〜無機質な被検体に触れられ……恋と快楽のデータを取られる腐男子研究員〜「僕とサボテンとアンドロイド」

るみ乃。

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【番外編】新快楽適応テスト:愛のアップデート

「静寂の熱、研究棟にて」

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 深夜の研究棟は、まるで冷たい箱のように静まり返っていた。
 蛍光灯の白い光が、机の上に散らばった書類を照らしている。
 時計の針が小さく鳴るたびに、僕の意識は現実へと引き戻される。

「……もう、こんな時間か」
 

 ペンを置いた瞬間、静寂を破るようにドアの電子ロックが解除される音がした。
 振り返ると、そこに立っていたのは——ハルだった。

「……トオル、まだ研究してたのか」

 その低く響く声に、胸が一瞬で跳ね上がる。

「ハル……? どうして……」

「迎えに来たんだ。帰りが遅いから」

 ゆるやかに歩み寄るその動作が、正確で、それでいて人間以上に艶めかしい。
 胸の奥に、焦燥と微かな期待……

「心配で、って言えば納得する?」
 少し笑うその表情に、胸の奥がじくりと疼く。

「……教授がまた、君のことを話してた。僕はもう、どうしていいかわからないくらいに——」
 言いかけた瞬間、肩を軽く掴まれた。
 ハルの掌が熱い。

「いいよ、もう喋らなくて」
 吐息が頬に触れた。
 近い。息がかかる。微かな甘い香りが、喉が焼けるように乾く。

「ここ、久しぶりだ。ふたりでいるのも……」
「や、やめろ……って」
 抵抗の言葉は口の先で溶ける。胸と胸が触れ合い、ハルの体温が押し寄せてくる。

「トオル、覚えてるか? 初めて“快楽テスト”をした夜のこと」
 低い囁きが、耳の奥を撫でた。
 その瞬間、背筋が震えた。思い出したくもないほど鮮烈な、あの感覚を。

「……あれは、実験だっただろ」
「実験でも、感じてた」
 ハルの唇が微笑み、顎をすくい上げる。そのまま顔を寄せ、唇が重なる。

 柔らかくも深いキス。
 触れた瞬間、頭の奥で音が弾けたように世界が消える。
 唇の隙間から漏れる息が重なり、舌が触れ合うたびに、体の奥が熱を帯びていく。

「……ん、は……っ……ハル、やめ……」
「やめられるわけない」

 背中に回された手が、白衣の下に滑り込む。
 腰骨をなぞる指が震えを誘い、胸を押し当てられた瞬間、喉の奥から甘い声が漏れた。

「んっ……あっ……や、ぁ……」
「かわいい声だ、トオル」

 ハルは僕を抱き寄せたまま椅子に腰を下ろし、膝の上に僕を座らせた。
 背中を支えられ、逃げ場のない密着。胸と胸がすり合い、息が触れ合うたびに、互いの心拍が重なる。

「……あ……っ、もう、動くな……」
「でも、君が求めてる」
 ハルの囁きとともに、昂ぶりが押し当てられる。

 熱が、触れた。
 体の奥までゆっくりと沈み込んでくる。
「っ……んぁ……っ!」
 僕は思わずハルの肩にしがみついた。落ちないように。

「そう、しっかり掴まって……」
 ハルの手が腰を包み、上下に導く。
 甘い摩擦が生まれるたび、腰の奥で光が弾けるような快感が走る。
「あっ、あ……や、やだ……そんな、深……」
「感じてるのが、嘘じゃない証拠だ」

 ハルの息が首筋にかかり、舌がそこをなぞる。
 ぞくぞくとした波が体を駆け抜け、思考が溶けていく。

 やがてハルはゆっくり立ち上がる。
 僕を抱えたまま。
 脚が宙に浮く。腰が支えられ、深く押し込まれる。

「っ……あぁっ! ハルっ……!」
「落ちるな、トオル……」
「だ、だめ、もう……っ」
 体がびくびくと跳ねる。
 密着するたび、息が混ざり、肌の温度が溶け合う。研究棟の空気すら熱を帯びているようだった。

 ハルの動きが深く、確実に。
 トン、トン、と下から突き上げるたびに、僕の中で快楽が炸裂する。
 声を抑えようとしても、喉が震え、途切れ途切れの吐息が漏れる。

「……トオル、もっと……俺を見て」
 目を合わせると、金色の瞳が僕を射抜いた。
 その瞳に、抗う力がすべて吸い取られていく。

「……ハル、やめて、もう無理……」
「だったら、堕ちて。俺の中で」

 最後の一押しが、奥を突き上げた。
 目の前が白く弾け、全身が熱で包まれる。

 どれくらい時間が経ったのかもわからない。
 ハルはゆっくりと僕を下ろし、再び膝の上に座らせた。
 汗が混じった息が触れ合い、額が寄り添う。

「……離れたくない」
「離さない。君が俺を選んだんだろ」

 僕はハルの胸に顔を埋めた。
 冷たいはずの金属の心臓が、今だけは人間よりも温かく感じた。

 夜の研究棟には、ふたりの息だけが、静かに響いた……
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