探偵でSPとか、聞いてない

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【1巻】1章 聞いてないよぉ!!!!

p3.トラウマを思い出すとウズウズする

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 妹とは何か。 再定義しよう。
それは癒しであり、救いであり、人生の最終兵器である。妹がいれば、世界はもう少し優しくなれる。  
少なくとも、俺はそう信じていた。

 たとえば——
朝、布団に突撃してくる元気な妹。  
台所を覗いて「今日のごはんなに~?」と聞いてくる甘えん坊。  
紅茶を淹れて「お兄様、お疲れさまです」と微笑むメイド系。  
「お兄ちゃんって、太宰に似てるね」と言ってくれる文学系。  
「ぎゅってして~♡」とぬいぐるみを抱えてくる天然系。思い出してほしい。これこそが至高である。
ちなみに、双子は至高は至高でも、嗜好の方である。このボーダーラインが分からなければ、それはただのシスコンである。
え? お前はなんだって? フェミニストでも呼んでほしい。

 さて、話は戻るが、妹たちに囲まれて、俺は「お兄ちゃん」と呼ばれながら生きていきたい。 俺の人生の理想形なのだ。属性のフルコース。 デザートは子守唄で。我ながら気持ち悪い。

 そして、極めつけはこうだ。
リビングは白を基調とした洋館風。  
テーブルにはパンケーキと紅茶を添えて。  
妹たちは俺の隣を奪い合い、膝に座り、腕に絡みつく。

「お兄ちゃんって、世界一素敵だよね♡」
「にぃにがいるから、毎日が楽しい~」
「お兄様、今日もご無事で……」

 俺は震えた。  
これは夢か? いや、夢でいい。夢であってくれ。  
このまま永遠に——ぐさ。

え? 包丁? え?

「お兄ちゃん」

 虚ろな瞳、妹たちは笑っていなかった。いや、目の前にいるのは妹というには成長しすぎだ。
パリンと、妹という幻想が砕け散り枕に向かって叫ぶ。

「うわあああああああああ!」

 目を開けると、そこは俺の部屋、じゃない。どこだここ?  
天井。布団。スマホの充電コードが首に絡まってる。

「いつまで寝てんの?」

 ドアの前には仁王立ちの女性。なんてスタイルだ。白Tだけだから、他に見るところがない。ごく自然と素晴らしい山に視線がいってしまう。決して鼻の下は伸ばしてはいない。ただそこにあるだけなんだ。

「……何も覚えてない、ね?」
「は? えっあ、え、どこ? そうだ! 俺のい……も」
「覚えてない。ならよし」
「ならよし、じゃねぇよ! 何があった!?」

 おかしい、記憶の一部にノイズがかかってるような感覚だ。これが記憶障害というやつなのか、いや違う。恐怖だ。ホラー映画の予告を見るときの感覚に近い。怖さが最後に迫ってくるあの緊張感。だめだ、やめよう。思い出そうとすると脳が震える。
目の前にいる美人なお姉さんは、確か婚約者の妹で二女。それは覚えている。断片的なピースを当てはめていこうとすると、腹溝が疼くのはなぜだろう。

「知らないほうがいいこともあるの」

「怖い、なんか怖い! てかここどこ!?」

「それより今日学校あるんでしょ? 早く行けば」

 真琴は冷酷に言い放ち、バンッとドアを閉めた。  
俺は急いで、スマホを手に取る。グーグーマップには阿佐ヶ谷の住宅街。

「あ……」

 時刻は、8時15分。遅刻決定である。
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