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嵐の中の惨劇✨✨✨

嵐の中で……

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「バカな……、ではなんで扉が開かなかったんだ!」
「フフゥン、だから単に先入観、思い込みだよ」

「ぬうぅ、思い込みだとォ……。なんだ。さっきからお主の云う思い込みというのは」
 将宗は訝しげな顔で聞き返した。

「良いか。外から本陣の扉が開かなければ、内側から閂《カンヌキ》が掛かっているとみんな思い込んだんだよ。だけど本当は違ったのさ。
 フフゥン、ただの勘違いなんだよ」
 信乃介は嘲るように笑った。
「ぬうぅ、勘違いだとォ……?」加助も納得できない様子だ。

「ああァ、そうさ。扉は内側からじゃなくって、外側からカギが掛けられていたんだ!」

「外側からだとォ。バカを云うな!」

「バカじゃないさ。見ろ。扉の下にのりがベットリと着いているだろう」
「な、何ィ……、のりだとォ!!」
 壊れた扉を見直した。

「そうだ。簡単なカラクリだ。扉の下をのりり付けたんだよ」
「そんなバカな……」

「しかもご丁寧に扉の周りに食い残しのメシや残骸がバラ撒いてある。これは、初め見張り番が食い散らかした痕跡かと思ったが、これも巧妙なカラクリだったんだ」
 信乃介が解説していった。
「ぬうぅ……」将宗も苦々しそうに本陣の出入り口に残された食い散らかした痕跡あとを睨んだ。

「さらにどさくさに紛れて、扉の周りはお前等によってグチャグチャに踏み荒らされているだろう」
 信乃介が顎で扉の周辺を差した。

「そうか。そのために下手人はこんなに食い散らかしたように飯や食い物の残骸をバラ撒いておいたのか」
 ようやく俺にもカラクリが解けた。
 これもすべて扉の下にのりでくっつけたのを誤魔化すためだ。
 なんとも用意周到な下手人だ。

「うッううゥン……」将宗は眉をひそめ唸り声を上げた。

「どうだ。外からでも糊で貼り付ける事ができるなら、アンタでもそこの加助でも闇御前を暗殺できるだろう」
 信乃介は将宗や加助を指差した。

「ぬうぅ、小僧が!  ふざけた事を云うな」
 キツネ目の加助も睨んだ。

「そうだ。ワシ等が御前様を暗殺などするはずがない!」
 将宗も否定した。
「フフゥン、ムキになると余計怪しいぜ」
 信乃介は茶化すように笑みを浮かべた。
「ぬうぅ……」さすがに将宗も唸るだけだ。

 どうやら信乃介の詭弁で、土蜘蛛衆を煙に巻いたようだ。
 だが、これで真の下手人はわからずじまいになった。

 相変わらず、外は嵐が吹き荒んでいる。











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