気まぐれ先生の学園生活

海下

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プロローグ

迷い中

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 オレは今迷っている。
 定番な道にではなく飲み物で、だが。

 
 「んー」

 
 かれこれ数十分無駄にでっかい売店の一角で迷っている様は非常に目立ち、通りすがりの生徒たちの視線を集めていた。
 売店のおじいちゃんも声がかけられないくらい真剣に悩んでいるため何も出来ない。お手上げだあー、なんて。
 まあ、そんなことは百も承知。だけどオレにはすごく凄く大事な悩み事。なので悩む。
 するとそこへふたつの影が忍び寄っていた。


 「「ミ~ィちゃん!!」」
   「わっ」


 びっくりして振り返ってみると予想通りのそっくりなふたつの顔。オレの同僚であり同い年な双子。
 兄の白州  斗亜シラス ー トアと弟の白州  乃亜シラス ー ノアである。新一年のクラスを持っており担当は数学である。
 ここでひとつ豆知識、トアノアは力が滅茶苦茶に強い。
 「何してるの~?」とオレの両腕に絡みついてきた。


    「なに牛乳飲もうか決めかねてたの」
 「やっぱり王道のイチゴじゃない~?」
 「バナナも最高だよ~?」
    「でもレモンも捨てきれない」 
    「あっコーヒー牛乳~!!」
    「メロンもおいしい~!!」


    独特なテンポ感で会話を続ける。
 んーやっぱここは、
 

    「よし、みかん牛乳にしよー」
 「「僕たちのも買って~!!」」
    「いいよー」


 決して紅ま〇んな産のみかんという文に惹かれてしまった訳ではなくもない。否、紅〇どんなに惹かれてしまった。
 トコトコと牛乳を持ってきたトアノアを視界の端に捉えるとレジに向かって歩き出す。


「やっぱり~」
「定番の~」
「「ミックス牛乳だよね~」」


 そういう結論に至ったらしいトアノア。二人は消費が早いので大きいボトルで買うんだそう。カゴが地味に重たい。
 少し重たくてよいしょと力を込めようとするとひょいと横にいたトアにカゴを取られる。
 反対にいたノアはオレの腕をモミモミしてくる。


「トアありがとね」
「軽いからだいじょぶ~」
「ミーちゃん筋肉減っちゃったね~」
「「せっかく筋トレ頑張ってたのに~」」 
「、っなんで知ってるの」
「だいじょぶだよ~」
「僕たちしか知らないから~」


 え‪”‬、待て待て待て待て。


「いつから知ってたの!?」
「「帝紀生の時から~」」


 帝紀生というのは帝紀学園学生の略。 
 つ・ま・り、何年も前から知られていたということ。
 前から力のことでトアノアからいじられていたことは分かっていたがまさかオレが気にしていたことを知っていていじっていたというのか。それで筋トレをし始めたことも知られているのか。ほんとに恥ずかしい。やばい。もうヤダ。

 
「考え込んでるね~」
「顔真っ赤だね~」
「「可愛ぃーね~!!」」
「やめて!!!」


 そんなこんなでレジを済ませ店先でトアノアと別れた。
 二人でクラスを持つトアノアはまだ新一年生の名前を覚え切れてないらしく「「がんばるぞ~!!」」と笑顔で去っていった。

 オレはみかん牛乳片手にダラダラと保健室へ帰ることにした。


 そんなオレの後ろ姿をトアノアがクスクスと笑いながら見守っていたことに、オレは気づかなかった。
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