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未来の揚羽の里✨✨✨

揚羽の里……✨✨

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 懐かしい光景だ。
 幼き日、おっかぁとこの紅い花畑を見た記憶が蘇ってくるようだ。おそらく江戸へ旅立つ前にここから見たのだろう。

 鮮やかな紅い花が咲き乱れている。
 なんと云う可憐で美しい花なのだろう。目眩がするほど甘美な薫りが漂っている。
 甘い匂いに誘われて、花畑の上を揚羽蝶が群れをなして飛んでいた。まるで夢のような絶景だ。
 極楽浄土と云っても良いだろう。

「綺麗ね。信さん!!」
 お蘭もうっとりとして眺めていた。子供のように無邪気に歓んでいる。
「ほら、揚羽蝶が!!」
 お蘭は、ヒラヒラと舞う揚羽蝶を捕まえようとして飛び跳ねた。

「おいおい、蝶を捕まえちゃダメだって云っただろう」
「平気よ。捕まえはしないわ」
 確かに、揚羽蝶を捕まえようとするとヒラリとかわしていく。滅多に揚羽蝶など手で捕まえる事はできない。

「もっと紅い花の近くに行こうよ」
 お蘭は、信乃介の腕を引っ張った。

「フフゥン、気をつけなよ。お蘭!  これは『悪魔の花』よ」
 妖艶な美鬼ミキが自嘲気味に嗤った。

「え、この花が悪魔の花なの……?」お蘭は目を丸くした。

「ああァ、確かにな。『悪魔の花』に間違いない。こいつはケシの花だ」
 源内が応えた。

「ええェ……、ケシ?」
「うッひょッひょーッ!  これがケシの花なのか」
 さすが山師のヒデだ。金の匂いには敏感だ。

「ケシの実には、幻覚作用があるんだ。中毒性があって、一度、ハマると廃人になるまで抜け出せなくなる。
 アヘンと云って国を滅ぼす危険な実なんだ」
 信乃介が説明した。

「まさか……」

「ううゥン……、おそらくこの揚羽の里で抽出したアヘンを土蜘蛛衆が江戸や大阪で売りさばき、莫大な利益を上げているんだろう」
 源内も腕を組んで唸った。

「これが……」
「そう。これこそ平家の隠し財宝よ」
 美鬼が両手を広げ披露した。







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