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53話
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私は国王の話を聞いて、次に用意していた質問をしなかった。
というのも、黒い水の様な何かに心当たりがあったからだ。
おそらく、黒い水の様な何かは【終わり】で相手取ったスライムとやらだろう。
でも、あの時のスライムは魔眼所持者しか狙っていなかったから、別種か私が処刑されてスライムが外に出るまでの時間で変化したのか?
いや、そもそもミューは【終わり】と戦闘を開始した時には、自分には限界が来ている的な事を言っていた筈。
それなら、なんで私が死ぬ前にあとスライムは外に出なかった?
その事について考えていると、国王が私に質問してきた。
「何かを考えているようだが、この状況はそう長くは続ける事が出来ない。王妃や我が息子達を止めておくのにも限界があるからな。
情報の共有がしたいと言っても、2つある『予知夢』のどちらに傾いているかを知りたいだけだ。分からなければ、答えずとも良い」
「そういう事でしたら、国王陛下が『予知夢』で見た黒い水の様な何かというのには心当たりがありますので、そちらの事だけは共有しておきましょう。
おそらく【終わり】が作り出していたスライムとやらです。ですが、【終わり】本体の問題は既に無いそうですから、スライムに関しても無力化が済んでいると」
「ふぅ~、そうか。それならば良いのだ。それで他に質問は有るか?」
私の返答を聞いた国王は安心したようにため息をつき、ソファーに深く腰掛けた。
そんな国王を見ながら、優先順位としては最も高い質問をぶつけた。
「それでは後2つほど質問させて頂きます。
1つ目の質問は、私の婚約者に関して、国王陛下がどのようなお考えをお持ちなのか。
2つ目の質問は、フィーナの今後の扱いに関して、どのような名目で辞任を許可するおつもりなのかをお聞かせ願えればと」
「ふむ、まず婚約者に関してだが、今の所は私が干渉する可能性は少ないと考えていい。だが、確実に干渉しないとも言い切れないな。とはいえ、私から積極的に動く事は無いと言い切ろう。
次に騎士フィーナの辞任に関してか。名目は新しく発現した黒色の魔眼所持者の保護兼育成にすれば良いだろう。
表に出ている黒色の魔眼所持者は王国にフロービス伯爵を含めて5人、帝国に5人、中立都市『エンドシート』に6人所属している。
また、魔眼所持者最強と呼び声高い雷系統の魔眼所持者は帝国に所属しており、帝国には質で、中立都市には数で負けており、他からは一歩出遅れる形になってしまっている。
仮に闇系統の魔眼所持者が王国の何処かしらに所属すれば、王国の黒色の魔眼所持者は6人となり、人数の上で帝国に勝つ事が出来るのは大きい。
むろん、私の魔眼を隠していた者の様に、隠されている魔眼所持者は居るだろうが、それでも20人は超えまい。
そんな中で、所属人数が1人増えるのは大きい。
ただし、騎士フィーナをフロービス伯爵に付ける以上は、闇系統の魔眼所持者を王国の何処かしらに所属させる事が条件になるだろう。それがフロービス伯爵家でも良いが、出来るだけ帝国や中立都市には渡すな。
仮に帝国や中立都市に所属する事になる際にも、ある程度の責任は取ってもらうが、私が個人的に責めることはしまい。だが、闇系統の魔眼所持者が『黒の翼』に所属する様な事態は許さない。意味は分かっているな?」
「はい、騎士フィーナを私に付けて頂けるならば、その様な事態になる前に私が責任を持ち、処分します。
ですが、保護兼育成が終了してしまうと、騎士フィーナが戻らなくてはならないのではないでしょうか?」
「うむ、そうなる可能性もなくはない。だが、教育終了の条件を他の黒色の魔眼所持者達と同等まで戦える様にする事にすれば、相応の時間は稼げるだろう。
その間に新たな名目を考えておく。教育が終了した際には考えておいた新たな名目を知らせよう」
「承知しました。ありがとうございます」
私は国王と話す前に考えていた総取りの条件である3つ、私の婚約者に関して、フィーナの辞任、アリアの身柄が、あまりに私の都合の良い形になって笑みが零れそうになっていた。
それを表には出さずに、国王に頭を下げた。
というのも、黒い水の様な何かに心当たりがあったからだ。
おそらく、黒い水の様な何かは【終わり】で相手取ったスライムとやらだろう。
でも、あの時のスライムは魔眼所持者しか狙っていなかったから、別種か私が処刑されてスライムが外に出るまでの時間で変化したのか?
いや、そもそもミューは【終わり】と戦闘を開始した時には、自分には限界が来ている的な事を言っていた筈。
それなら、なんで私が死ぬ前にあとスライムは外に出なかった?
その事について考えていると、国王が私に質問してきた。
「何かを考えているようだが、この状況はそう長くは続ける事が出来ない。王妃や我が息子達を止めておくのにも限界があるからな。
情報の共有がしたいと言っても、2つある『予知夢』のどちらに傾いているかを知りたいだけだ。分からなければ、答えずとも良い」
「そういう事でしたら、国王陛下が『予知夢』で見た黒い水の様な何かというのには心当たりがありますので、そちらの事だけは共有しておきましょう。
おそらく【終わり】が作り出していたスライムとやらです。ですが、【終わり】本体の問題は既に無いそうですから、スライムに関しても無力化が済んでいると」
「ふぅ~、そうか。それならば良いのだ。それで他に質問は有るか?」
私の返答を聞いた国王は安心したようにため息をつき、ソファーに深く腰掛けた。
そんな国王を見ながら、優先順位としては最も高い質問をぶつけた。
「それでは後2つほど質問させて頂きます。
1つ目の質問は、私の婚約者に関して、国王陛下がどのようなお考えをお持ちなのか。
2つ目の質問は、フィーナの今後の扱いに関して、どのような名目で辞任を許可するおつもりなのかをお聞かせ願えればと」
「ふむ、まず婚約者に関してだが、今の所は私が干渉する可能性は少ないと考えていい。だが、確実に干渉しないとも言い切れないな。とはいえ、私から積極的に動く事は無いと言い切ろう。
次に騎士フィーナの辞任に関してか。名目は新しく発現した黒色の魔眼所持者の保護兼育成にすれば良いだろう。
表に出ている黒色の魔眼所持者は王国にフロービス伯爵を含めて5人、帝国に5人、中立都市『エンドシート』に6人所属している。
また、魔眼所持者最強と呼び声高い雷系統の魔眼所持者は帝国に所属しており、帝国には質で、中立都市には数で負けており、他からは一歩出遅れる形になってしまっている。
仮に闇系統の魔眼所持者が王国の何処かしらに所属すれば、王国の黒色の魔眼所持者は6人となり、人数の上で帝国に勝つ事が出来るのは大きい。
むろん、私の魔眼を隠していた者の様に、隠されている魔眼所持者は居るだろうが、それでも20人は超えまい。
そんな中で、所属人数が1人増えるのは大きい。
ただし、騎士フィーナをフロービス伯爵に付ける以上は、闇系統の魔眼所持者を王国の何処かしらに所属させる事が条件になるだろう。それがフロービス伯爵家でも良いが、出来るだけ帝国や中立都市には渡すな。
仮に帝国や中立都市に所属する事になる際にも、ある程度の責任は取ってもらうが、私が個人的に責めることはしまい。だが、闇系統の魔眼所持者が『黒の翼』に所属する様な事態は許さない。意味は分かっているな?」
「はい、騎士フィーナを私に付けて頂けるならば、その様な事態になる前に私が責任を持ち、処分します。
ですが、保護兼育成が終了してしまうと、騎士フィーナが戻らなくてはならないのではないでしょうか?」
「うむ、そうなる可能性もなくはない。だが、教育終了の条件を他の黒色の魔眼所持者達と同等まで戦える様にする事にすれば、相応の時間は稼げるだろう。
その間に新たな名目を考えておく。教育が終了した際には考えておいた新たな名目を知らせよう」
「承知しました。ありがとうございます」
私は国王と話す前に考えていた総取りの条件である3つ、私の婚約者に関して、フィーナの辞任、アリアの身柄が、あまりに私の都合の良い形になって笑みが零れそうになっていた。
それを表には出さずに、国王に頭を下げた。
応援ありがとうございます!
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