上 下
88 / 232
14.契約魔法のせいで

♥(11)

しおりを挟む
「……。……お前さ、出せないって言ったけど……感じないわけじゃないんだな」

 一旦手を止め、また動かしてみる。狙いを定めて、同じ場所を圧迫する。
 すると口で答えるより先に、リュシーの身体が跳ねて応えた。

「やっ――…」
「ってことはもしかして……」

 うなじにかかる青い髪を鼻先でかき分け、あらわにさせた生え際に舌を這わせる。その一方で、リュシーが反応した場所を再度試すように刺激した。

「あぁっ、や、やめっ……!」

 とたんにリュシーは背筋を撓らせ、ふるふると頭を振った。けれども、そんな言動とは裏腹に、内壁はもっと欲しいとでも言うようにきゅう、とその指を食い締める。リュシーの腰がゆらりと揺れる。先を望むみたいに粘膜が絡みつく。
 
「――やっぱりな」

 ロイは隻眼を僅かに眇め、掠れた声で囁いた。ぎらついた金の瞳に、いっそう高揚した色が灯る。
 中から煽る動きに合わせて、リュシーが吐息を震わせたとき、ロイは不意に手を止め、一気に指を引き抜いた。

「ぁ……っ、……!」

 一方的に高められ、途中で放り出されて、もどかしいように戦慄くリュシーの唇。とっさに開きかけた瞼は、けれどもなけなしの理性がすぐに引き下ろした。

「挿れるから、ゆっくり息してろ」

 そんな反応に確信を得たロイは、急くようにリュシーの腰を支え、手早く取り出した自身の先端を目の前の窪みに触れさせる。そのままぐっと腰を押し進めれば、僅かに開いていただけの入り口が、ロイの屹立に添って広がっていった。

「いっ……」
「できるだけ、優しくしたいところだけど――」
「べ、つに……優しくなんて、しなくていいですっ……」

 リュシーの呼気がひくりと引き攣る。
 限界近くまでひっぱられた皮膚から、ぴりぴりとした痛みが走る。
 それでもまだロイのそれは収まりきっていない。収まりきっていないどころか、ほんの序盤にすぎないかもしれない。

 そう思うと今更怯んでしまいそうになるけれど、例えばいまここでやめろと言ったところで、もうこの発情しきった狼は止まらないだろう。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ドSで浮気性の彼氏とドMな俺

BL / 連載中 24h.ポイント:773pt お気に入り:311

異世界迷宮のスナイパー《転生弓士》アルファ版

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:113pt お気に入り:584

イケメン幼馴染に執着されるSub

BL / 連載中 24h.ポイント:269pt お気に入り:168

人外さんと人嫌いちゃん

恋愛 / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:57

いつから魔力がないと錯覚していた!?

BL / 連載中 24h.ポイント:16,550pt お気に入り:10,454

攻略対象5の俺が攻略対象1の婚約者になってました

BL / 完結 24h.ポイント:1,221pt お気に入り:2,625

拗れた初恋の雲行きは

BL / 完結 24h.ポイント:92pt お気に入り:139

伯爵令嬢は執事に狙われている

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,237pt お気に入り:450

処理中です...