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平家伝説財宝殺人事件✨✨

折り鶴✨✨✨

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 捨てた覚えはない。まだおっぁの折った千羽鶴は、この家の何処どこかにあるはずだ。

 家じゅうを引っ掻き回し、ようやく押入れの奥の方からおっぁの折った折り鶴の入った箱をみつけた。かなりの大きさだ。

「良かった。この箱だ。申し訳ないが、お蝶さんも頼みます。折り鶴をほどいて中を見てください」

「ええェ……、折り鶴の中をですか。お母様が丹精込めて折った千羽鶴なんでしょう」
 少し彼女もためらっているようだ。

「ハイ、ですが今の俺に遺された手がかりは、これしかない。もしこの中に何も手がかりがなければ……」
 俺には、財宝の在り処は永久にわからないだろう。
 箱を開け、一羽一羽、丁寧にほどいていった。
 かなり古い紙なので、注意しないとボロボロに砕けてしまいそうだ。

 中を確かめたが、ほとんどが無地だ。
 お蝶も手伝ってくれたので助かった。
「ン……、なんだろう?  これは」
 折り鶴の中に紅い花の押し花があった。何処かで見たことがある綺麗な花だ。

「なんですか。それは……?」お蝶が訊いてきた。
「ああァ、なんかの押し花みたいだ。栞かもしれない」
 だが隠し財宝には関係ないと思ってしまった。
「そうですか……」お蝶も苦笑いを浮かべていた。
 あとでこの紅い花は源内や信乃介に見てもらおう。もしかしたら何か、わかるかもしれない。

 しかしこの時は、まだこの紅い花が『平家の隠し財宝』に関わるとは思わなかった。

 その後も折り鶴を解く作業が続いた。
「ふぅ……、ないのか。やはり」
 百羽以上、解いても手がかりらしきものはない。すぐに見つかると思ったのだが、折り鶴ではないのだろうか。
 さっきまでの期待が落胆へ変わっていった。
 期待が大きければ大きいほど失望は計り知れない。

 諦めかけた時に、お蝶が声を上げた。
「あ、これは!」
「ン……!!」
 お蝶の手にした折り鶴を見ると何かクネクネとした象形画みたいな絵が記されてあった。

「ンうゥ……」
 注意して折り鶴を開いて見ると地図らしきモノが描かれてある。

「おおォ、スゴい。これですよ。お蝶さん」
 間違いない。何かを現わす地図なのだろう。

 やはりこの中に『隠し財宝』の在り処を示した手がかりが隠されているのだ。

「ンうゥ……、これだけあると、ちょっと手間がかかる。源内先生のトコへ持って行こう」
 俺とお蝶は残りの折り鶴を持って清住の源内邸へ出向いた。

 すぐに源内先生や信乃介におっぁの折り鶴の話しをした。

「それとこいつが折り鶴の中に、挟んであったんです」
 ついでに紅い花の押し花も見せた。
「ううゥン……、押し花か」
 一瞬にして、源内も信乃介も紅い花を見て眉をひそめた。何か不吉な予感がした。
 この紅い花は何なのだろう。江戸では見かけたことのない花だ。

「わかった。この押し花の件は別にして。じゃァ、さっそく折り鶴をほどいてみよう」
 源内も承知し快く引き受けた。

「どうも……」みんなで手分けするとすぐに残りの折り鶴もほどけた。

「おおォ、見つかったぞ!!」
「私も見つけたわ」
 お蘭も喜んで見つけた地図を広げた。
 次々と手がかりが見つかった。

 一気に熱を帯びた。手分けして折り鶴を解いたので思ったよりも時間はかからない。
 全部で、四枚の地図らしきものが見つかった。
 四枚を組み合わせてみた。やはり何処かの洞窟の地図のようだ。

「ケッケケ、この四枚にお宝が隠されているのか」
 山師のヒデも加わり舌なめずりして目を輝かせた。

「キャァ、本当に……」
 お蘭も満面の笑みを浮かべ騒ぎ立てた。
「フフゥン、俄然、興味が湧いてきたか。お蘭」
 信乃介も笑顔だ。

「そりゃァ、私だって本当にあるなら隠し財宝だって見てみたいわ」
 まるで見世物小屋でも行くような気分だ。

 








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