「君と暮せば毎日がちょっといい日」

るみ乃。

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「朝の支度と、残る温度」

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 朝は、相変わらず慌ただしいはずなのに。
 今日はなぜか、蒼汰がやたらと動かない。

「……起きろ。時間だぞ」
「うーん……悠真が先に起きたらあかんのに……」

 意味が分からない。
 布団に埋もれたまま、俺の腕を掴んで離さない。

「離せ」
「やだ。朝は甘えていい時間やん」

 そんなルール、聞いてない。
 けど、眠そうな目で見上げられると、強く言えなくなる。

「五分だけ……」
 結局、五分以上経っていた。

 先に起きてキッチンでコーヒーを淹れていると、
 背中にぬくもりが当たる。
 蒼汰が後ろから抱きついてきた。

「おはよ」
「おはよう。ちゃんと起きたのか」
「起きた。……でもまだ眠い」

 頬を擦り寄せてくるのは反則だと思う。
 何も言えずに、そのままにした。

 朝ごはんを食べながら、蒼汰はわざとらしくため息をつく。

「仕事行きたないぁ~」
「今日は都市はじめだろ、頑張れ」
「悠真がおるのに?」
「俺も仕事だろ……」

 玄関で上着を着せてやる、蒼汰はマフラーを巻いたまま動かなくなった。

「どうした」
「……なんか忘れてる気する」
「何を?」

 一瞬迷ってから、俺は蒼汰の襟元を引き寄せた。
 軽く、唇が触れるだけのキス。

「……これ?」
「っ、ずる……もぉ、悠真、反則やん」

 蒼汰は耳まで赤くなってる。
 朝から何をしてるんだ、俺は。

「行ってきます」
「気をつけて」

 ドアを開ける直前、蒼汰が振り返る。

「今日もちゃんと帰ってくるから」
「当たり前」

 玄関が閉まって、部屋が静かになる。
 胸の奥に、ほんのり温かいものが残った。

 デスクの上にある、猫型保温コースタ-に
 コ-ヒ-の入ったマグを置く。
 これは、クリスマスに蒼汰からもらったものだ。

「……さぁ、仕事だ」
 誰もいない部屋にそう言って、俺も画面に向かった。
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