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本編
12話目 / 13話目
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『12話目・ハルキとカホとアキラとフユコ / 更楽茄子』
「なんというか、チートじみたスキルがあれば、こんなゲームみたいな世界はちょろいな。なぁカホ?」
漆黒の鎧で身を包んだ暗黒騎士のアキラが、隣に立つ魔法使い姿でギャル風の女の子に声をかける。
「それな?。それが4人でパーティー組んでとか、マジ最強っしょ?」
楽しげに話す二人の後ろで、一人の女声が聞こえるようにわざとらしく大きなため息を吐いた。
「とりあえず、あなた方はスキルがあるからと無茶しすぎですわ。わたくしの全快が無ければ何度死亡してたか分からないんですのよ?」
テンプレお嬢様の司祭姿のフユコが2人を指さしながら説教じみた事を言った。
そんな3人に背中を向け、白銀の鎧に身を包んだハルキは、祭壇に3つのアイテムを並べている。
3つのアイテム─────これは世界各地で4人が龍を倒して得たものだ。
赤い玉は【火龍ボルケーノ】を火山で倒して。
青い玉は【水龍ダイダル】を三日月湖で倒して。
黄色の玉は【土龍アースシェイカー】を砂漠で倒して。
世界各地で謎を解き、モンスターの巣食う洞窟を抜け、色々な人々の助けを受けて、やっと倒した。
そして、この3つの玉が揃う事で、魔王城への道が開かれるのだ。
そう、魔王城は常に3つの魔法壁で守られている。
その魔法壁は、どんな勇者であろうと破壊することは出来ない。
ただし、その魔法壁に対応した玉を祭壇に納める事でのみ、その魔法壁を解除することが出来るのだ。
普通に考えたらここまで来るのにそれ相応の日数がかかりそうなものだが、チートクラスのスキルを最初から持っている彼らは、一気にレベルを上げ、圧倒的な暴力で敵を倒し、新天地でレベル上げをして……とまさに廃ペースで駆け抜けたのだ。
まさにチート、そしてバランスの良いジョブが4人そろってしまった当然の結果だと言える。
「さぁ、始めるぞ」
ハルキが後ろの3人に声をかけると、後ろの3人も神妙な顔をして頷く。
ハルキが祭壇に開いた穴に玉を入れていく。
3つ入れ終わると、3つの玉が強い光を放ちだした。
その光に反応するように黄色の魔法壁が消え去り、黄色の玉の光が失われる。
次に青い魔法壁が消え、青い玉も光を失う。
最後に赤い魔法壁が消え、赤い玉も光を失う。
全ての魔法壁が消えると、3つの玉はパリーンと砕け散った。
「よし、これであとは魔王を倒すだけだな!」
「そーいえば、倒したら何か報酬出るんだっけ?。アタシ聞いてなかった」
「世界に平和を取り戻す、それだけで十分の報酬ですのよ!」
そんな3人に背を向けたまま、ハルキは魔王城を睨みつけると、某県の途中で手に入れた聖剣を頭上に掲げる。
「これで長かった戦いが終わる……お前達、あと少しだけ俺に力を貸してくれ」
「「「おーーーーーーーっ!」」」
そしてハルキが魔法壁が消えた魔王城への橋に足を踏み入れようとした瞬間だった。
─────ガチーン
頭が何かに衝突した。
何事かと見上げると、そこには赤い魔法壁があった。
───────────────────────
『13話目・魔法壁と私 / 更楽茄子』
(…もぉ、ギリギリじゃん!)
少女は目の前で魔王城への橋を渡る寸前の4人を見てそう思った。
「え?なんで赤い魔法壁が復活してるんだ?」
「ちょ、ちょっと!。なんか青い魔法壁も復活していってない!?」
「まさか、下から徐々に出てきてるのって、黄色の魔法壁じゃありませんの?」
3人は目の前の状況に焦り出す。
伝説に従って、4人は3種の玉を集め、それを捧げ、魔法壁を消したはずだった。
玉は役目を終え砕け散った。
玉を持っていた龍も既に存在しない。
こんな理不尽な話があるだろうか?。
クリア不能のゲーム世界とか、最悪だ。
「これはどういうことだ、女神よ!」
ハルキが空に向かって叫ぶが、あの最初の町以外で力を行使できない女神からの返事はなかった。
その時、突然目の前の3人が倒れる。
意味が分からず、ハルキはとっさに仲間のステータスを調べた。
─────System───────
カホ
大魔法使い Lv63:死亡
──────────────────
アキラ
暗黒騎士 Lv63:死亡
──────────────────
フユコ
聖女 Lv63:死亡
──────────────────
「…はっ?。なんでこいつらが死んでるん────」
言い終わらないうちに、一瞬で意識が飛ぶ。
そして、ハルキもその場に倒れた。
─────System───────
ハルキ
聖騎士 Lv63:死亡
──────────────────
「………もー、たった2週間でここまでくるとか、チートも大概にしてほしいわ…」
倒れた4人の後ろに、馬に乗った少女が現れた。
明らかに初期装備っぽい革鎧と腰に刺した短剣─────
鍵師のユキナだった。
残り:5人
「なんというか、チートじみたスキルがあれば、こんなゲームみたいな世界はちょろいな。なぁカホ?」
漆黒の鎧で身を包んだ暗黒騎士のアキラが、隣に立つ魔法使い姿でギャル風の女の子に声をかける。
「それな?。それが4人でパーティー組んでとか、マジ最強っしょ?」
楽しげに話す二人の後ろで、一人の女声が聞こえるようにわざとらしく大きなため息を吐いた。
「とりあえず、あなた方はスキルがあるからと無茶しすぎですわ。わたくしの全快が無ければ何度死亡してたか分からないんですのよ?」
テンプレお嬢様の司祭姿のフユコが2人を指さしながら説教じみた事を言った。
そんな3人に背中を向け、白銀の鎧に身を包んだハルキは、祭壇に3つのアイテムを並べている。
3つのアイテム─────これは世界各地で4人が龍を倒して得たものだ。
赤い玉は【火龍ボルケーノ】を火山で倒して。
青い玉は【水龍ダイダル】を三日月湖で倒して。
黄色の玉は【土龍アースシェイカー】を砂漠で倒して。
世界各地で謎を解き、モンスターの巣食う洞窟を抜け、色々な人々の助けを受けて、やっと倒した。
そして、この3つの玉が揃う事で、魔王城への道が開かれるのだ。
そう、魔王城は常に3つの魔法壁で守られている。
その魔法壁は、どんな勇者であろうと破壊することは出来ない。
ただし、その魔法壁に対応した玉を祭壇に納める事でのみ、その魔法壁を解除することが出来るのだ。
普通に考えたらここまで来るのにそれ相応の日数がかかりそうなものだが、チートクラスのスキルを最初から持っている彼らは、一気にレベルを上げ、圧倒的な暴力で敵を倒し、新天地でレベル上げをして……とまさに廃ペースで駆け抜けたのだ。
まさにチート、そしてバランスの良いジョブが4人そろってしまった当然の結果だと言える。
「さぁ、始めるぞ」
ハルキが後ろの3人に声をかけると、後ろの3人も神妙な顔をして頷く。
ハルキが祭壇に開いた穴に玉を入れていく。
3つ入れ終わると、3つの玉が強い光を放ちだした。
その光に反応するように黄色の魔法壁が消え去り、黄色の玉の光が失われる。
次に青い魔法壁が消え、青い玉も光を失う。
最後に赤い魔法壁が消え、赤い玉も光を失う。
全ての魔法壁が消えると、3つの玉はパリーンと砕け散った。
「よし、これであとは魔王を倒すだけだな!」
「そーいえば、倒したら何か報酬出るんだっけ?。アタシ聞いてなかった」
「世界に平和を取り戻す、それだけで十分の報酬ですのよ!」
そんな3人に背を向けたまま、ハルキは魔王城を睨みつけると、某県の途中で手に入れた聖剣を頭上に掲げる。
「これで長かった戦いが終わる……お前達、あと少しだけ俺に力を貸してくれ」
「「「おーーーーーーーっ!」」」
そしてハルキが魔法壁が消えた魔王城への橋に足を踏み入れようとした瞬間だった。
─────ガチーン
頭が何かに衝突した。
何事かと見上げると、そこには赤い魔法壁があった。
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『13話目・魔法壁と私 / 更楽茄子』
(…もぉ、ギリギリじゃん!)
少女は目の前で魔王城への橋を渡る寸前の4人を見てそう思った。
「え?なんで赤い魔法壁が復活してるんだ?」
「ちょ、ちょっと!。なんか青い魔法壁も復活していってない!?」
「まさか、下から徐々に出てきてるのって、黄色の魔法壁じゃありませんの?」
3人は目の前の状況に焦り出す。
伝説に従って、4人は3種の玉を集め、それを捧げ、魔法壁を消したはずだった。
玉は役目を終え砕け散った。
玉を持っていた龍も既に存在しない。
こんな理不尽な話があるだろうか?。
クリア不能のゲーム世界とか、最悪だ。
「これはどういうことだ、女神よ!」
ハルキが空に向かって叫ぶが、あの最初の町以外で力を行使できない女神からの返事はなかった。
その時、突然目の前の3人が倒れる。
意味が分からず、ハルキはとっさに仲間のステータスを調べた。
─────System───────
カホ
大魔法使い Lv63:死亡
──────────────────
アキラ
暗黒騎士 Lv63:死亡
──────────────────
フユコ
聖女 Lv63:死亡
──────────────────
「…はっ?。なんでこいつらが死んでるん────」
言い終わらないうちに、一瞬で意識が飛ぶ。
そして、ハルキもその場に倒れた。
─────System───────
ハルキ
聖騎士 Lv63:死亡
──────────────────
「………もー、たった2週間でここまでくるとか、チートも大概にしてほしいわ…」
倒れた4人の後ろに、馬に乗った少女が現れた。
明らかに初期装備っぽい革鎧と腰に刺した短剣─────
鍵師のユキナだった。
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