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平家伝説財宝殺人事件✨✨
キヨマサ✨平家の末裔✨✨
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なにしろ改革、改革で娯楽はご法度だ。派手な事は出来ない。
浮世絵も浄瑠璃も大人しいモノばかりで、源内等も辟易していた。
「ねえェ、源内先生。そんな『隠し財宝』なんて話しを本気にしてるのォ?」
横からお蘭が口を挟んだ。
まだまだ子供かと思っていたが最近は色気づいてきたみたいだ。身体つきに丸みを帯びている。
信乃介と云う蘭学医に恋しているからだろう。もう二、三年もすればべっぴんさんになるに違いない。
その蘭学医の信乃介と云う侍も変わり者だ。杉田玄白を師と仰ぎ、平賀源内とは盟友だと云う。
噂では織田信長の子孫らしい。
平家の末裔が居るのなら信長の末裔が居ても不思議ではない。
「ハッハハ、『隠し財宝』なんて面白えェだろう。泣いても笑っても、どっちみち人生たかだか五十年だ。楽しまねえェとな」
源内も豪快に笑った。すでに彼も五十歳に差し掛かっている。
「そうだぜ。これは男の夢なんだよ。ケッケケ」
サル面のヒデも笑った。
「フフゥン、なにが男の夢よ! ただの妄想でしょ」
お蘭は唇を尖らせて、不貞腐れたようだ。
「フフ……」俺も苦笑した。
確かに素面でこんな話しをすれば頭の方が疑われそうだ。
「ッで、キヨはその夢を小さい時から何度も見ているんだろう」
源内も少しは耳を傾けてくれた。
「ええェ、ですが、あれがどこにある洞窟なのか。まったく見当もつかないんですよ……」
まさか日本じゅうの洞窟を探検にいくワケにもいかないだろう。何十年掛けても無理に決まっている。
「なァーンだ。それじゃァしょうがねえだろう。せっかくの『隠し財宝』もまるっきり手がかりがないなら」
山師のヒデは嘲るように笑った。
「もォ……」
お蘭も眉をひそめた。
しかし確かにヒデの言う通りだ。
「おいキヨ。何か、他に手がかりになるようなモノはねえェのかい……。地図とか、なんかの書き付けとか」
源内の言葉に編笠をかぶった謎の男らも聞き耳を立てていた。
「ンうゥ……、手がかりですかァ。ああァ、そう言えばおっ母ぁから譲り受けた羽子板があったな」
思い出せば、それくらいだ。
「羽子板ッて、あの……」
お蘭が羽子板を打つ身振りをした。
その瞬間、編笠の男たちの目が光った。
「まァ、おっ母ぁの言うには大事な羽子板なんで、亡くなる間際にも羽子板のことを……」
「うッううゥむ……、羽子板か」
源内も腕を組んで考えた。
「実は、このことは他言無用なんですが……」
顔を寄せ声もひそめた。
「ンうゥ……」源内も真剣な顔だ。
「おっ母ぁから固く禁じられていたんですが……、俺は、どこぞの落とし胤らしいと」
源内等に囁いた。
さっきもヒデが言ったことだ。しかしまだ平家の末裔だと云うことは伏せておいた。
「うむ、そうか。だがその夢の話しだけじゃァちょっとな。見せてもらえるかな。その羽子板を」
源内も乗り気な様子だ。
「ええェ……、そりゃァ、構いませんが、確かに精巧に出来てはいるんですが。まァ、俺にとってはおっ母ぁのたったひとつの大事な形見なんですがねえェ」
「……!!」
謎の編笠の四人はお互い無言で目配せをした。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
浮世絵も浄瑠璃も大人しいモノばかりで、源内等も辟易していた。
「ねえェ、源内先生。そんな『隠し財宝』なんて話しを本気にしてるのォ?」
横からお蘭が口を挟んだ。
まだまだ子供かと思っていたが最近は色気づいてきたみたいだ。身体つきに丸みを帯びている。
信乃介と云う蘭学医に恋しているからだろう。もう二、三年もすればべっぴんさんになるに違いない。
その蘭学医の信乃介と云う侍も変わり者だ。杉田玄白を師と仰ぎ、平賀源内とは盟友だと云う。
噂では織田信長の子孫らしい。
平家の末裔が居るのなら信長の末裔が居ても不思議ではない。
「ハッハハ、『隠し財宝』なんて面白えェだろう。泣いても笑っても、どっちみち人生たかだか五十年だ。楽しまねえェとな」
源内も豪快に笑った。すでに彼も五十歳に差し掛かっている。
「そうだぜ。これは男の夢なんだよ。ケッケケ」
サル面のヒデも笑った。
「フフゥン、なにが男の夢よ! ただの妄想でしょ」
お蘭は唇を尖らせて、不貞腐れたようだ。
「フフ……」俺も苦笑した。
確かに素面でこんな話しをすれば頭の方が疑われそうだ。
「ッで、キヨはその夢を小さい時から何度も見ているんだろう」
源内も少しは耳を傾けてくれた。
「ええェ、ですが、あれがどこにある洞窟なのか。まったく見当もつかないんですよ……」
まさか日本じゅうの洞窟を探検にいくワケにもいかないだろう。何十年掛けても無理に決まっている。
「なァーンだ。それじゃァしょうがねえだろう。せっかくの『隠し財宝』もまるっきり手がかりがないなら」
山師のヒデは嘲るように笑った。
「もォ……」
お蘭も眉をひそめた。
しかし確かにヒデの言う通りだ。
「おいキヨ。何か、他に手がかりになるようなモノはねえェのかい……。地図とか、なんかの書き付けとか」
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「ンうゥ……、手がかりですかァ。ああァ、そう言えばおっ母ぁから譲り受けた羽子板があったな」
思い出せば、それくらいだ。
「羽子板ッて、あの……」
お蘭が羽子板を打つ身振りをした。
その瞬間、編笠の男たちの目が光った。
「まァ、おっ母ぁの言うには大事な羽子板なんで、亡くなる間際にも羽子板のことを……」
「うッううゥむ……、羽子板か」
源内も腕を組んで考えた。
「実は、このことは他言無用なんですが……」
顔を寄せ声もひそめた。
「ンうゥ……」源内も真剣な顔だ。
「おっ母ぁから固く禁じられていたんですが……、俺は、どこぞの落とし胤らしいと」
源内等に囁いた。
さっきもヒデが言ったことだ。しかしまだ平家の末裔だと云うことは伏せておいた。
「うむ、そうか。だがその夢の話しだけじゃァちょっとな。見せてもらえるかな。その羽子板を」
源内も乗り気な様子だ。
「ええェ……、そりゃァ、構いませんが、確かに精巧に出来てはいるんですが。まァ、俺にとってはおっ母ぁのたったひとつの大事な形見なんですがねえェ」
「……!!」
謎の編笠の四人はお互い無言で目配せをした。
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