外から鍵をかけられたアンリは途方に暮れて泣いていた。
ポケットに入っていたハンカチを、水魔法で濡らし、叩かれた左頬を冷やす。
その時、控えめな声が外から聴こえた。
「アンリ?もしかしてここに閉じ込められているの?居たら返事をして」
マイクだ。
「マイク!あの、私、ちょっとここに用事があって」
「誤魔化さないでいいよ。閉じ込められているんだね。今、人を呼んでくる。こんなの酷すぎるよ」
「待ってマイク、違うの!!」
呼び止めるアンリの声を無視して、マイクの足音が遠ざかる。
どうしよう……。
私のせいなのに、大事になってしまったらこれからどうしたら……。
これ以上のお仕置きなんて、イヤ!!
アンリがしゃがみこんで頭を抱えたときだった。
パッと辺りが明るくなったような気がして顔を上げる。
それと同時に、耳をつんざくような歓声と地響きを感じ、アンリは思わず立ち上がった。
何が起きたの?
立ち上がったアンリの前には、見たことのないほどの人の群れだった。
口々に歓声を上げている。
「召喚は成功だー!!」
「バンザーイ!!」
「これで救われるぞー!!」
「ありがたやー!!」
皆、アンリを見て興奮し、泣いたり拝んだりしている。
とにかくすごい熱気に圧倒されたが、さっきまで納屋にいたはずのアンリには意味がわからなかった。
これは夢?
私、泣きながら寝てしまったのかしら。
目の前の光景に理解が追い付かず、夢だと思ったアンリに、二人の男性が近付く。
「よくぞいらして下さいました、聖女様」
言いながら二人は片膝を付き、頭を下げた。
聖女様?
聞き慣れない言葉に首を傾げる。
「ああ、まだ状況がおわかりにならないですよね。今からご説明致しますので、ご安心下さい」
いえ、全然安心出来る気がしないのですが……。
と思いつつ、二人の男性に膝を付かせていることが申し訳なく、慌てて立ち上がってもらおうとするアンリであった。
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