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二組目のカップル誕生
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「まさか、ジェシカに想う方がいただなんて……。水くさいですわよね」
「私も驚いたわ。しかも、フレデリク様ともう婚約まで結んだらしいわよ? 目まぐるし過ぎてついていけないわ」
ミシェルに話しかけられ、頷くアリシア。
彼女たちが少し拗ねた顔で見つめる先には、幸せそうに笑い合うジェシカとフレデリクの姿があった。
前回の夜会でお互いの想いを確かめ合った二人は、あっという間に両家の承諾を得て、婚約を結んだらしい。
普段おっとりしている二人にしては、恐るべき行動の早さである。
そんなこんなで、三人の中でいつの間にか唯一の婚約者持ちになっていたジェシカは、フレデリクにエスコートをされて、今夜の夜会に現れたというわけだ。
いやいや、おめでたいけれども!
ついこの前までは、三人で仲良く過ごしていたのに……。
アリシアは寂しさを感じずにはいられなかった。
もちろん、赤い糸についても気になる点が多い。
結局、あの赤い糸は運命の人に繋がっていたってことになるのかしら。
まだ先のことはわからないにしても、とりあえず二人は幸せそうにしているし。
……ううん、まだ一組のカップルだけで結論を出すのは早いわ。
たまたまかもしれないもの。
もっと事例を集めないと。
アリシアはローストビーフを口に入れたが、なんだかあまり美味しくない。
ミシェルを見れば彼女も同じなのか、モソモソと口を動かしてはいるものの、目はどこか虚ろだ。
親友の恋が実ったのは喜ばしいことだが、ミシェルも寂しいのかもしれない。
ふいにミシェルがボソッと呟いた。
「ジェシカがうらやましいですわ。あの方はいつになったらわたくしを女性として見てくれるのかしら……」
んんっ!?
なんだか意味深なセリフが聞こえたのだけど?
「ミシェル、あの方って誰? もしかしてミシェルにも好きな人がいるの?」
アリシアが詰め寄ると、ミシェルは美しい弧を描く眉をへにょんと落とした。
ビンゴ!
ミシェル、お前もか!
アリシアが驚いて言葉を失くしていると、二人に近付く靴音があった。
「アリシア、なにしけた顔で肉食ってるんだよ」
「お兄様!」
声をかけてきたのはアリシアの兄、シルヴァンだった。
三つ年上で現在二十歳の彼は、騎士団員として働いている。
見た目は悪くないのだが、いかんせん口調と態度が貴族らしくなく、両親は頭を抱えている。
夜会ではアリシアのエスコート役のくせに、いつもフラフラとどこかへ消えていた。
まあ、食事がメインのアリシアは、兄が居なくても困ることはなかったのだが……。
つまり、ある意味似た者兄妹の二人だった。
「さては、ジェシカに婚約者ができて悔しいんだろ?」
「別に悔しくなんかないわよ。お兄様こそ、いつまでも独り身で可哀想ね」
「俺は別に……」
そこでシルヴァンはミシェルに視線をやった。
「よう、ミシェル。久しぶりだな」
「シルヴァンお兄様、お久しぶりですわ」
幼馴染のミシェルは、昔からシルヴァンを『お兄様』と呼んで慕っている。
さっきまで落ち込んでいたはずのミシェルが、どこか弾むような声で挨拶をしていることにアリシアは違和感を感じた。
落ち着かない様子で髪を触っているが、そんな態度も珍しい。
何かがおかしかった。
「お兄様、私たちは大事な話をしている途中なのです。邪魔をしないでもらえますか?」
そうよ、私はミシェルの好きな人を教えてもらって、恋を応援するところだったんだから!
アリシアがミシェルと腕を組んだその瞬間、目に入ってきたのはもちろん赤い糸で。
今度はミシェルに赤い糸が!
一体誰に繋がっているのかしら?
しかし、今回は行方を辿るまでもなかった。
だって、すでに見えているのだ。
ミシェルの赤い糸の先が、目の前に立っているシルヴァンの小指に結ばれているのを——。
なんてこと!
ミシェルの運命の相手はお兄様だというの?
驚愕している間に、アリシア抜きで二人の会話が続いていく。
「『お兄様』か…。ミシェルもすっかり綺麗になっちまって、これじゃあ妹だと思えなくなりそうだ」
「それは……本当ですか? でしたら、これからはわたくしを女性として見てくださいませ」
「ミシェル……」
「お兄……いえ、シルヴァン様……」
しばらく見つめ合った二人は、ダンスをする為にその場を離れていった。
アリシアを一人残して——。
マジか!
え、私一人ぼっちになっちゃった……。
こうして、立て続けに二組のカップルが生まれたのだった。
「私も驚いたわ。しかも、フレデリク様ともう婚約まで結んだらしいわよ? 目まぐるし過ぎてついていけないわ」
ミシェルに話しかけられ、頷くアリシア。
彼女たちが少し拗ねた顔で見つめる先には、幸せそうに笑い合うジェシカとフレデリクの姿があった。
前回の夜会でお互いの想いを確かめ合った二人は、あっという間に両家の承諾を得て、婚約を結んだらしい。
普段おっとりしている二人にしては、恐るべき行動の早さである。
そんなこんなで、三人の中でいつの間にか唯一の婚約者持ちになっていたジェシカは、フレデリクにエスコートをされて、今夜の夜会に現れたというわけだ。
いやいや、おめでたいけれども!
ついこの前までは、三人で仲良く過ごしていたのに……。
アリシアは寂しさを感じずにはいられなかった。
もちろん、赤い糸についても気になる点が多い。
結局、あの赤い糸は運命の人に繋がっていたってことになるのかしら。
まだ先のことはわからないにしても、とりあえず二人は幸せそうにしているし。
……ううん、まだ一組のカップルだけで結論を出すのは早いわ。
たまたまかもしれないもの。
もっと事例を集めないと。
アリシアはローストビーフを口に入れたが、なんだかあまり美味しくない。
ミシェルを見れば彼女も同じなのか、モソモソと口を動かしてはいるものの、目はどこか虚ろだ。
親友の恋が実ったのは喜ばしいことだが、ミシェルも寂しいのかもしれない。
ふいにミシェルがボソッと呟いた。
「ジェシカがうらやましいですわ。あの方はいつになったらわたくしを女性として見てくれるのかしら……」
んんっ!?
なんだか意味深なセリフが聞こえたのだけど?
「ミシェル、あの方って誰? もしかしてミシェルにも好きな人がいるの?」
アリシアが詰め寄ると、ミシェルは美しい弧を描く眉をへにょんと落とした。
ビンゴ!
ミシェル、お前もか!
アリシアが驚いて言葉を失くしていると、二人に近付く靴音があった。
「アリシア、なにしけた顔で肉食ってるんだよ」
「お兄様!」
声をかけてきたのはアリシアの兄、シルヴァンだった。
三つ年上で現在二十歳の彼は、騎士団員として働いている。
見た目は悪くないのだが、いかんせん口調と態度が貴族らしくなく、両親は頭を抱えている。
夜会ではアリシアのエスコート役のくせに、いつもフラフラとどこかへ消えていた。
まあ、食事がメインのアリシアは、兄が居なくても困ることはなかったのだが……。
つまり、ある意味似た者兄妹の二人だった。
「さては、ジェシカに婚約者ができて悔しいんだろ?」
「別に悔しくなんかないわよ。お兄様こそ、いつまでも独り身で可哀想ね」
「俺は別に……」
そこでシルヴァンはミシェルに視線をやった。
「よう、ミシェル。久しぶりだな」
「シルヴァンお兄様、お久しぶりですわ」
幼馴染のミシェルは、昔からシルヴァンを『お兄様』と呼んで慕っている。
さっきまで落ち込んでいたはずのミシェルが、どこか弾むような声で挨拶をしていることにアリシアは違和感を感じた。
落ち着かない様子で髪を触っているが、そんな態度も珍しい。
何かがおかしかった。
「お兄様、私たちは大事な話をしている途中なのです。邪魔をしないでもらえますか?」
そうよ、私はミシェルの好きな人を教えてもらって、恋を応援するところだったんだから!
アリシアがミシェルと腕を組んだその瞬間、目に入ってきたのはもちろん赤い糸で。
今度はミシェルに赤い糸が!
一体誰に繋がっているのかしら?
しかし、今回は行方を辿るまでもなかった。
だって、すでに見えているのだ。
ミシェルの赤い糸の先が、目の前に立っているシルヴァンの小指に結ばれているのを——。
なんてこと!
ミシェルの運命の相手はお兄様だというの?
驚愕している間に、アリシア抜きで二人の会話が続いていく。
「『お兄様』か…。ミシェルもすっかり綺麗になっちまって、これじゃあ妹だと思えなくなりそうだ」
「それは……本当ですか? でしたら、これからはわたくしを女性として見てくださいませ」
「ミシェル……」
「お兄……いえ、シルヴァン様……」
しばらく見つめ合った二人は、ダンスをする為にその場を離れていった。
アリシアを一人残して——。
マジか!
え、私一人ぼっちになっちゃった……。
こうして、立て続けに二組のカップルが生まれたのだった。
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