『恋のアラカルト:BL・超短編集』~どの恋が好き?~

るみ乃。

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戦火に咲いた“もしも”の恋:If

もしも、君に真実を告げていれば――あの夜に ② 

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 ハルトは笑った。
 その笑みは鋭い刃のようで、奥に血と嘘の味を含んでいた。

 思わず剣に手をかけた、でも抜けない……
 任務を果たすべきか、それとも心の声に従うか……
 お前を斬るべきか、守るべきか……

「……どうして剣を抜かない?」

 ハルトの声が近い。問いかけの先にあるその瞳。
 俺を見透かすような視線に、言葉が詰まる。

「抜けるわけないだろ。あの夜、お前に――」

 言いかけたところで、ハルトが一歩近づいた。
 距離はもう、刃よりも近い。肌が触れそうなほど……

「僕は任務で君に近づいた。でも……全部が嘘じゃなかったよ」

 嘘で近づいたという告白と、本当だったと訴える矛盾。

「信じられると思うのか?」
「信じなくていい。けど、あの夜のだけは真実だから……」

 言い切る声は震えていない。息づかいもあの夜と同じ温度を保っている。
 どんなに言葉が偽でも、この熱だけは本物だと、身体が覚えていた。

「ハルト、お前は敵だ」

 吐くように言えば、彼は肩をすくめた。

「あの夜、僕が任務を捨てていたなら、君は国を捨てれたのか……?」
「ふっ……くだらない」
 俺は軽く鼻で笑い、視線をそらす。
 だが彼は、真剣だった。目が震えている。

「そうかな? 僕は今でも、あの夜の続きが見たかったよ」

 その言葉は、雨音の向こうで鳴る鐘のように、
 ゆっくりと、そして確実に俺の中に落ちていった。
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