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秘密の結婚
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「それとクリスノス弁護士を呼び出してくれ。極秘で動いてもらいたいことがあるからリークホテル待機の指示を出して。至急ハノラナに移動するから僕のスケジュールを今から24時間空白にしてくれ」
その無茶ぶりに秘書が目を剥く。
「明日はリークグループの創立記念パーティーがあるんですよ!できるわけないじゃないですか!」
「だからいいんだ。天界のお歴々が大集合して身動きが取れないはずだ。僕は高熱で欠席。代理代行はヨンサンが行う。これは決定事項だ」
「失礼ですが、あなたが本当にハナ・コートさんですか?」
面会を求められてホテルのロビーに向かうと50代の紳士はいぶかしげな視線を向けて目を瞬かせた。
値踏みするような視線を向けられて、どういう意味ですか?と表情で問いかると、慌てて頭を下げられた。
「失礼しました。私は当ホテルで顧問弁護士をしておりますピート・クリスノスと申します。当ホテルの勤務者が身元不明者では困りますから、あなたの事も少し調べさせて頂きました。こちらにおい出になる前は桜州にお住まいだったとか。桜州のどちらのご出身ですか?」
温厚な口調だが、鋭いまなざしの上品な紳士の問いかけに笑顔を作ったサクラだが手のひらに汗がにじむ。
「ユークシャスです」
義従妹のリュウオンから、自分とはハトコの関係で、出身は桜州のユークシャス両親は早くに亡くこの度親代わりだった祖母が亡くなったのでリュウオンを訪ね、彼の義母であるリオンと同居することになった、と過去を設定していた。
なまじ嘘ではないので言葉はスムーズに出たのだが、致命的だったのが、ユークシャスが神の山と同じだと聞いていた点だった。
「ああ、ユークシャスですか。あそこは最近ネット利用が便利とかでIT企業がビルを建てて随分近代的になりましたよね」
「ええ、そうですね」
途端、温厚だった紳士の顔が敏腕検事が犯人を追及するそれに代わった。
「ハナさん、欧州のユークシャスは州法で定められた開発禁止区域なんです。外観を統一するためにビルは建てられないし、住宅を建てるのでさえ役所の許可が必要です。それにハナ・コートという人物を調べさせて頂きましたが、戸籍はあっても誰も彼女のことを知らないんです。これはどういう事なんでしょうね?」
彼はまるで秘密を漏らすようにその上品な顔をサクラの耳元に近づけた。
「それからリオン・シーさんですが、彼女の働くレストランもうちの系列でしてね。調べさせて頂きました。嶺州のネルス出身ということになっていますが家族や生い立ちがないんです。天界で長期間過ごして落花となった人に多い事例なんですよね。落花はこの世界では疎まれる。高級店の雇われオーナーには向きません。解雇です」
解雇、頭の中がぐらりと揺れて顔は青くなり、噛んだ唇に血がにじむ。
夫を亡くした上に馴染んだ生活の場を奪われ過去を捨てなければならなかった叔母が、自分が来たせいでやっと落ち着いた今の生活奪われてしまう。
困惑と、悲しみと、権力者の脅しにも似た威圧感への憤り。
混じったグジャグジャの心のままに相手をにらむ。
それを見た紳士がフフフと笑う。
「そんなお顔をなさらないで下さい。当ホテルは身元のはっきりしない者は採用しない規則なんですが、あなたのお返事次第です」
「返事?」
「改めてお話があります」
男について入った部屋は、眼下にプライベートビーチを臨むエメラルドグリーンの海が一望できるキッチン付きのものでリビングに寝室が2つある豪華なもので、宿泊料金は確か自分の給料の1ヵ月分より高かったはず。
だがそんなものには興味がない。
「どういうお話でしょう?」
最初に切り出したのはサクラだった。
「あのミセイエルが極秘結婚を望む女性が、あなたのような普通の少女とは意外でした。それにせっかちなんですね。お茶を運ばせますから、景色でも楽しんだらどうですか?」
「そんな気分にはなれません。自分を値踏みするように見る人とお茶をする趣味はありませんから」
「一本取られたね。ピート」
くぐもった声がして振り返ると観葉植物の陰にカジュアルな格好でくつろいでいる不審人物がいる。
サングラスに明るい色の野球帽を被りマスクをして顔の作りを隠していて、まるで不振人物!
目の前の紳士が目を見開いた。
「同席されるおつもりですか」
「ああ、交渉結果に興味があるからね」
あの、どちら様ですか?と問いかけても上から目線で完全無視を決め込んでいる。
「では、交渉に移りましょう。ハナさん、あなたは確かな身元が必要でいらっしゃる。そして私の雇用主は家や親戚筋のしがらみがない方との結婚を望んでいらっしゃる。あなたは結婚することで身元が保証され、あの方はしがらみの多い求婚相手から解放される。いかがですか?」
「何がですか?」
「鈍い人ですね。結婚ですよ」
「誰がですか?」
やっぱり意味が分からない。
「雇用の継続の条件は、あなたとミセイエル様の結婚です。勿論戸籍上だけのことで、あなたの生活は今と変わりませんよ」
「ミセイエル様?そんな人知りません」
「戸籍上だけですから、問題ありません」
「それは名前を貸すだけ?」
「ええ、生活はお互いに自由です」
「本当に叔母に迷惑は掛かりませんか?落花などと噂が立って、叔母が職を失うことになったらそれこそ耐えられません」
「その点はご心配なく。お望みなら土地建物・経営権などレストランのすべての権利をリオン様に譲渡しますから」
名前を貸すだけで今の生活が続く?新手の詐欺かも?とも思ってみる。
「私との結婚を望まれる方は心の無いお金持ちなのですか?でなければ戸籍だけの結婚なんてしませんよね」
「ええ、心はないですが絶大な権力と特殊能力もお持ちです。他者に詮索を許したりはしませんからスキャンダル的な記事が出ることはありません。ちなみに、この話を蹴ってこの地を去っても、あの方の目の届かないところはありませんから、真っ当な生活などできません」
嫌味を吐くと嫌味を返されたうえに、威圧的で半ば脅迫めいた言葉で追い詰められて唇を噛む。
「生活は変わらないのですね」
「ええ、あなたからアクションを起こさない限り、あの方にその意思はありません」
「まあ、必要に応じて、公共の場では多少ご協力も求めるが」
それまで口を開かなかった不審人物が愉快口調で茶々を入れる。
「多少の協力?」
「例えば寄って来る女性陣をけん制するために、夫を愛している妻を演じるとか」
「それは、難しいかもしれません」
「では、夫の方が積極的に愛情表現をする」
笑いを含んだミセイエルの声に弁護士は咳払いを一つして訪ねた。
「いかがですか?」
追い詰められて他に選択肢がないのなら、受けるしかないじゃないか。
「結婚の承諾をすると本当にあのレストランが叔母のものになって、叔母の生活は保障されるんですね」
こちらの要求を念押しする。
「ええ、勿論です」
「わかりました。結婚誓約書にサインはします。でもこの契約は秘密にしてください」
ミセイエルが軽く頷くのを見て弁護士が口を開く。
「承知しました。では結婚に必要な書類はこちらで準備します。用意でき次第に連絡しますのでサインをしにデリカにある私の事務所までおいでください」
3週間ほどたって書類がそろったと連絡があり、デリカに向かうと弁護士が契約書について丁寧に説明してくれながらサインの場所を示した。
そして結婚届にサインをすると、宝石商がやって来て鍵付きの鞄を開けた。
豪華な宝石の付いた婚約指輪やシンプルだが上品に加工された結婚指輪が並んでいる。
「どうぞ、お好きな物を選んでください」
サクラはしばらく高価な指輪を睨んだあと心の不安を口にした。
「私の夫は本当に普通の暮らしをしている方ではないのですね。世間様から敬遠されている方ですか?例えばお名前を出しただけで皆様が顔を背けるような」
その言葉に弁護士と宝石商が同時に吹いた。
「確かに一般人とは少し違いますが、決して嫌われているわけではなく、むしろその逆で、あの方との結婚を望まれる女性は大勢おりますし、ハナさんがあの方の結婚相手だと知れると、媚びる者やり利権欲しさにすり寄る者、やっかみから誹謗中傷する者が出ないとも限りません。ですからミセイエル・イーツ様の名前は出さない方が賢明かと思われます」
サクラが首を傾げる。
「どうして、そんな方が私なんかを選ばれたのですか?」
やっぱり納得がいかないと、再度訪ねたがやはり同じ事が繰り返される。
「先日も申し上げましたが、あの方の結婚条件は少々複雑で、相手を隠しておきたいのです」
もうどうでもいい、と投げやりな気持ちで自分を納得させると、大事な叔母の役に立てた喜びが沸いて来る。
「わかりました。私の夫は人もうらやむお金持ちですが少々偏屈で変わった価値観をお持ちで、面倒くさい親戚の方が大勢いらっしゃる不細工さんだから結婚のサインの時にも顔をお出しにならないのですね。お年は90歳ぐらいで寝たきりだとか」
自分の結婚相手を勝手に楽しい気持ちで想像すると独特の魅惑的な笑みが漏れる。
サクラにとって戸籍上の夫など、紙に書いた餅と一緒で美しかろうが寝たきりでカビの生えた人物であろうとどうでもいい。
叔母との生活を護れればそれで満足だ。
素直な幸福感から零れた笑みは、暖かなきらめきを放って天界人2人を魅了する。
ハナ様、他に要望はございませんか?ハナ様ピアスやネックレスもお持ちになりますか?
無論何もいらないのだが。
上から目線の彼らが突然、ハナ様を連発し始めて彼女の首が傾く?
結婚指輪だけはつけてもらわないと困る、と強制され一番安価な指輪を選んで事務所を出た。
帰りに空港に隣接する交番に寄り、傘のことを聞いたがやはり傘が手元に戻る様子はなく、肩を落とす。
落胆した気持ちと、見えない相手との結婚で左手薬指に嵌めた高価な指輪がやけに重たく感じた。
一番安いのはどれですか?と聞いたサクラに宝石商が、こちらのものはすべて一点ものでしてそれなりのお値段です、と言われてしまった。
まさか、新手の結婚詐欺じゃないよね?犯罪がらみ?ってことないよね?
(サクラさん、あなたが結婚した人って寝たきり老人より鬱陶しい天界の権力者ですよ~)
その無茶ぶりに秘書が目を剥く。
「明日はリークグループの創立記念パーティーがあるんですよ!できるわけないじゃないですか!」
「だからいいんだ。天界のお歴々が大集合して身動きが取れないはずだ。僕は高熱で欠席。代理代行はヨンサンが行う。これは決定事項だ」
「失礼ですが、あなたが本当にハナ・コートさんですか?」
面会を求められてホテルのロビーに向かうと50代の紳士はいぶかしげな視線を向けて目を瞬かせた。
値踏みするような視線を向けられて、どういう意味ですか?と表情で問いかると、慌てて頭を下げられた。
「失礼しました。私は当ホテルで顧問弁護士をしておりますピート・クリスノスと申します。当ホテルの勤務者が身元不明者では困りますから、あなたの事も少し調べさせて頂きました。こちらにおい出になる前は桜州にお住まいだったとか。桜州のどちらのご出身ですか?」
温厚な口調だが、鋭いまなざしの上品な紳士の問いかけに笑顔を作ったサクラだが手のひらに汗がにじむ。
「ユークシャスです」
義従妹のリュウオンから、自分とはハトコの関係で、出身は桜州のユークシャス両親は早くに亡くこの度親代わりだった祖母が亡くなったのでリュウオンを訪ね、彼の義母であるリオンと同居することになった、と過去を設定していた。
なまじ嘘ではないので言葉はスムーズに出たのだが、致命的だったのが、ユークシャスが神の山と同じだと聞いていた点だった。
「ああ、ユークシャスですか。あそこは最近ネット利用が便利とかでIT企業がビルを建てて随分近代的になりましたよね」
「ええ、そうですね」
途端、温厚だった紳士の顔が敏腕検事が犯人を追及するそれに代わった。
「ハナさん、欧州のユークシャスは州法で定められた開発禁止区域なんです。外観を統一するためにビルは建てられないし、住宅を建てるのでさえ役所の許可が必要です。それにハナ・コートという人物を調べさせて頂きましたが、戸籍はあっても誰も彼女のことを知らないんです。これはどういう事なんでしょうね?」
彼はまるで秘密を漏らすようにその上品な顔をサクラの耳元に近づけた。
「それからリオン・シーさんですが、彼女の働くレストランもうちの系列でしてね。調べさせて頂きました。嶺州のネルス出身ということになっていますが家族や生い立ちがないんです。天界で長期間過ごして落花となった人に多い事例なんですよね。落花はこの世界では疎まれる。高級店の雇われオーナーには向きません。解雇です」
解雇、頭の中がぐらりと揺れて顔は青くなり、噛んだ唇に血がにじむ。
夫を亡くした上に馴染んだ生活の場を奪われ過去を捨てなければならなかった叔母が、自分が来たせいでやっと落ち着いた今の生活奪われてしまう。
困惑と、悲しみと、権力者の脅しにも似た威圧感への憤り。
混じったグジャグジャの心のままに相手をにらむ。
それを見た紳士がフフフと笑う。
「そんなお顔をなさらないで下さい。当ホテルは身元のはっきりしない者は採用しない規則なんですが、あなたのお返事次第です」
「返事?」
「改めてお話があります」
男について入った部屋は、眼下にプライベートビーチを臨むエメラルドグリーンの海が一望できるキッチン付きのものでリビングに寝室が2つある豪華なもので、宿泊料金は確か自分の給料の1ヵ月分より高かったはず。
だがそんなものには興味がない。
「どういうお話でしょう?」
最初に切り出したのはサクラだった。
「あのミセイエルが極秘結婚を望む女性が、あなたのような普通の少女とは意外でした。それにせっかちなんですね。お茶を運ばせますから、景色でも楽しんだらどうですか?」
「そんな気分にはなれません。自分を値踏みするように見る人とお茶をする趣味はありませんから」
「一本取られたね。ピート」
くぐもった声がして振り返ると観葉植物の陰にカジュアルな格好でくつろいでいる不審人物がいる。
サングラスに明るい色の野球帽を被りマスクをして顔の作りを隠していて、まるで不振人物!
目の前の紳士が目を見開いた。
「同席されるおつもりですか」
「ああ、交渉結果に興味があるからね」
あの、どちら様ですか?と問いかけても上から目線で完全無視を決め込んでいる。
「では、交渉に移りましょう。ハナさん、あなたは確かな身元が必要でいらっしゃる。そして私の雇用主は家や親戚筋のしがらみがない方との結婚を望んでいらっしゃる。あなたは結婚することで身元が保証され、あの方はしがらみの多い求婚相手から解放される。いかがですか?」
「何がですか?」
「鈍い人ですね。結婚ですよ」
「誰がですか?」
やっぱり意味が分からない。
「雇用の継続の条件は、あなたとミセイエル様の結婚です。勿論戸籍上だけのことで、あなたの生活は今と変わりませんよ」
「ミセイエル様?そんな人知りません」
「戸籍上だけですから、問題ありません」
「それは名前を貸すだけ?」
「ええ、生活はお互いに自由です」
「本当に叔母に迷惑は掛かりませんか?落花などと噂が立って、叔母が職を失うことになったらそれこそ耐えられません」
「その点はご心配なく。お望みなら土地建物・経営権などレストランのすべての権利をリオン様に譲渡しますから」
名前を貸すだけで今の生活が続く?新手の詐欺かも?とも思ってみる。
「私との結婚を望まれる方は心の無いお金持ちなのですか?でなければ戸籍だけの結婚なんてしませんよね」
「ええ、心はないですが絶大な権力と特殊能力もお持ちです。他者に詮索を許したりはしませんからスキャンダル的な記事が出ることはありません。ちなみに、この話を蹴ってこの地を去っても、あの方の目の届かないところはありませんから、真っ当な生活などできません」
嫌味を吐くと嫌味を返されたうえに、威圧的で半ば脅迫めいた言葉で追い詰められて唇を噛む。
「生活は変わらないのですね」
「ええ、あなたからアクションを起こさない限り、あの方にその意思はありません」
「まあ、必要に応じて、公共の場では多少ご協力も求めるが」
それまで口を開かなかった不審人物が愉快口調で茶々を入れる。
「多少の協力?」
「例えば寄って来る女性陣をけん制するために、夫を愛している妻を演じるとか」
「それは、難しいかもしれません」
「では、夫の方が積極的に愛情表現をする」
笑いを含んだミセイエルの声に弁護士は咳払いを一つして訪ねた。
「いかがですか?」
追い詰められて他に選択肢がないのなら、受けるしかないじゃないか。
「結婚の承諾をすると本当にあのレストランが叔母のものになって、叔母の生活は保障されるんですね」
こちらの要求を念押しする。
「ええ、勿論です」
「わかりました。結婚誓約書にサインはします。でもこの契約は秘密にしてください」
ミセイエルが軽く頷くのを見て弁護士が口を開く。
「承知しました。では結婚に必要な書類はこちらで準備します。用意でき次第に連絡しますのでサインをしにデリカにある私の事務所までおいでください」
3週間ほどたって書類がそろったと連絡があり、デリカに向かうと弁護士が契約書について丁寧に説明してくれながらサインの場所を示した。
そして結婚届にサインをすると、宝石商がやって来て鍵付きの鞄を開けた。
豪華な宝石の付いた婚約指輪やシンプルだが上品に加工された結婚指輪が並んでいる。
「どうぞ、お好きな物を選んでください」
サクラはしばらく高価な指輪を睨んだあと心の不安を口にした。
「私の夫は本当に普通の暮らしをしている方ではないのですね。世間様から敬遠されている方ですか?例えばお名前を出しただけで皆様が顔を背けるような」
その言葉に弁護士と宝石商が同時に吹いた。
「確かに一般人とは少し違いますが、決して嫌われているわけではなく、むしろその逆で、あの方との結婚を望まれる女性は大勢おりますし、ハナさんがあの方の結婚相手だと知れると、媚びる者やり利権欲しさにすり寄る者、やっかみから誹謗中傷する者が出ないとも限りません。ですからミセイエル・イーツ様の名前は出さない方が賢明かと思われます」
サクラが首を傾げる。
「どうして、そんな方が私なんかを選ばれたのですか?」
やっぱり納得がいかないと、再度訪ねたがやはり同じ事が繰り返される。
「先日も申し上げましたが、あの方の結婚条件は少々複雑で、相手を隠しておきたいのです」
もうどうでもいい、と投げやりな気持ちで自分を納得させると、大事な叔母の役に立てた喜びが沸いて来る。
「わかりました。私の夫は人もうらやむお金持ちですが少々偏屈で変わった価値観をお持ちで、面倒くさい親戚の方が大勢いらっしゃる不細工さんだから結婚のサインの時にも顔をお出しにならないのですね。お年は90歳ぐらいで寝たきりだとか」
自分の結婚相手を勝手に楽しい気持ちで想像すると独特の魅惑的な笑みが漏れる。
サクラにとって戸籍上の夫など、紙に書いた餅と一緒で美しかろうが寝たきりでカビの生えた人物であろうとどうでもいい。
叔母との生活を護れればそれで満足だ。
素直な幸福感から零れた笑みは、暖かなきらめきを放って天界人2人を魅了する。
ハナ様、他に要望はございませんか?ハナ様ピアスやネックレスもお持ちになりますか?
無論何もいらないのだが。
上から目線の彼らが突然、ハナ様を連発し始めて彼女の首が傾く?
結婚指輪だけはつけてもらわないと困る、と強制され一番安価な指輪を選んで事務所を出た。
帰りに空港に隣接する交番に寄り、傘のことを聞いたがやはり傘が手元に戻る様子はなく、肩を落とす。
落胆した気持ちと、見えない相手との結婚で左手薬指に嵌めた高価な指輪がやけに重たく感じた。
一番安いのはどれですか?と聞いたサクラに宝石商が、こちらのものはすべて一点ものでしてそれなりのお値段です、と言われてしまった。
まさか、新手の結婚詐欺じゃないよね?犯罪がらみ?ってことないよね?
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