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困惑1
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只今の時刻、午前10時を過ぎた頃。
たとえ休みであろうとも仕事に行く時とほぼ同じ時間に起床し、早2時間。
起きてからというもの何もせず、ただぼんやりと見慣れた天井を見つめていた。
脳裏に浮かぶのは昨日の出来事。あの人の綺麗な海色の瞳が、頭から離れない。すごく綺麗で、惹き込まれる瞳だった。
読書が好きみたいだったし、たぶん好みも似てる。しかもあのカフェの常連。きっとあの時間に行けばまた会える。
……会いたいな。
ふと思った自分の素直な気持ち。
それに気づいて驚愕する自分。
『ふふふっ、美樹ちゃんもしかして、一目惚れかい?』
昨日の店長の言葉が脳内で再生される。
いやいや、そんなわけない。そんなわけ……ない。
「気分転換に行こう」
ベットに張り付いていた体をがばっと起き上がらせ、適当に鞄に荷物を詰め込み、外に出た。
「眩しい……」
外は雲一つない晴天で、目には容赦なく陽の光が差し込む。
「散歩にはうってつけかな」
目的があるわけでもなく、ただ気の向くままに辺りを歩いて気を紛らわした。
「はずだった……」
なぜ私はここにいるのか。
目の前には通い慣れたいつものカフェ。
そう、ちゃんと私は気分転換してたのよ。周辺を散歩して帰宅するつもりが、気がついたらここに……。
「はあー」
帰ろう。
くるりと踵を返して帰路に着こうとしたタイミング。
「あれ? あなたは……」
ふと声をかけられそちらを向けば、そこには今私の悩みの種である人物が。
「あっ、昨日の……」
確かに会いたいとは思いました。はい、それは認めますけども、今日なのはちょっと心の準備があー!
「寄っていかれるんですよね?」
「あっ、はい」
そう返せば、彼はどうぞと扉を開けてくれた。
「ありがとうございます」
そうお礼を言い店内へと足を踏み入れる。
「いらっしゃいませ」
いつも通り店長と光輝君がそう言ってお出迎えしてくれるのを横目にカウンターへと足を向ける。
「美樹ちゃんと恭弥君が一緒に来るとは驚いたよ。昨日の今日でそんなに仲良くなったのかい?」
「いえ、外で偶然お会いしたんですよ」
「そうなのかい? まあ2人がこんなに早く来てくれるのは珍しいけど」
休みの日ももちろん来るけど、いつもは午後がほとんどだもんなあ。
「彼も珍しいんですか?」
「うん。恭弥君は基本的にいつでも夜だからね」
へえー。仕事、不定期な休みなのかな?
「仕事、何されてる方なんですか?」
「ふふふっ、美樹ちゃん。そんなに気になるなら本人に直接聞いたらどうだい?」
うっ……仰る通りだ。
「……いえ、大丈夫です」
鞄から読みかけの本を取り出し、読書をする体制へ移行する。
「アイスオーレをお願いします」
「かしこまりました」
店長はそう言って裏に下がっていった。
まだ開店してあまり時間が経っていないからかお客さんは疎らですごく静かな空間が創り出されている。
ああ、やっぱりいいな、ここ。
「お待たせ致しました」
そう思ったタイミングでアイスオーレが運ばれてきた。
「ありがとうございます」
「ごゆっくりどうぞ」
店長はにこっと微笑み、カウンターの中で自身の仕事をし始めた。
それを確認した後、私は本の世界に入り込んだ。
たとえ休みであろうとも仕事に行く時とほぼ同じ時間に起床し、早2時間。
起きてからというもの何もせず、ただぼんやりと見慣れた天井を見つめていた。
脳裏に浮かぶのは昨日の出来事。あの人の綺麗な海色の瞳が、頭から離れない。すごく綺麗で、惹き込まれる瞳だった。
読書が好きみたいだったし、たぶん好みも似てる。しかもあのカフェの常連。きっとあの時間に行けばまた会える。
……会いたいな。
ふと思った自分の素直な気持ち。
それに気づいて驚愕する自分。
『ふふふっ、美樹ちゃんもしかして、一目惚れかい?』
昨日の店長の言葉が脳内で再生される。
いやいや、そんなわけない。そんなわけ……ない。
「気分転換に行こう」
ベットに張り付いていた体をがばっと起き上がらせ、適当に鞄に荷物を詰め込み、外に出た。
「眩しい……」
外は雲一つない晴天で、目には容赦なく陽の光が差し込む。
「散歩にはうってつけかな」
目的があるわけでもなく、ただ気の向くままに辺りを歩いて気を紛らわした。
「はずだった……」
なぜ私はここにいるのか。
目の前には通い慣れたいつものカフェ。
そう、ちゃんと私は気分転換してたのよ。周辺を散歩して帰宅するつもりが、気がついたらここに……。
「はあー」
帰ろう。
くるりと踵を返して帰路に着こうとしたタイミング。
「あれ? あなたは……」
ふと声をかけられそちらを向けば、そこには今私の悩みの種である人物が。
「あっ、昨日の……」
確かに会いたいとは思いました。はい、それは認めますけども、今日なのはちょっと心の準備があー!
「寄っていかれるんですよね?」
「あっ、はい」
そう返せば、彼はどうぞと扉を開けてくれた。
「ありがとうございます」
そうお礼を言い店内へと足を踏み入れる。
「いらっしゃいませ」
いつも通り店長と光輝君がそう言ってお出迎えしてくれるのを横目にカウンターへと足を向ける。
「美樹ちゃんと恭弥君が一緒に来るとは驚いたよ。昨日の今日でそんなに仲良くなったのかい?」
「いえ、外で偶然お会いしたんですよ」
「そうなのかい? まあ2人がこんなに早く来てくれるのは珍しいけど」
休みの日ももちろん来るけど、いつもは午後がほとんどだもんなあ。
「彼も珍しいんですか?」
「うん。恭弥君は基本的にいつでも夜だからね」
へえー。仕事、不定期な休みなのかな?
「仕事、何されてる方なんですか?」
「ふふふっ、美樹ちゃん。そんなに気になるなら本人に直接聞いたらどうだい?」
うっ……仰る通りだ。
「……いえ、大丈夫です」
鞄から読みかけの本を取り出し、読書をする体制へ移行する。
「アイスオーレをお願いします」
「かしこまりました」
店長はそう言って裏に下がっていった。
まだ開店してあまり時間が経っていないからかお客さんは疎らですごく静かな空間が創り出されている。
ああ、やっぱりいいな、ここ。
「お待たせ致しました」
そう思ったタイミングでアイスオーレが運ばれてきた。
「ありがとうございます」
「ごゆっくりどうぞ」
店長はにこっと微笑み、カウンターの中で自身の仕事をし始めた。
それを確認した後、私は本の世界に入り込んだ。
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