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変な店

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「ガレージイオンズだってよ、珍しい店だな。車のドアが店の入り口のドアなんて、洒落た感じがいいんじゃないか?」







「先輩、ここで昼飯取りますか?」








「おお、そうだな」







グイッ。








バタン。










「店の中、灰色一色に染まってますね。簡単な木目のテーブルがいくつか見えますけど、特別大きなテーブルが真ん中にありますね」









「団体向けかな?」









「あ、この店のマスターが歩いてこっちに向かってきますよ。他に店員が見えないから、1人で経営してるんですかね?」








「お2人?」










「あ、はい。2人です」










「じゃあ、そこら辺に座って」












「あ、行っちゃったよ。何だ、あの上からの態度は。敬語なかったけど、俺達、お前の友達じゃないんだけどな」









「先輩、演出じゃないですか?」









「不快な演出なんていらないだろ?」









「まあ、いいじゃないですか」










「お前はMだから気持ちいいかも知れないけど、俺はどちらかと言うとSだからな。結構不快だぞ」










「…先輩、僕はMだなんて一度言った事はないですけどね」










「このテーブルにしよう」











「そうですね」









「あれ?メニュー、ないぞ?」









「あ、今、あちらからマスターが持ってきますよ」










カン!












「あれ?缶コーヒーを置いてどうしたんですか?」











「缶コーヒー飲みたいでしょ、どうせ」











「はぁ?お前、何言ってんの?」









「200サンダーボルト頂くよ?」










「…何だ、200サンダーボルトって。聞き慣れない通貨の単位出してきたな?」










「何だ、開けてほしいのか?300サンダーボルトだよ」










「おいおい!本体側の料金超えちゃったよ!」







  「儲かるよ、正直さ」










「はぁ?その儲かるシステムに疑問を感じた事は?」












「ないね」











「だろうな」











「まず飲めよ、温くなるとまずいだろ?」










「コーヒー頼んでないし、サンダーボルトの通貨単位が非常に気になるから、飲むわけないだろ!」











「先輩、これも演出です。頂きましょう」











「お前は絵本の中から飛び出してきた人間だろうから、こんな摩訶不思議な流れでも受け入れられるんだろうけど、俺は結構現実的な人間だから、到底受け入れられないぞ」









プシュ!











「ほら、開けてやったぞ」










「あ、この野郎!勝手に缶のプルリング引っ張り上げやがった!200サンダーボルトの料金払わないからな!」









「缶コーヒー代と合わせて500サンダーボルトだよ。ちゃんと算数しろ!」










「頭きたぞ、お前!」










「先輩、先に注文しちゃいますよ。えと、オムライス下さい」










「ああ、いいよ。800サンダーボルトな」















「…お前、空気読まないよな?」










「空気は吸うもので、読むものじゃないですよー」













「…火であぶってみたか?文字が浮き出てくるんだよ」










「1サンダーボルト、0.5円だよ!」












「うるせー、お前!…何??オムライスは400円か!?」













「そうだよ」















「よし!俺もオムライスだ!」
















「待ってろ。今、作ってくる」















「先輩、気持ちいいですね」














「お前はSMクラブでプレミアム会員だろうから、心地いいMを体感できてるのかも知れないけどな、俺はお前とは違うから、あの店員の態度がいちいち癇に障るんだよ!」












「またまた…!」














「ああん!?」















「先輩、いきなりあえがないで下さいよー」
















「あえいでねぇよ!テメーのワールドに引きずり込むんじゃねぇよ!」














「ほら、オムライスできたぞ」













「早過ぎだぞ、お前!このオムライス、既製品だろ?温めただけだろ?」














「何だ、あんた。田植えからやれってのか?」













「…はぁぁぁぁあ??」














「耳が遠いのか?面倒臭え、口開けろ。稲とひよこをお前の口に放り込んでやる」
















「ああん!?」


















「気持ちいいんですね、先輩」

















「あえいでねぇよ!!」






 








『変な店』…完
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