『悪の幹部ですが、正義のヒーローの愛が重すぎて殉職しそうです』

るみ乃。

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第一章 死神は愛の包囲網から逃げられない

3.至近距離の攻防

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(ドォォォン!)

 背後でコンテナが爆発。夜空に火柱が上がる。

「ヒャッハー! さすがシャドウ様! 仕事早ぇ!」
「この隙に電子銀行のデータ、根こそぎいただきっす!」

 瓦礫の向こうから、『デッド・エンド』の下っ端どもがぞろぞろ現れた。
 ガスマスクに武器、見た目もかなり怖いやつら。
 最悪のタイミングだな…ここでヒーローと仲良く(?)話しているところを見られるわけにはいかない咄嗟に表情を凍らせ、光希を冷たく睨む。

「……増援か。ちょうどいい」
 冷たく言って、距離を取る素振り。
「貴様の相手は部下に任せる。俺は次の破壊地点へ行く」
 完璧な撤退ムーブのはずが……腰に、腕が回された。

「え、もう行っちゃうんですか?」
 耳元で甘ったるく囁く声。

「まだ戦闘ログ、全然足りてないです」
「せめて次の犯行予告……いや、連絡先でもいいです」

「なっ!?」
「シャ、シャドウ様!?」
 部下の一人が目を丸くして固まる。
 宿敵同士が、密着して内緒話をしてるようにしか見えない。

「気にするな!」
「これは敵の動きを封じるための、超近接戦闘術だ!」
「そうですよ」
 光希は楽しそう……

「僕の『愛の抱擁(ラブ・ホールド)』
 力を抜いて、僕に身を任せてください」

 背中に、彼の胸板の感触が伝わる。
 逃げ場ゼロ。やめろ! 部下の前で何を言ってるんだ、この光輝くストーカー!

「死ねッ!」
 肘打ちで振り払う。
 部下の視線が痛い。疑惑の目だ。

「フン。しぶといな。者共、この光の犬を始末しろ!俺は先に行く!」

 マントを翻し、煙の中に消えた。
 背後から聞こえるのは

「シャドウさーん! 今の振り向きざま、最高でしたー!」

 ……ヒーローにあるまじき絶叫。


 バイクにまたがりながら、後悔していた。
 明日、部下にどう説明すればいいのか。

 冷たい夜風が頬を打つ。
 でも、光希に握られた手首の熱だけは、いつまでも消えない。
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