「君と暮せば毎日がちょっといい日」

るみ乃。

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「加湿器からは、アロマの香り」

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 最近、部屋がやけに乾燥してる。
 喉もそうやし、朝方に蒼汰が咳き込むのを見て、
 これはダメだなって……
 だから、蒼汰には内緒で加湿器を買ってきた。

 夜、スイッチを入れると、白い煙がふわっと立ち上る。

「……うわ」

 ソファに座ってた蒼汰が、目を丸くする。

「なにこれ。すご」
「加湿器、買ってきた」
「いつの間に……」

 近づいてきて、湯気に顔を寄せる。

「え、これ、めっちゃいい匂いする」
「アロマオイルが入ってる、オレンジ系にした」
「ほんまや。なんか落ち着くな……」

 蒼汰はそう言いながら、鼻先を白い煙に近づけて、軽く息を吸った。

「気に入ったか?」
「うん。めっちゃ」

 そう答えたあと、少し間を置いてから、
 照れたみたいに小さく笑う。

「最近、乾燥するって言ってたからな」
「……覚えてたんや」

 嬉しそうにそう言って、もう一歩距離を詰めてくる。
 気づいたら、俺の腕に軽く触れるくらいの近さや。

「喉?咳よくなるといいけどな」
「……ありがとう」

 蒼汰は小さくうなずいて、俺の横にぴたりとくっついた。
 加湿器からの白い煙が二人の間でふわふわ漂って、
 湯気に包まれるような暖かさがある。

「……あ」

 蒼汰が俺の肩に額をこつんと当てて、
 ちょっと笑う。

「なに?」
「この匂い……悠真の匂いみたい」

 くすぐったくて、でも悪い気はしない。
 俺は肩をすくめて笑った

「バカ…」

 蒼汰は小さく鼻を鳴らして笑いながら、
 ぐいっと後ろから抱きついてくる。


「……近い」
「寒いねんもん」

 湯気が立つ加湿器の前で、蒼汰のメガネが曇った。

「あっ、メガネ!」
「え、曇った?」

 二人して笑う。蒼汰は少し照れながら曇ったメガネを拭く。
 それでも腕を離さず、俺にくっついたまま。

「……こういう時間、好きやな」
「俺も」

 ふたりで笑いながら、白い煙と暖かさに包まれる。
 乾燥対策のはずの加湿器が、いつの間にか甘えタイムの中心になっていた。
 冬の夜、部屋は暖かく、空気はほんのりオレンジの香り。
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