幸せという呪縛

秋赤音

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哀しても、愛してる

0.罪と罰

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昔、とある夫婦が大恋愛の末に結ばれた。
しかし、それまでに泣かせた人間の多さは桁外れ。
それが愛と知の女神の逆鱗に触れた。
結果、一部の言葉の意味が反転する呪いを三代に科した。
声に出すときだけ、という条件だった。
逃れることを祈った夫婦。
時間が過ぎても降りかからないと安堵したが、
恵まれた二人の子供には呪いがあった。
そして、「呪い持ちは声を出さない」ということにした。
生まれた子供から始まった呪いと習わしは、時が流れて…。


「夫ってね、本当に良くないです。
昨日は、作った料理を美味しくないって言いながら皿を空にしてくれます。
毎日作るたびに言うので悲しくなります」

「わかるよ。
妻も、私が作った料理を美味しくないと言いながら綺麗に食べる。
本当に悲しい」

どこにでもある一軒家の、よくある居間、
顔立ちが似ている男性と女性が、とても楽しそうに話をしている。

「目の前で、ああ話されると、少し照れますね。
妻の料理は本当に美味しいので、感謝も込めて言っているだけですが…」

「同意します。嬉しいですけどね。
夫も料理が上手で…手先が器用なので、可愛い細工もしてくれます。
私、食事の支度をしてもいいですか?」

「そうですね。僕も手伝います」

その二人の話題の中心になっている人たちは、
照れるように目を泳がせて、そわそわした様子。
足早に台所へ向かった。


中庭では、二人の子供が遊んでいる。

「久音。私、それを欲しいって言いましたけど…」

「だから、こう…すれば、ほら」

男の子は女の子に虫を見せた。
女の子がそれを怖がって拒否すると、男の子は虫を地面へ埋めた。
その行動に、女の子の機嫌が悪くなっている。

「だからって!埋めるなんて…」

言い争いになりかけた、その時。

「咲音、久音。ご飯作るの、手伝ってください」

台所から来た男性が、子供たちに声をかけた。

「「お断りします」」

そう言いながら、楽しそうに大人の背を追いかかる子供たち。

「そろそろ、詞音くんが来ますね」

男性が子供に優しい笑みで、そう言った。

「「会いたくない」」

子供たちは嬉しそうに大人を見上げている。

「そうですね」

すると、来客を伝えるベルが鳴る。

「ここで待ってください」

男性が玄関へ向かった直後、女の子は先に台所へ向かった。
男の子がおとなしく待っていると、
男性と共に現れた男の子。

「詞音!会いたくなかった」

「久音。俺も会えるのを楽しみにしてたよ」

「二人とも、居間へ行きますよ」

白崎と書かれた表札がある門の内側には、
簡単には打ち明けられない秘密がある。
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