テトテヲトッテ ~杖と拳と時々亜人~

更楽 茄子

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高位鑑定士

その13

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「ランクばかり上がって、人間性は全く上がってない人達でしたの!」

目の前に料理が到着するも、少女の怒りは全く収まってなかった。

聞こえる様に陰口をたたいていたあの冒険者達がよっぽど気に入らなかったのか、プリプリしながら料理を食べている。


ふと思い出したように「これ…とても美味しいですの」と目を輝かせ、気付けばその料理の美味しさを満面の笑顔で3人に向って話している。

そんな少女を見ていると、周囲の高ランク冒険者の装備と自分達を見比べて気後れしてた自分達ってなんだったんだろうと思ってしまう。

そう考えるとなんだか可笑しくなり、ラーズとリズは顔を合わせてアハハと笑い出した。


突然笑い出す2人を不思議そうに見る少女、そして何か言うわけでもなくそこに居続ける黒衣の青年の、穏やかな時間は流れてゆく。



食事も終わり、4人は城へと向かう。

城の前の門番的な兵士にギルドで預かった紙を提示すると、別の兵士に連れられて、城中へと案内された。

案内された部屋は応接室の様なそれなりに豪華な感じで、椅子が用意してありそこに腰掛け呼ばれるのを待つ感じだった。

ぎゅうぎゅうとは言わないまでも、それなりに人がいて、鑑定は大盛況なようである。


周りを見ると、自分達と一緒に来た冒険者達もちらほらと見つかり、ラーズとリズは「ちょっといってくる」とそちらに行くと、その冒険者達と話を開始した。


残された少女は壁際の席に座ると足をプラプラとさせて、呼ばれるのをのんびり待っていて、その横には青年が腕を組み立っている。

そんな中々に異質な組み合わせの二人を、周囲は不思議そうに見ている感じだった。


鑑定が終わったのか、奥から出てくる人は色々な顔をしている。

良い結果だったのかガッツポーズをとって出てくる者、いまいち期待していた結果でなかったのか首をひねりながら出てくる者…そして頭を抱えながら出てくる者。

そんな人々を見ながら、少女はどんな事を言ってもらえるんだろうと楽しみにするあまり、プラプラする足がさらに激しさを増していた事に、本人は気付いてはいない様子だ。



しばらくするとずリズの番号が呼ばれる。

「先行ってくるね」と奥の部屋に向うリズの顔は少し緊張して見えた。

少し待つと次にラーズの番号が呼ばれ、同じく緊張の面持ちで奥の別の部屋へと向かっていく。



リズは呼ばれて部屋に入ると、奥の机の方に向かうように指示をされる。

そこには青い宝石の原石の様なものが載っており、向かいには文官風の立派な服を着た女性が座っていて、リズが机の前に到着すると、そちらへお座りくださいと椅子を手で示す。


「一応これも、ウィズ=ダムのギルドで預かってきました」

受付のお姉さんに貰っていた、自分の過去のクエスト完了一覧と、それに添えられたお姉さんからの送り書きを渡すと、椅子に腰かける。

これは鑑定にどの程度役に立つかはわかりませんがと、出発前にお姉さんが渡してくれていたのだ。


目の前の高位鑑定士ハイウォッチャーは「ありがとうございます」とそれを受け取ると、ふむふむと目を通す。

そして、目の前の青い宝石の原石の様なものに手を添える様に指示をした。


手から何か暖かいものが流れ込む感覚、そしてそれが体中を巡っている、そんな感覚。

目の前の高位鑑定士ハイウォッチャーはそんなリズを見ながら、手元の紙に何かを書きだす。

しばらくそのまま続けると「はい、楽にされて大丈夫ですよ」と声をかけられた。


そして話を聞いたところ、現状リズのジョブである攻撃魔法を使う魔法使いの才能と同等の回復魔法の才能も感じられるとのこと。

この様に二種の魔法の才能がある人はそこまで多くはないらしく、ちゃんと鍛えていけばかなり良いところまで狙えるとも言ってくれた。

前衛職は無理とまでは言わないが、自分の見る限りはその魔法関連を両方同じ様に磨いていき、ゆくゆくは賢者と呼ばれる魔法のエキスパートを目指す道を自分的には勧めるとも伝えてきた。


一通り説明を受けそれを記した診断書的なものを受け取ると、リズはありがとうございましたと席を立つ。

目の前の高位鑑定士ハイウォッチャーが笑顔で「がんばってください」を礼をして見送ったいた。


「ありがとうございました」と一礼をして部屋を出て扉を閉め、リズは椅子に座って待っている少女の方へと向かう。

そして、貰った診断書を見せて少女と2人でキャーキャーと盛り上がっていた。



しばらくすると、別の部屋からラーズも出てきて合流する。

なにやら現在の剣士もそれなりに適性があるが、それに加えて珍しい魔法を使う才能も、潜在的な魔力もそれなりにあるという。

その才能を活かすなら、魔法で自分や武器防具等を強化して戦う魔法剣士としての道も十分に考えられると言われたらしい。

両方の才能を持っていることはそれなりに珍しいので、出来たらその才能を伸ばしてくださいと背中を押してもらったとも言っていた。


街に来るまで、そして街に来てからもすこし凹んでいたように見えていた相方の顔が、やっと明るくなってくれた事にリズはとても嬉しくなった。

そして、お互い頑張ろうねと励ましあうのだった。

 
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