22 / 119
平家伝説財宝殺人事件✨✨
折り鶴✨✨✨
しおりを挟む
捨てた覚えはない。まだおっ母ぁの折った千羽鶴は、この家の何処かにあるはずだ。
家じゅうを引っ掻き回し、ようやく押入れの奥の方からおっ母ぁの折った折り鶴の入った箱をみつけた。かなりの大きさだ。
「良かった。この箱だ。申し訳ないが、お蝶さんも頼みます。折り鶴を解いて中を見てください」
「ええェ……、折り鶴の中をですか。お母様が丹精込めて折った千羽鶴なんでしょう」
少し彼女もためらっているようだ。
「ハイ、ですが今の俺に遺された手がかりは、これしかない。もしこの中に何も手がかりがなければ……」
俺には、財宝の在り処は永久にわからないだろう。
箱を開け、一羽一羽、丁寧に解いていった。
かなり古い紙なので、注意しないとボロボロに砕けてしまいそうだ。
中を確かめたが、ほとんどが無地だ。
お蝶も手伝ってくれたので助かった。
「ン……、なんだろう? これは」
折り鶴の中に紅い花の押し花があった。何処かで見たことがある綺麗な花だ。
「なんですか。それは……?」お蝶が訊いてきた。
「ああァ、なんかの押し花みたいだ。栞かもしれない」
だが隠し財宝には関係ないと思ってしまった。
「そうですか……」お蝶も苦笑いを浮かべていた。
あとでこの紅い花は源内や信乃介に見てもらおう。もしかしたら何か、わかるかもしれない。
しかしこの時は、まだこの紅い花が『平家の隠し財宝』に関わるとは思わなかった。
その後も折り鶴を解く作業が続いた。
「ふぅ……、ないのか。やはり」
百羽以上、解いても手がかりらしきものはない。すぐに見つかると思ったのだが、折り鶴ではないのだろうか。
さっきまでの期待が落胆へ変わっていった。
期待が大きければ大きいほど失望は計り知れない。
諦めかけた時に、お蝶が声を上げた。
「あ、これは!」
「ン……!!」
お蝶の手にした折り鶴を見ると何かクネクネとした象形画みたいな絵が記されてあった。
「ンうゥ……」
注意して折り鶴を開いて見ると地図らしきモノが描かれてある。
「おおォ、スゴい。これですよ。お蝶さん」
間違いない。何かを現わす地図なのだろう。
やはりこの中に『隠し財宝』の在り処を示した手がかりが隠されているのだ。
「ンうゥ……、これだけあると、ちょっと手間がかかる。源内先生のトコへ持って行こう」
俺とお蝶は残りの折り鶴を持って清住の源内邸へ出向いた。
すぐに源内先生や信乃介におっ母ぁの折り鶴の話しをした。
「それとこいつが折り鶴の中に、挟んであったんです」
ついでに紅い花の押し花も見せた。
「ううゥン……、押し花か」
一瞬にして、源内も信乃介も紅い花を見て眉をひそめた。何か不吉な予感がした。
この紅い花は何なのだろう。江戸では見かけたことのない花だ。
「わかった。この押し花の件は別にして。じゃァ、さっそく折り鶴を解いてみよう」
源内も承知し快く引き受けた。
「どうも……」みんなで手分けするとすぐに残りの折り鶴も解けた。
「おおォ、見つかったぞ!!」
「私も見つけたわ」
お蘭も喜んで見つけた地図を広げた。
次々と手がかりが見つかった。
一気に熱を帯びた。手分けして折り鶴を解いたので思ったよりも時間はかからない。
全部で、四枚の地図らしきものが見つかった。
四枚を組み合わせてみた。やはり何処かの洞窟の地図のようだ。
「ケッケケ、この四枚にお宝が隠されているのか」
山師のヒデも加わり舌なめずりして目を輝かせた。
「キャァ、本当に……」
お蘭も満面の笑みを浮かべ騒ぎ立てた。
「フフゥン、俄然、興味が湧いてきたか。お蘭」
信乃介も笑顔だ。
「そりゃァ、私だって本当にあるなら隠し財宝だって見てみたいわ」
まるで見世物小屋でも行くような気分だ。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
家じゅうを引っ掻き回し、ようやく押入れの奥の方からおっ母ぁの折った折り鶴の入った箱をみつけた。かなりの大きさだ。
「良かった。この箱だ。申し訳ないが、お蝶さんも頼みます。折り鶴を解いて中を見てください」
「ええェ……、折り鶴の中をですか。お母様が丹精込めて折った千羽鶴なんでしょう」
少し彼女もためらっているようだ。
「ハイ、ですが今の俺に遺された手がかりは、これしかない。もしこの中に何も手がかりがなければ……」
俺には、財宝の在り処は永久にわからないだろう。
箱を開け、一羽一羽、丁寧に解いていった。
かなり古い紙なので、注意しないとボロボロに砕けてしまいそうだ。
中を確かめたが、ほとんどが無地だ。
お蝶も手伝ってくれたので助かった。
「ン……、なんだろう? これは」
折り鶴の中に紅い花の押し花があった。何処かで見たことがある綺麗な花だ。
「なんですか。それは……?」お蝶が訊いてきた。
「ああァ、なんかの押し花みたいだ。栞かもしれない」
だが隠し財宝には関係ないと思ってしまった。
「そうですか……」お蝶も苦笑いを浮かべていた。
あとでこの紅い花は源内や信乃介に見てもらおう。もしかしたら何か、わかるかもしれない。
しかしこの時は、まだこの紅い花が『平家の隠し財宝』に関わるとは思わなかった。
その後も折り鶴を解く作業が続いた。
「ふぅ……、ないのか。やはり」
百羽以上、解いても手がかりらしきものはない。すぐに見つかると思ったのだが、折り鶴ではないのだろうか。
さっきまでの期待が落胆へ変わっていった。
期待が大きければ大きいほど失望は計り知れない。
諦めかけた時に、お蝶が声を上げた。
「あ、これは!」
「ン……!!」
お蝶の手にした折り鶴を見ると何かクネクネとした象形画みたいな絵が記されてあった。
「ンうゥ……」
注意して折り鶴を開いて見ると地図らしきモノが描かれてある。
「おおォ、スゴい。これですよ。お蝶さん」
間違いない。何かを現わす地図なのだろう。
やはりこの中に『隠し財宝』の在り処を示した手がかりが隠されているのだ。
「ンうゥ……、これだけあると、ちょっと手間がかかる。源内先生のトコへ持って行こう」
俺とお蝶は残りの折り鶴を持って清住の源内邸へ出向いた。
すぐに源内先生や信乃介におっ母ぁの折り鶴の話しをした。
「それとこいつが折り鶴の中に、挟んであったんです」
ついでに紅い花の押し花も見せた。
「ううゥン……、押し花か」
一瞬にして、源内も信乃介も紅い花を見て眉をひそめた。何か不吉な予感がした。
この紅い花は何なのだろう。江戸では見かけたことのない花だ。
「わかった。この押し花の件は別にして。じゃァ、さっそく折り鶴を解いてみよう」
源内も承知し快く引き受けた。
「どうも……」みんなで手分けするとすぐに残りの折り鶴も解けた。
「おおォ、見つかったぞ!!」
「私も見つけたわ」
お蘭も喜んで見つけた地図を広げた。
次々と手がかりが見つかった。
一気に熱を帯びた。手分けして折り鶴を解いたので思ったよりも時間はかからない。
全部で、四枚の地図らしきものが見つかった。
四枚を組み合わせてみた。やはり何処かの洞窟の地図のようだ。
「ケッケケ、この四枚にお宝が隠されているのか」
山師のヒデも加わり舌なめずりして目を輝かせた。
「キャァ、本当に……」
お蘭も満面の笑みを浮かべ騒ぎ立てた。
「フフゥン、俄然、興味が湧いてきたか。お蘭」
信乃介も笑顔だ。
「そりゃァ、私だって本当にあるなら隠し財宝だって見てみたいわ」
まるで見世物小屋でも行くような気分だ。
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】ふたつ星、輝いて 〜あやし兄弟と町娘の江戸捕物抄〜
上杉
歴史・時代
■歴史小説大賞奨励賞受賞しました!■
おりんは江戸のとある武家屋敷で下女として働く14歳の少女。ある日、突然屋敷で母の急死を告げられ、自分が花街へ売られることを知った彼女はその場から逃げだした。
母は殺されたのかもしれない――そんな絶望のどん底にいたおりんに声をかけたのは、奉行所で同心として働く有島惣次郎だった。
今も刺客の手が迫る彼女を守るため、彼の屋敷で住み込みで働くことが決まる。そこで彼の兄――有島清之進とともに生活を始めるのだが、病弱という噂とはかけ離れた腕っぷしのよさに、おりんは驚きを隠せない。
そうしてともに生活しながら少しづつ心を開いていった――その矢先のことだった。
母の命を奪った犯人が発覚すると同時に、何故か兄清之進に凶刃が迫り――。
とある秘密を抱えた兄弟と町娘おりんの紡ぐ江戸捕物抄です!お楽しみください!
※フィクションです。
※周辺の歴史事件などは、史実を踏んでいます。
皆さまご評価頂きありがとうございました。大変嬉しいです!
今後も精進してまいります!
花嫁
一ノ瀬亮太郎
歴史・時代
征之進は小さい頃から市松人形が欲しかった。しかし大身旗本の嫡男が女の子のように人形遊びをするなど許されるはずもない。他人からも自分からもそんな気持を隠すように征之進は武芸に励み、今では道場の師範代を務めるまでになっていた。そんな征之進に結婚話が持ち込まれる。
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
国を、民を守るために、武田信玄は独裁者を目指す。
独裁国家が民主国家を数で上回っている現代だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 純粋に国を、民を憂う思いが、粛清の嵐を巻き起こす
【第弐章 川中島合戦】 甲斐の虎と越後の龍、激突す
【第参章 戦争の黒幕】 京の都が、二人の英雄を不倶戴天の敵と成す
【第四章 織田信長の愛娘】 清廉潔白な人々が、武器商人への憎悪を燃やす
【最終章 西上作戦】 武田家を滅ぼす策略に抗うべく、信長と家康打倒を決断す
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です))
アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)
三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。
佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。
幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。
ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。
又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。
海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。
一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。
事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。
果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。
シロの鼻が真実を追い詰める!
別サイトで発表した作品のR15版です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる