『悪の幹部ですが、正義のヒーローの愛が重すぎて殉職しそうです』

るみ乃。

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第7章「仮面都市の祝祭」

31.息抜きデートは、逃げられません♪

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 この部屋に来て、もう数日。

 最初は本気で嫌だった。行動はだいたい把握されてるし、食事は勝手に出てくるし、寝る時間になると必ず声が飛ぶ。

「瀬戸さん、もう夜ですー!不健康ですよー!」

 ……うるさい。
 逃げて隠れてる身としては、
 落ち着かないし、気が休まらないし、
 正直、うざい……はずだったのに。

 今では、その声が聞こえないと
「……まだか?」
 とか思ってしまう自分がいる。
 完全に光希のぺ-スだなぁ……慣れるな俺。


 そんなある朝。
「おはようございまーす!起きてください、
 瀬戸さん!」
 ドアが開く音と同時に、
 光希がやたら大きな箱を抱えて現れた。

「……朝から何だその箱」
「サプライズです♪」

 嫌な予感しかしない。

「今日はですね、外出します」
「は?」

 聞き間違いかと思った。

「ちょっとした気分転換。息抜きデートです♪」
 息抜きデート……なんだその軽さ。
 でも、心臓が少し跳ねた

 箱を開けると、黒のタキシード一式と、仮面。

「……なんで仮面?なんでタキシード?」
「デートなので」

 さらっと言うな……ほんと。

「いや、待て。俺、逃亡中――」
「はいはい、その話は後で♪ただの息抜きですよ」

 聞いてない。

「着替えてください。十分以内で」
「強制かよぉ……」
「強制です!」

 箱から服を取り出して着替えると
 光希は後ろからシャツの襟を直しつつ、耳元で囁く。

「想像通り……♪ さすが僕の大切な人」
「想像すんな」
「毎日してますよ?」

 怖いやつだなぁ…

「ほら、行きますよ」
「ちょ、待……っ」

 手を取られる。

「迷子にならないでくださいね」
「誰が迷子になるかよ」
「前科ありますよ?」
「あれは作戦だ」

 軽口を叩き合いながら、玄関へ。
 ドアの向こうに広がるものを想像して、
 不安と、ほんの少しの期待が、胸の奥で混ざった。
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