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【閑話】○○しないと出られない部屋(ラファ×ギル)

♥(4)

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「僕もそう暇じゃないんです。あなただって、このままずっとここに僕と二人きりでいるのは嫌でしょう? ……だから、ね。ちゃんと集中して」

 ダメ押しのように言えば、やはり納得はいかないのだろうが、それでも覚悟を決めたみたいに頷いてくれた。このまま無駄に粘るより、とっとと済ませてしまおうと切り替えたのかもしれない。
 必死に舌を這わせて、慣れないそれにえづきそうになりながらも、どうにか喉奥を開こうとしている。そのある意味可哀想とも見える姿に、かえってラファエルは煽られる。

 煽られるまま、ラファエルは素直に吐精した。
 もっと堪えることも可能だったが、そこはあえて我慢しなかった。

 不意打ちのようなそれに、ギルベルトは驚いたように目を瞠り、ラファエルのそれが引き抜かれれば身体を折って激しく咳き込んだ。

「飲まなきゃだめですよ」

 そうじゃないと出られませんよ。
 念を押すと、ギルベルトは生理的な涙をこぼしながらそれを嚥下した。

 ……まぁ、本当に嫌で泣いていたのかもしれないけれど。

「は……っぁ、まっず………」

 まだ軽く咳き込みつつ、おえ、と舌を覗かせたギルベルトの口元は、艶めかしく濡れたままだった。本当はすぐにでも拭ってしまいたいのだろうが、ギルベルトの腕は縛られたままなのでそれも叶わない。

「ったく、何で俺様がこんな……。あ、ほら、もういいだろ。ほどけよ、腕」

 愚痴るように言いながら、ようやく思い出したみたいに、ギルベルトはよろよろと立ち上がり、ラファエルへと背を向ける。
 ラファエルは「そうでしたね」と縛めていた紐に触れ――けれども、結局それをほどくことはなく、次にはギルベルトの身体をベッドの上へと引き倒していた。

「っ! ――は?! な……っ」

 え? という顔をするギルベルトの上に乗り上げながら、ラファエルはにこりと微笑んだ。

「気が変わりました。ついでだから続きもしましょう。身体で飲んでくれてもいいと思いますよ」
「は?! いや、おま、何っ……つか! もう飲んだだろ! 今!!」
「まだ不十分かもしれません」
「いやいやいやマジ何言っ……え、お前ばかなの!?」

 ギルベルトは身を捩り、縋るようにドアを見る。

「あっほら! ドア! ちゃんと直ってるし!!」

 言葉通りに、そこにはいつのまにかドアノブが現れていた。
 なのにラファエルは「そんなわけないじゃないですか」と笑うばかりで一向にそちらを見ようとしない。

 それどころか、どこか恍惚とした表情でギルベルトの口元を指先で拭いながら、そういえば……と白々しく付け加えてくるのだ。

「あの紙には、〝しないとあなたの腕は自由にならない部屋〟って書いてあった気がします」

「おまっ……マジばかだろ!!」

 ギルベルトの悲鳴のような喚き声の中、窓の外を青い鳥が横切った。





 END
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