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秘めた心
2.その執着は、
しおりを挟む全寮制で、卒業するまでは親族と面会も禁止されている。
生徒は全員男性で、
唯一いる女性職員が目の保養とクラスメイトは言っていた。
「和馬。お前、本当に男か?
美人ぞろいの先生や職員で、なんとも思わないってさ」
「ここへは修学のために来ている。
空腹が満たされるなら、保養になるが」
「そういう保養ではなくてだな」
「まあまあ。許婚一筋なんだな」
「当然だろう。では、失礼する」
談話室から個室に戻る。
一人になって思い出すのは、透明のガラス。
その瞳から感情が消えても、冷え切ったわけではない。
夏木野と俺、妹の亜紀羅には温度がある。
「元気にしているだろうか」
との問いに、答えはないはない。
許婚の亜紀羅と連絡を絶やすことはないが、会っていない。
亜樹十も、亜樹羅も、俺が守りたい。
幼い頃、
内に閉じ込めた痛みに目を向けてくれたのは二人だけだった。
できることは当たり前だと、
できないことがあれば罪人のように親族そろって責められる。
そして、なかったことにして、できるまで機会を与えられる。
要求が満たせるならば、俺でなくてもいいと言う。
自立するには足らない状況で、
見捨てられないように足掻いていた。
そんな時だった。
初めてなら、できなくて当たり前。
そして、できるまでの過程を認めてくれた。
透明なものが、つかめるような形になった瞬間だった。
「もう少しだ」
卒業と同時に約束された婚姻。
生まれた家に愛着はないが、利用できるものは全て使う。
息子が欲しい相手とお金が欲しい親同士の思惑。
おかげで、大切な人の隣にいられる。
俺が相手の家名で名乗り、亜紀羅と当主としての役割を果たす。
そうすれば、亜樹十を家のための婚姻から少しでも遠ざけられるはずだ。
ほしいのは、亜樹十と亜紀羅だけ。
俺が、二人の願いを叶えたい。
愛する二人に、望まれる行いをしよう。
もし、それで幸せだと思ってくれたなら。
それが俺の幸せだ。
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