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ソフィーのファッションチェック。

「ライアン様、ライアン様はファッションの重要性を軽んじていらっしゃいます！」

ソフィーは強気に攻めることにした。
ライアンは案外話を聞いてくれるタイプの人間だとわかったからだ。

「特に軽んじているつもりはない。重要だとも思ってはいないが。」

「ですから、そこが駄目なのですよ！人は見た目で判断される部分が大きいです。清潔感があり、場に合った服を選んでいるというのは、最低ラインを越えているだけなのです。そこに少しお洒落をプラスすることで、印象が変わり、社交性が加わって、仕事もうまくいくのです！！」

ソフィーは熱く語るが、ライアンの反応はいまいちだ。

「そうか？そんなことないだろう。人は中身が大事だからな。」

「もちろん中身は大切ですが、中身を知る為にも、まずはコミュニケーションが必須です。ファッションはコミュニケーションを生むのです！」

ピンと来ないらしいライアンに、どう納得させようかとソフィーが悩んでいると、ジェーンが助け船を出した。

「ソフィー様、ちなみにライアン様の服装をどのように変えれば、皆様に受け入れられやすくなりますか？興味があります。」

ジェーンさん、ナイスアシストです！！

「そうですね。ライアン様はスラッと背が高いので、コートはもう少し丈が欲しいんですけど、今出来ることは・・・」

ソフィーは自分のポケットからアプリコット色のハンカチを取り出すと、ライアンに近付いた。

「失礼しますね。」

ライアンの白いチーフを抜き取り、アプリコット色のハンカチを代わりに差した。

「明るい色の方が印象が華やかで、話しかけやすいですからね。折り方もカジュアルに。首回りも堅苦しいので、もう少し弛めて、カフスボタンがもう少し派手なものがあれば良かったですね。」

急にソフィーに近寄られ、ライアンは内心動揺し、ただされるがままになっている。

「ソフィー様、これはいかがでしょう？」

ジェーンがエプロンのポケットから小箱を取り出し、開けて見せたので、ソフィーは近付いて小箱の中を覗いてみた。

「綺麗なカフス！なぜジェーンさんがこれを？」

魔法使いのように、ソフィーの望むものを出してみせたジェーンに、驚きが隠せない。

「ふふふ、ソフィー様がいらっしゃると聞いていたので、お二人が会われる前に、ライアン様にお洒落をしていただこうと持っていたのです。直接お庭に行かれたので、私の計画は失敗してしまいました。」

チャーミングな笑顔で謎解きをすると、ジェーンはソフィーの手にカフスを乗せた。

「どうぞお使い下さい。」

「ジェーンさん、ありがとうございます！！」

ソフィーはジェーンの手をぎゅっと握ると、嬉しそうに微笑んだ。
ジェーンも笑っていて、二人はお互い気が合うのを感じていた。

ソフィーは、一人椅子に取り残されていたライアンのところに戻ると、カフスを付け替えた。

「よし！服はこんなものでしょう。あとは・・・」

座るライアンを少しだけ見下ろしながら、何か考え付いたソフィーはいたずらっぽく笑う。

「なんだ、その顔は。嫌な予感しかしないぞ。」

失礼なことを言うライアンを無視したまま、ソフィーはライアンの髪に手をかけた。