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ザリガニ

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「おい、学校の帰り…」











「?」










「川でザリガニ取らないか?」














「え?取らないけど…。小学生じゃあるまいし」











「高校生なのは、知っているさ」











「参考までに聞いておくけど、何で、ザリガニを取るんだ?」











「お互いに取ったザリガニを、戦わせようぜ!」












「…小学生か?」











「何で、ザリガニ取りに行くのが小学生なんだよ!捕獲の難易度が低いからとか言うんじゃないだろうな?じゃあ、サソリだったら、取りに行くのか?」













「プロじゃあるまいし。下手したら死ぬじゃないか」










  



「じゃあ、パンダでも取りに行くか!?」
















「日本だぞ?笹藪ささやぶに入っても、お前みたいに頭おかしいパンダキチガイしか会わないだろうよ」













「いや、それは俺だけだろうな…」











「冷静だな。確かに、お前しかいないか」










「俺は別に、パンダキチガイってほどでもないけどな。部屋の壁にパンダのポスター貼ってるだけだ」











「いや、お前は俺が思っている以上に、パンダキチガイだ。田中」













「とにかく、ザリガニを取りに行こう!」











「ザリガニを戦わせて、何がおもしろい?」











「ザリガニだぞ?あの!?」











「あのザリガニが、俺の思っているザリガニなら、俺の興奮度ランキング最下位の、あのザリガニだ。お前の興奮の仕方が、謎だよ」










「赤くて硬い装甲をした、2本バサミの、あのザリガニだ!」












「お前の興奮の仕方が、正に小学生だな。お前、頭でも打ったか?」











「まぁな」












「打ったのか。今日はザリガニ取りに行かずに、ゆっくり休め」












「この間の台風で、海から偶然、川に逆流して、ザリガニが岩場にたくさんいるんだよ!」












「へえ…?ザリガニが??」











「あ、間違えた!伊勢エビだった」












「何、高級食材の伊勢エビか!?ご飯とサンマ、ご飯と佃煮、ご飯とサンマと、献立に脳みそ1%の能力も発揮させない母親に、刺激的な食材を提供してやるぜ!?今日の晩ご飯は、かつてないほど豪華になる!お前の伊勢エビ勝負、乗ったぜ!!必ず行くぞ、田中!!」














『ザリガニ』…完
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