従僕と柔撲

秋赤音

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番外「剣火に燃える」

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10時。
長椅子で読書をする彼女に悪戯する。
間食はしないが、羞恥と快楽が混ざって喘ぐ様を見るのはやめられない。
限定規則下でも変わらない。
あえて、変えない。

いつも思うが、スカートや裾幅が広いズボンは無防備だ。
丈の長さが短い程、守りが薄くなる。
ヤればできる性能を持つ体が身につけるとすれば、機能性を求めるときだと信じたい。
着飾る目的だとすれば、安全が約束されていないと恐ろしい。
いつ、いかなる時でも理性的に、倫理観に従い行動しなければいけない。
この世全ての人間が理性的に行動できればいいが、叶うことはないだろう。
相手の同意があるとはいえ、今ここに、良いことと言いがたいことをする人がいるのだから。
今日はワンピースの気分らしい彼女は、素足でくつろいでいる。
買い与えたいくつかを着こなす姿に満足する。
うつ伏せて本を読む彼女の足がある側から、あえて足音をさせながら近づく。
すると、華奢な肩がわずかに跳ねた。
いつもなら姿勢を変えて正しく座り、自分を見て「御用ですか?」と聞いてくる。
だが、今日はできない。
指示通りに動く彼女を心で讃えながら、服の上から腰に指を這わせる。

「…っ」

ビクンと反応する体を褒めるようにお尻をつたって、素足を撫でる。
裾の中に入れないで、そのまま指を下着が食い込むところにそっと押し撫でる。

「…ぁっ、…く、ぅ…っ」

すると、自然に足が開かれた。
習慣とは恐ろしい。
無視は続いているので、そのまま陰部の口に指を押し当てながら陰核を弄ぶ。
彼女からもいつもより強めに擦り当ててくるので、続ける。
いつもなら淫らに続きを強請られるが、言えない状況が彼女を大胆にするのかもしれない。
読まれていた本は、彼女の手により長椅子の傍にある机の隅に置かれた。

「は…っ…んぅっ、ぁあ…っ!」

ワンピースにできた染みが絶頂を迎えたことを示した。
イき癖がついた体は、布越しでは足りないと無言で強請る。
要望に応え、裾の中に腕を伸ばした。
ナカに導こうとする動きを避けて、下着ごしに陰核と淫口への愛撫を再開する。

「ぁ…っ…んっ、んぁんっ…ぅう…っ」

もどかしそうに啼く彼女。
涙声まで混ざりながら、腰を振っている。
絶頂が重なるときに放置すると狂ったように乱れるのを思い出した。
無視される側なので、久しぶりにしてもいいかもしれない。
惜しむようにゆっくりと指を離して、台所に行き飲み物をとって居間を出た。

12時。
昼食を終えると、浴室から音がした。
彼女が身を清めているのだろう。
近づくと、細く唸る艶やかな声がした。
初めての悪戯を思いつき、実行するために着替えを用意するため自室に戻る。
脱衣場に戻ってきても、声はしていた。
むしろ、燃え上がっている。
無視されるなら無視してもいいだろう。
浴室の扉を開けた瞬間に半身欲をしている彼女へ笑みを向け、そっと扉を閉めた。
目が合った瞬間に絶頂したようで、男を誘う声が響いた。
だが、無視をする。

「あれ、シャワーついてる。
まあいいか」

「ぁ…っ、んんん…っ!」

わざとらしく声を出し、目の前で体を洗う。
横目に見た彼女は無視をするためか自分を見ていない。
しかし、湯が波打つ音と荒い吐息が聞こえる。
興奮して勃起したものを扱けば、切ない声で啼いて絶頂した。
彼女に触れることなく少しだけ扉を開けたままにして浴室を出て、自室に戻る。
脱衣場に置いた水に気づくと願った。


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