58 / 79
仮装パーティー その1
しおりを挟む
キリ洋菓子店に戻ったサクラとイマリはハイジのごとく夜は星の見える屋根裏部屋でかみ合わない女子トーク?に花を咲かせる。
「タルトや、栗ようかんのお菓子作りが習いたいって人が店に時々やって来たけど、あれほどいるとは思わなかったわ」
領主鄭の門の前に張り出されていた‘キリの菓子工房への就労を希望される方‘の前で並んでいた人のことを思い出してサクラがため息を吐く。
「OLさんや学生さんや主婦の方など誰もが気軽に通えるお菓子作り教室を開けるといいんだけど」
「そうですね。キリのお菓子は珍しい物が多いし、甘い物が苦手な人にも喜ばれると評判ですから。皆さん作り方が知りたいのです」
純粋にそんな人ばかりではないのだが、そこは言わないでおく。
多くの希望者の中からこの度、技術習得のためにキリ洋菓子店に就職した女性はイマリの他に2人。
なんと、領主鄭で一緒に並んだピンクのキャップのオシャレな彼女と、スーツケースを引いて菓子本を読んでいた彼女だった。
ヨンハ様ファンのオシャレな彼女は祇家出身で、名前をナツという。
黒縁の丸い眼鏡をかけた生真面目そうな彼女は嶺家出身で、名前はイツキという。
「不定期でもいいからお教室を開けたらいいんだけれど。資金が問題よね」
そんなもの、ミセイエル様におねだりすれば最高級のものを今すぐ揃えて下さいますわ。
ため息交じりのサクラの言葉に言いたいことが言えないイマリもため息を吐く。
それぞれが別の理由でローテンションなのだが、そんなことには気づかないサクラだ。
イマリにキリ菓子工房の未来を熱く語る。
「みんなから愛される工房を作るために、目下の課題は月末のイベントをどう乗り切るかと、お菓子作り教室のための資金をどうやって貯めるかよね。何かいいアイデアはない?」
聞かれたイマリは、ミセイエル様に相談すればお金も企画書もすぐに出してくれて一発で解決です、と叫び出しそうな口に手を当てて首を横に振る。
最近サクラの提案で、焼きたての菓子とそれに合う飲み物を提供し、リアルな顧客の要望や感想を手に入れるためにイートインコーナーを新設した。
祇家からクルーザーが来るようになり並んで待つ客のために菓子工房の空きスペースを利用して格安でおこなっているサービスなので、こちらも赤字で利益がない。
当然新しく開きたい料理教室に投資するお金の余裕がないのだ。
それに加えて、毎年この豊穣祭はキヌア中が大いに盛り上がり、あちらこちらで色々なイベントが行われる。
1週間前から町のそこここで仮装行列が出来たり、子供たちがお菓子をねだったり、マーチングバンドが出たりと賑やかだ。
キリ洋菓子店でも毎年仮装でやって来る近所の子供たちに小さな菓子の詰め合わせをプレゼントしていた。
今年は、評判を呼んだチーズタルトのせいで、遠くからも大人たちに連れられて仮装した子供が大量にやって来てくるものだから、プレゼント袋も大量生産となった。
こんなに大量の無料袋の配布をして、お店は大丈夫かな?とプレゼント袋を作りながらサクラは密かに気を揉んだ。
そんな、サクラの心配を知ったキリ母さんがガハハと笑う。
「心配ないよ。あさお様から提案されてちょっとしたオークションを用意したから。サクラたちも協力してね」
え?どんな?
明日はキヌアの豊穣祭の最終日。
イマリ達と豊穣祭イベントに配るお菓子を詰めているとキリ母さんがやって来て、大きな箱をドスンと置いた。
「明日はお店を12時きっかりで閉めるよ。あんたたちも若い娘なんだから、これを着て豊穣祭を楽しんでおいでよ」
そういって箱から取り出したのは、黒クマ、白ネコ、ピンクウサギの着ぐるみだった。
これをどこから調達した?
いやいや、それよりも私たちにも仮装をしろと?
「サクラは、この子みたいに白いネコになったらかわいいよ」
見本のモデルの女の子を指さしてニコニコしている。
どう見ても、頭の出る白い着ぐるみの中に納まっているのは10才以下のかわいい女の子だ。
幼い顔の鼻先に黒いペイントをしてヒゲを描き頭には猫耳が可愛いカチューシャを付けている。
それはもうぬいぐるみみたいで愛くるしい姿だ・・・
ただしそれは少女の年齢だからだ。
18の女がこんな格好をしても、なんだか売れ残ったコスチュームをあてがわれた残念な女子でしかない。
「お母さん。無理です!」
はっきりしっかり否定したのだが。
「はい、持って」
その時ナツの右手が横から伸びてその白ネココスチュームをひったくって私の胸にあてがい、左手が黒クマコスチュームをイツキに押し付けた。
「私はこのピンクのウサギを着るから、あなた達はそれを着て」
白ネコを両手で持たされたサクラは茫然、黒クマを渡されたイツキはよろめいている。
そんな2人にお構いなしに彼女はピンクのウサギを持って”カワイイ~”と絶叫した。
え?3人分?1人は何もしなくていいの?だったら私がそうしたい。
「代わって!イマリ!」
叫んでそ~とイマリの顔を覗き見る。
ニッコリ笑ったイマリが箱の底に残っている黒の布を指さした。
「私はこれを着ます。代わりましょうか?」
そういって、持ち上げたものはロリータ風のフリル付き超ミニスカートのメイド服だ。
そんなものを着たら足はおろか下手をするとお尻まで見えるではないか。
すぐさまブンブンと首を振る。
スラっと足長でほわっと雰囲気のイマリには似合うだろうが、私には白ネコ以上に無理がある。
ナツはすでに当日の顔面プリントをどうするかを妄想しているようだ。
キリ母さんがガックリと項垂れたサクラとイツキの背中をバシンと叩く。
「明日はネコとウサギとクマとメイドになって領主様のお屋敷で現世のしがらみを断って楽しんでおいで」
領主鄭のパーティーなんて、私たち、楽しめるでしょうか?すごく不安なんですけど・・・
と、イツキと顔を見合わせた。
「それと、ね」
と、キリ母さんが言葉を足した。
「明日、リークグループのCEOがお見えになるそうなんだけど、うちも牛のことでお世話になったから、サクラと2人でお礼を言いに行った方がいいと言われたんだけれど、サクラはそういった場所は苦手だろ。あたしも偉い方の前での作法は自信がないし、どうしたものかとあさお様に相談したら、似ているからサクラの代役としてはな様を立てればいいとおっしゃて下さってね。横に立ってもらうことにしたよ。あんたたちも領主鄭の豊穣祭に招待して下さってね、必要なパートナーも一流のエスコートが出来る人を選んで下さるそうだよ」
サクラ様の代役に、あのはな様が?
イマリはその報告を困惑気味に眺めている。
はな様は、あさお様の親友の知り合いだという琉家出身のお嬢様で、祇家のクルーザーが着く日だけイートインコーナーのスタッフとしてお手伝いに来てもらっていた。
彼女の持つ雰囲気や小柄な体つきに柔らかな顔立ちはもともとサクラに似ていたのだが、何度か顔を合わせて話をしているうちに益々似てきたかんがある。
例えば、ちょっと癖のあるしゃべり方とか困ると少しだけ首が右に傾くところとか、初めて会った時には無かったように思う。
サクラは異論どころか煩わしい挨拶をしなくてよくなったと喜んでいる。
嫌な予感がして顔を顰めたイマリにナツが囁いた。
「心配ないわよ。あんたの主もうちの主も外見に騙されるような玉じゃないから」
そして、豊穣祭当日。
店主の指示のもとキリの店には、可愛い白ネコと、セクシーなピンクウサギと、ほのぼの黒クマの売り子がいる。
店の入り口では男性向けコミックに出てきそうなメイド服の女の子が『カワイイ着ぐるみたちと仮装パーティーに参加しませんか』と書かれたプラカードをもって、おっとりと声をかける。
「店の中にいる着ぐるみと過ごす領主鄭での2時間をオークションで買いませんか?」
だから12時きっかりに閉めた店の中はオークション参加者でギュウギュウになった。
「先ずは、メイドさんをエスコートできるチケットからです」
これら4枚のチケットはあっという間に一般人には手の届かない価格まで跳ね上がった。
なぜならこのオークションは仕組まれたもので、豊穣祭が近づいたある日、キリを秘密裏に訪ねて来たあさおに”強制的にお願いをされた”ものだったから。
秘密裏に落札額も落札者もすでに決まっている。
それを全く知らないのはサクラぐらいだろう。
前日に話を聞いたイマリも、ナツも、イツキでさえもこのオークションには何かしらの曰くがついているだろうと思っていて、密かに自分の当主に連絡を入れていて。
どの当主からも同じような返事があって、領家の当主などはと豪快に笑ったという。
『その話ならキヌアのあさおから届いているよ。ゼウス様が行かれるなら肝のすわった腕の立つ者を送り込むから』
だから、田舎のオークションとは思えないほどのスマートさで買い取り価格を吊り上げていった代理人たちがそれぞれの着ぐるみたちの前に立ち、今宵は主をよろしくお願いしますといって深々と頭を下げたのにも動じることはなかった。
こうしてサクラだけが腰が抜けんばかりに驚いたオークションが終わり、領主が用意したヘリに乗り込んだ。
こうして領主鄭に着いた彼女たちはチケットを買った強者のパートナーにエスコートされた。
ナツは白い仮面の存在感のある天界人さんに。
イツキは黒の仮面をつけたサファイヤブルーの瞳とブルーブラックの髪が印象的なガッチリとした躯幹を持つ男性に。
イマリは、あさお様に。
サクラの前にはアイスブルーの目とプラチナブロントの髪をした綺麗すぎる白ネコさんが手を出して、彼女の丸い手を握る。
「かわいいね。サクラ。今日はよろしくね」
ヨンハ様???
(いよいよ、トラブル続出の仮装パーティーの始まりです)
「タルトや、栗ようかんのお菓子作りが習いたいって人が店に時々やって来たけど、あれほどいるとは思わなかったわ」
領主鄭の門の前に張り出されていた‘キリの菓子工房への就労を希望される方‘の前で並んでいた人のことを思い出してサクラがため息を吐く。
「OLさんや学生さんや主婦の方など誰もが気軽に通えるお菓子作り教室を開けるといいんだけど」
「そうですね。キリのお菓子は珍しい物が多いし、甘い物が苦手な人にも喜ばれると評判ですから。皆さん作り方が知りたいのです」
純粋にそんな人ばかりではないのだが、そこは言わないでおく。
多くの希望者の中からこの度、技術習得のためにキリ洋菓子店に就職した女性はイマリの他に2人。
なんと、領主鄭で一緒に並んだピンクのキャップのオシャレな彼女と、スーツケースを引いて菓子本を読んでいた彼女だった。
ヨンハ様ファンのオシャレな彼女は祇家出身で、名前をナツという。
黒縁の丸い眼鏡をかけた生真面目そうな彼女は嶺家出身で、名前はイツキという。
「不定期でもいいからお教室を開けたらいいんだけれど。資金が問題よね」
そんなもの、ミセイエル様におねだりすれば最高級のものを今すぐ揃えて下さいますわ。
ため息交じりのサクラの言葉に言いたいことが言えないイマリもため息を吐く。
それぞれが別の理由でローテンションなのだが、そんなことには気づかないサクラだ。
イマリにキリ菓子工房の未来を熱く語る。
「みんなから愛される工房を作るために、目下の課題は月末のイベントをどう乗り切るかと、お菓子作り教室のための資金をどうやって貯めるかよね。何かいいアイデアはない?」
聞かれたイマリは、ミセイエル様に相談すればお金も企画書もすぐに出してくれて一発で解決です、と叫び出しそうな口に手を当てて首を横に振る。
最近サクラの提案で、焼きたての菓子とそれに合う飲み物を提供し、リアルな顧客の要望や感想を手に入れるためにイートインコーナーを新設した。
祇家からクルーザーが来るようになり並んで待つ客のために菓子工房の空きスペースを利用して格安でおこなっているサービスなので、こちらも赤字で利益がない。
当然新しく開きたい料理教室に投資するお金の余裕がないのだ。
それに加えて、毎年この豊穣祭はキヌア中が大いに盛り上がり、あちらこちらで色々なイベントが行われる。
1週間前から町のそこここで仮装行列が出来たり、子供たちがお菓子をねだったり、マーチングバンドが出たりと賑やかだ。
キリ洋菓子店でも毎年仮装でやって来る近所の子供たちに小さな菓子の詰め合わせをプレゼントしていた。
今年は、評判を呼んだチーズタルトのせいで、遠くからも大人たちに連れられて仮装した子供が大量にやって来てくるものだから、プレゼント袋も大量生産となった。
こんなに大量の無料袋の配布をして、お店は大丈夫かな?とプレゼント袋を作りながらサクラは密かに気を揉んだ。
そんな、サクラの心配を知ったキリ母さんがガハハと笑う。
「心配ないよ。あさお様から提案されてちょっとしたオークションを用意したから。サクラたちも協力してね」
え?どんな?
明日はキヌアの豊穣祭の最終日。
イマリ達と豊穣祭イベントに配るお菓子を詰めているとキリ母さんがやって来て、大きな箱をドスンと置いた。
「明日はお店を12時きっかりで閉めるよ。あんたたちも若い娘なんだから、これを着て豊穣祭を楽しんでおいでよ」
そういって箱から取り出したのは、黒クマ、白ネコ、ピンクウサギの着ぐるみだった。
これをどこから調達した?
いやいや、それよりも私たちにも仮装をしろと?
「サクラは、この子みたいに白いネコになったらかわいいよ」
見本のモデルの女の子を指さしてニコニコしている。
どう見ても、頭の出る白い着ぐるみの中に納まっているのは10才以下のかわいい女の子だ。
幼い顔の鼻先に黒いペイントをしてヒゲを描き頭には猫耳が可愛いカチューシャを付けている。
それはもうぬいぐるみみたいで愛くるしい姿だ・・・
ただしそれは少女の年齢だからだ。
18の女がこんな格好をしても、なんだか売れ残ったコスチュームをあてがわれた残念な女子でしかない。
「お母さん。無理です!」
はっきりしっかり否定したのだが。
「はい、持って」
その時ナツの右手が横から伸びてその白ネココスチュームをひったくって私の胸にあてがい、左手が黒クマコスチュームをイツキに押し付けた。
「私はこのピンクのウサギを着るから、あなた達はそれを着て」
白ネコを両手で持たされたサクラは茫然、黒クマを渡されたイツキはよろめいている。
そんな2人にお構いなしに彼女はピンクのウサギを持って”カワイイ~”と絶叫した。
え?3人分?1人は何もしなくていいの?だったら私がそうしたい。
「代わって!イマリ!」
叫んでそ~とイマリの顔を覗き見る。
ニッコリ笑ったイマリが箱の底に残っている黒の布を指さした。
「私はこれを着ます。代わりましょうか?」
そういって、持ち上げたものはロリータ風のフリル付き超ミニスカートのメイド服だ。
そんなものを着たら足はおろか下手をするとお尻まで見えるではないか。
すぐさまブンブンと首を振る。
スラっと足長でほわっと雰囲気のイマリには似合うだろうが、私には白ネコ以上に無理がある。
ナツはすでに当日の顔面プリントをどうするかを妄想しているようだ。
キリ母さんがガックリと項垂れたサクラとイツキの背中をバシンと叩く。
「明日はネコとウサギとクマとメイドになって領主様のお屋敷で現世のしがらみを断って楽しんでおいで」
領主鄭のパーティーなんて、私たち、楽しめるでしょうか?すごく不安なんですけど・・・
と、イツキと顔を見合わせた。
「それと、ね」
と、キリ母さんが言葉を足した。
「明日、リークグループのCEOがお見えになるそうなんだけど、うちも牛のことでお世話になったから、サクラと2人でお礼を言いに行った方がいいと言われたんだけれど、サクラはそういった場所は苦手だろ。あたしも偉い方の前での作法は自信がないし、どうしたものかとあさお様に相談したら、似ているからサクラの代役としてはな様を立てればいいとおっしゃて下さってね。横に立ってもらうことにしたよ。あんたたちも領主鄭の豊穣祭に招待して下さってね、必要なパートナーも一流のエスコートが出来る人を選んで下さるそうだよ」
サクラ様の代役に、あのはな様が?
イマリはその報告を困惑気味に眺めている。
はな様は、あさお様の親友の知り合いだという琉家出身のお嬢様で、祇家のクルーザーが着く日だけイートインコーナーのスタッフとしてお手伝いに来てもらっていた。
彼女の持つ雰囲気や小柄な体つきに柔らかな顔立ちはもともとサクラに似ていたのだが、何度か顔を合わせて話をしているうちに益々似てきたかんがある。
例えば、ちょっと癖のあるしゃべり方とか困ると少しだけ首が右に傾くところとか、初めて会った時には無かったように思う。
サクラは異論どころか煩わしい挨拶をしなくてよくなったと喜んでいる。
嫌な予感がして顔を顰めたイマリにナツが囁いた。
「心配ないわよ。あんたの主もうちの主も外見に騙されるような玉じゃないから」
そして、豊穣祭当日。
店主の指示のもとキリの店には、可愛い白ネコと、セクシーなピンクウサギと、ほのぼの黒クマの売り子がいる。
店の入り口では男性向けコミックに出てきそうなメイド服の女の子が『カワイイ着ぐるみたちと仮装パーティーに参加しませんか』と書かれたプラカードをもって、おっとりと声をかける。
「店の中にいる着ぐるみと過ごす領主鄭での2時間をオークションで買いませんか?」
だから12時きっかりに閉めた店の中はオークション参加者でギュウギュウになった。
「先ずは、メイドさんをエスコートできるチケットからです」
これら4枚のチケットはあっという間に一般人には手の届かない価格まで跳ね上がった。
なぜならこのオークションは仕組まれたもので、豊穣祭が近づいたある日、キリを秘密裏に訪ねて来たあさおに”強制的にお願いをされた”ものだったから。
秘密裏に落札額も落札者もすでに決まっている。
それを全く知らないのはサクラぐらいだろう。
前日に話を聞いたイマリも、ナツも、イツキでさえもこのオークションには何かしらの曰くがついているだろうと思っていて、密かに自分の当主に連絡を入れていて。
どの当主からも同じような返事があって、領家の当主などはと豪快に笑ったという。
『その話ならキヌアのあさおから届いているよ。ゼウス様が行かれるなら肝のすわった腕の立つ者を送り込むから』
だから、田舎のオークションとは思えないほどのスマートさで買い取り価格を吊り上げていった代理人たちがそれぞれの着ぐるみたちの前に立ち、今宵は主をよろしくお願いしますといって深々と頭を下げたのにも動じることはなかった。
こうしてサクラだけが腰が抜けんばかりに驚いたオークションが終わり、領主が用意したヘリに乗り込んだ。
こうして領主鄭に着いた彼女たちはチケットを買った強者のパートナーにエスコートされた。
ナツは白い仮面の存在感のある天界人さんに。
イツキは黒の仮面をつけたサファイヤブルーの瞳とブルーブラックの髪が印象的なガッチリとした躯幹を持つ男性に。
イマリは、あさお様に。
サクラの前にはアイスブルーの目とプラチナブロントの髪をした綺麗すぎる白ネコさんが手を出して、彼女の丸い手を握る。
「かわいいね。サクラ。今日はよろしくね」
ヨンハ様???
(いよいよ、トラブル続出の仮装パーティーの始まりです)
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる