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綿菓子

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「今日の晩御飯は綿菓子よ」



「祭り気分を味わう日なのか?残念だが、気分じゃない。まともなご飯を出してくれないか?」



「綿菓子がまともじゃないとでも言うの?じゃあ、子供達はなぜ、祭りでバカみたいに綿菓子を買うの?麻薬の取引をしている訳じゃないのよ。これを食べてハイになれるのかしら?」



「実に危険な言葉だ。子供が綿菓子を食べてキメるみたいな誤解を受けそうになる発言は謹んでくれないか。私達にも子供がいるんだ、もう少し発言には気をつけてくれ」



「子供ってあんたはすぐにそう言うけど、ワンちゃんの事を子供っていう表現で呼ぶのは止めて欲しいわね」



「ワンちゃんを子供みたいに思う大人は世の中に腐るほどいる。実際にお前の腹から生まれている訳だしな」



「私の事、トイプードルか何かだと思っている訳?人間の椅子にお尻でしっかり座って、両手にナイフとフォークでステーキ食べてる私を舐めないでもらえる?私の腹から犬が生まれたら、次は馬でも産んでやるわよ」



「わかった。悪かったよ。だから、お前が今食べているステーキを俺にもくれないか?」



「貴方には綿菓子があるのに。どうして人の努力を無下にする様な事を言うの?」



「綿菓子を食べながら、夢の国へ行ってらっしゃいとでも言うのか?俺は仕事をして疲れているんだ。もう少し配慮ってものがないのか?」



「配慮ってものがなければ、コップに水道水入れて、はい食事、で終わりだったはずよ」



「五十歩百歩だよ、お前。俺はお前の旦那なんだよ。わかってそれを言っているのか?」



「私は、貴方の奥様なのよ。それをわかって言っているの!?」



「自分に様付けしやがったな?俺は旦那様なんだぞ?なめるなよ!」



「私はメイドじゃないんだよ!おかえりなさいませ、旦那様とでも言うとでも思った?シャンパン代で10万円取るわよ!?」



「旦那様と言わなくてもいいけど、せめて晩ご飯に綿菓子は止めろ!」



「貴方、昨日は夜遅く帰ってきたわね。遅くまでお仕事、ご苦労様」



「…ああ。最近は仕事が忙しくてな。でも、お前も最近、俺のために料理を作るのも疲れただろう。さっそく、その綿菓子を頂くとするよ」



「よく噛みなさいよ。脳に栄養が行き渡らないからね。またお仕事で帰りが遅くなったら、今度はのど飴になりそうだから、覚悟しておく事ね。ちなみに、私、貴方が知っての通り、すごく勘が冴えているのよ」



「おお、わかってるよ」


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