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第7章

急な訪問

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部屋でまどろむリサ。
ナオトとのデートよりも、激しく抱いてきた岡田のことばかり考えてしまう。
「ああ、忘れられないわ。あの夜のこと」
抱かれてから2週間は経っているというのに、いまだにあの夜のことを思い出す。
心の底から会いたいと思うリサ。
その時だった。
スマホのベルが鳴る。
「はい」
ナオトからの電話だった。
驚いたリサはスマホを落としてしまう。
「どうした?リサ」
「ごめんなさい。急に電話が鳴ったから驚いちゃって」
「電話が鳴っただけだろ?そんなに驚くか?」
「え?」
「考え事でもしてたんじゃないのか?」
「考え事なんて・・・してないけど」
「そうか。ならいいけど」
「それより、なにかあったの?」
用件がなければ電話なんてかけてこない。
「今さ、マンションの前にいるんだ」
「え?!」
「ちょっと酔っ払っちゃってさ、家に入れてよ」
「それは・・・ちょっと待ってて」
「なんで?なんですぐに入れてくれないんだよ」
「えっと、部屋がゴチャゴチャだから・・・」
「そんなこといいよ」
「だめよ」
「そんなリサ、嫌いだぞ」
「わ、わかったわ。鍵を開けるから」
急いで玄関の鍵を開けた。
「そんなに汚くないぞ?」
部屋を見たナオトは言った。
「そう?よかった」
「それとも、誰か来てたのか?」
「え?来てないわ。ただ、片付ける暇がなくてね」
「片付ける暇がない?おかしいな」
「おかしい?」
なんだか、いつものナオトじゃない気がする。
目つきが疑ってるようだし。
「その首に掛かってるペンダントはなんだ?」
「え?あ、これは・・・」
「ハートのペンダントなんて、リサの好みじゃないだろ?」
ナオトは私の好みまで知っている。
確かに、ハート型なんて普段は選ばない。
婚約者だからこそ、フィアンセの好みを見抜いている。
怖いけど、嬉しい気持ちに包まれる。
そう思っていたら、後ろからガバッとナオトが抱き着いてきた。
「あ、ナオト」
「リサ、シャンプーの香り・・・変えた?」
「え?」
「前の香りと違うよね」
「き、気のせいじゃない?」
「この香りって、岡田の好きなラベンダーの香りだよね」
「え?!そ、そうかな」
「リサ、こっちを向けよ」
「なに?」
バシッ!
ナオトはリサの頬にビンタをしてきた。
「な、なにをするの?!」
リサは震える手で頬を押さえる。
痛みで涙目になるリサ。
なんで?なんでこんなことをするの?

次回へ続く・・・
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