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第26章

本当に伝えたいこと・・・

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「あ、あのね」
リサは岡田の浮気の相手に渡す慰謝料を工面してほしい・・
と、いきなり言えなかった。
ただお金が必要とだけ伝えた。
「そうか。いいんだ。俺にできることならなんでもするよ」
「ありがとう・・・」
ほんとに、こんなにもナオトが心強く感じたのは初めてだ。
「ごめんね。私の方から別れを切り出したっていうのに」
「いいんだよ。俺はリサを愛してるんだから」
愛してる。
私も愛してる。
でも、あのまま一緒にいたら、自分がダメになりそうだった。
だから、別れた方がいいと思った。
でも、岡田と暮らしてみて、お腹の子供が幸せになるのか不安になってしまった。
やはり、血がつながらない子供を本気で愛してくれるとは思えない。
もしかすると、虐待されることもあるだろう。
1人で子供を産んで育てるのも大変だと思う。
子供も本当の父親がいる方がいいだろう。
そんなことを思うと、リサはナオトにやり直してほしいと本気で伝えたかった。
いや、伝えなければいけないだろう。
「あのね・・・」
「俺・・・」
「ナオトの方から話して」
「あ、いや。お腹の子供は元気かなと思って」
驚いた。
すっかり子供のことなんて忘れているだろうと思っていたのに。
いきなり心配してくれるだなんて。
「うん。ときどきね、お腹を蹴ってくるの」
「そうか。かわいいな・・・」
かわいい。
ナオトもそう思ってくれている。
そんな、そんな本当に血が繋がった人と家族3人で幸せに暮らしたい。
本気でそう思ったリサ。
「ね、ネオト・・・」
やり直してほしいと伝えようとした時だった。
ふと、斜め向かいに、見覚えのある男が座っているのに気づく。
こちらをジッと見て睨むその男は・・・岡田だった。
「ハッ!」
リサの心臓が止まりそうになる。

次回に続く・・・
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