化け猫ミッケと黒い天使

ひろみ透夏

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第2章 ライオン☆ハート

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「ねえ、なんでもえがいるの? もえがいるなら、どうしてもえの家でやらないの? もえの家のほうが広くてキレイなんだから、もえの家にあつまればいいじゃない?」


 美玲みれいちゃんが放課後ほうかご怪奇かいきクラブに入部にゅうぶしてから数日後、早速さっそく緊急きんきゅうミーティングがひらかれることになった。その会場は、なぜか美玲みれいちゃんの家。

「わたしはかまわないんだけど、優斗ゆうとくんがいやだっていうんだもん。ほら、一度いちどこわい目に会っているから……」

 美玲みれいちゃんかう道すがら、もえちゃんが、すぐうしろを歩く優斗ゆうとくんをちらりと見つつ、小声で耳打みみうちした。
 もえちゃんがいつ部員ぶいんになったのかは、ぼくにもわからない。
 きっと美玲みれいちゃんが、優斗ゆうとくんと同じクラブに入ったという情報じょうほうをどこかから聞きつけて、あわてて自分も入部にゅうぶしたんだと思う。

 まったく、かりのない女の子だ……。

「なら、学校でやればいいじゃない? クラブ活動かつどうなんでしょ?」
放課後ほうかご怪奇かいきクラブは、オカルトに興味きょうみがあるものがつど有志ゆうし共同体きょうどうたいであって、学校の承認しょうにんたクラブじゃないからね。学校に部室ぶしつはないんだ」
 一番うしろを、妖怪ようかいかべ』のような巨体きょたいらしながら歩く、チャーシューがこたえた。

「あんた、フツーに標準語しゃべれるじゃない? このまえの関西弁かんさいべんはなんだったの? てか、やっぱりわたしの家にあつまるのって、おかしいと思うのよ」

 チャーシューの熱意ねついのこもった暑苦あつくるしいおねがいと、しおらしく頭を下げる優斗ゆうとくんの態度たいどに、つい自分の部屋へや提供ていきょうすることをゆるしてしまった美玲みれいちゃんだけど、やっぱり、いきなり男の子を部屋へや招待しょうたいするのはずかしいのだろう。
 ぼくは美玲みれいちゃんの頭の上から、小さな声で助言じょげんをした。

大丈夫だいじょうぶだよ。美玲みれいちゃんの部屋へや、女の子にしてはこざっぱりしているけど、センスはいいほうだから。ただ部屋へやに友だちを入れるまえに、なんとかしたほうがいいところもあるよね。たとえば、ほこりだらけの学習机がくしゅうづくえ漫画まんがだらけの本棚ほんだなぎっぱなしのパジャマに、ゆか散乱さんらんした靴下くつした下着したぎ。そして、ベッドの下にまれた、得体えたいの知れない、いろいろなもの……」


 美玲みれいちゃんは頭をかかえて、その場にしゃがみんでしまった。
 ぼくの助言じょげんは、逆効果ぎゃくこうかだったみたい。


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