125 / 147
自己中心 ― 閉ざした世界
0.幸せの代償
しおりを挟む
狂人一家と呼ばれる三家は、普通とは縁遠い暮らしを過ごしている。
政略結婚は当たり前。
互いを尊重し共に暮らしを支え合う。
子供は授かりもので、
実子ができなくても家系から養子をもらうのは当たり前のように行われている。
万が一にも不義理な子が生まれたら、病死に見せかけ間引き問題を避けるのも当たり前だ。
一人の妻と一人の夫、そして子供がいる生活が普通の時代。
狂人たちは、普通に見せかけながら契約を結んだ伴侶でない者と共に過ごす。
隠せていると思い込む狂人たち。
しかし、現実は違った。
生まれ育った不義理の子供たちは、世間の好奇と嫌悪の目に晒されている。
知らないふりをしていた。
幼い頃は当たり前だと思っている光景は、世間だと異端扱いだと。
それも、成人を目前にすると見ないふりができないほどに迫ってきた。
広い敷地に建つ四つの館のうち三つは、不義理の場所だ。
初めから夫婦の誓いを破り、伴侶と違う相手と子を成す人たち。
里栖谷家は、幼馴染の幸せを守る番人らしい。
不義理を「家の都合で引き裂かれた純愛」と言って囲い、見守る両親。
僕と妹は、成人すると全てを押しつけられた。
正当な後継者と不義理の子を残して旅立った両親たち。
社交場での痛い視線には幼い頃に慣れてしまった。
爽やかな風、心地よい日差しの静かな庭。
穏やかに微笑む可愛い妹。
素晴らしい光景は、聞こえてきた足音に壊された。
仕事仲間で妹の冬華も誘い仕事の休憩をするために座ってお茶をのんでいただけなのに。
「塔夜くん。お仕事、お疲れ様。
私と、必要なら七美も呼んで遊んでいいんだからね」
反吐が出そうな甘ったるい声で僕を呼ぶのは、一歳違いの妹のような人。
桐ケ谷 七音は、縁が切れている七美まで巻き込もうとしている。
僕の片腕を強引に掴んで女の特権である胸の柔さを押しつける。
両親によく似て媚びを売ることは上手い。
事情を知らなければ、可愛さに堕ちていたかもしれない。
不義理の子供は、平然と不義理を求めてくる。
「「冬華ちゃん。俺たちと遊ぼう?」」
妹に媚びを売る桐ケ谷 夏樹と尚人は、同じ年だからか馴れ馴れしい。
嫌がる素振りも気にせず、欲望を隠さない視線を向けている。
桐ケ谷家の妻が不義理で生んだ命は、親に似て欲望に忠実だ。
既婚者になった幼馴染の愛情を拒むことなく受け入れ成した命は、
僕たちの暮らしを脅かしている。
桐ケ谷家の妻は、成人した僕たちを捨てて家を出るときも、身ごもっていた。
有栖谷家や来栖谷家の夫は、
結婚後も幼馴染の桐ケ谷家の妻とも愛を深めて頻繁に出入りしていた。
ふと、自立して旅に出た彼らを思い出す。
同じ種類の人であるが、僕や妹に実害がでないからよかった。
桐ケ谷家の夫が種を注いだ有栖谷家や来栖谷家の妻との子供は、
どこかで出会ったらしい誰かと愛人契約を結んだ。
潔く縁を切って出ていく清々しさは、今でも感動している。
どうすれば桐ケ谷 夏樹と尚人は家からいなくなるだろうか。
誰かの愛人にでもなってくれれば…そうだ。
「ご苦労ね」と優しく声をかけてくれるご婦人を思い出した。
ご婦人は、彼らを揃いでほしがっていた。
「良い待遇を用意する」と言われたが本人の気持ちがあるので返事ができなかった。
望まれる相手に仕えるのはきっと幸せだろう。
まずは、出会う場があれば…穏やかな暮らしのため、叶う可能性を探すことにした。
政略結婚は当たり前。
互いを尊重し共に暮らしを支え合う。
子供は授かりもので、
実子ができなくても家系から養子をもらうのは当たり前のように行われている。
万が一にも不義理な子が生まれたら、病死に見せかけ間引き問題を避けるのも当たり前だ。
一人の妻と一人の夫、そして子供がいる生活が普通の時代。
狂人たちは、普通に見せかけながら契約を結んだ伴侶でない者と共に過ごす。
隠せていると思い込む狂人たち。
しかし、現実は違った。
生まれ育った不義理の子供たちは、世間の好奇と嫌悪の目に晒されている。
知らないふりをしていた。
幼い頃は当たり前だと思っている光景は、世間だと異端扱いだと。
それも、成人を目前にすると見ないふりができないほどに迫ってきた。
広い敷地に建つ四つの館のうち三つは、不義理の場所だ。
初めから夫婦の誓いを破り、伴侶と違う相手と子を成す人たち。
里栖谷家は、幼馴染の幸せを守る番人らしい。
不義理を「家の都合で引き裂かれた純愛」と言って囲い、見守る両親。
僕と妹は、成人すると全てを押しつけられた。
正当な後継者と不義理の子を残して旅立った両親たち。
社交場での痛い視線には幼い頃に慣れてしまった。
爽やかな風、心地よい日差しの静かな庭。
穏やかに微笑む可愛い妹。
素晴らしい光景は、聞こえてきた足音に壊された。
仕事仲間で妹の冬華も誘い仕事の休憩をするために座ってお茶をのんでいただけなのに。
「塔夜くん。お仕事、お疲れ様。
私と、必要なら七美も呼んで遊んでいいんだからね」
反吐が出そうな甘ったるい声で僕を呼ぶのは、一歳違いの妹のような人。
桐ケ谷 七音は、縁が切れている七美まで巻き込もうとしている。
僕の片腕を強引に掴んで女の特権である胸の柔さを押しつける。
両親によく似て媚びを売ることは上手い。
事情を知らなければ、可愛さに堕ちていたかもしれない。
不義理の子供は、平然と不義理を求めてくる。
「「冬華ちゃん。俺たちと遊ぼう?」」
妹に媚びを売る桐ケ谷 夏樹と尚人は、同じ年だからか馴れ馴れしい。
嫌がる素振りも気にせず、欲望を隠さない視線を向けている。
桐ケ谷家の妻が不義理で生んだ命は、親に似て欲望に忠実だ。
既婚者になった幼馴染の愛情を拒むことなく受け入れ成した命は、
僕たちの暮らしを脅かしている。
桐ケ谷家の妻は、成人した僕たちを捨てて家を出るときも、身ごもっていた。
有栖谷家や来栖谷家の夫は、
結婚後も幼馴染の桐ケ谷家の妻とも愛を深めて頻繁に出入りしていた。
ふと、自立して旅に出た彼らを思い出す。
同じ種類の人であるが、僕や妹に実害がでないからよかった。
桐ケ谷家の夫が種を注いだ有栖谷家や来栖谷家の妻との子供は、
どこかで出会ったらしい誰かと愛人契約を結んだ。
潔く縁を切って出ていく清々しさは、今でも感動している。
どうすれば桐ケ谷 夏樹と尚人は家からいなくなるだろうか。
誰かの愛人にでもなってくれれば…そうだ。
「ご苦労ね」と優しく声をかけてくれるご婦人を思い出した。
ご婦人は、彼らを揃いでほしがっていた。
「良い待遇を用意する」と言われたが本人の気持ちがあるので返事ができなかった。
望まれる相手に仕えるのはきっと幸せだろう。
まずは、出会う場があれば…穏やかな暮らしのため、叶う可能性を探すことにした。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
敏腕SEの優しすぎる独占愛
春咲さゆ
恋愛
仕事も恋愛も、兎に角どん底の毎日だった。
あの日、あの雨の夜、貴方に出逢うまでは。
「終わらせてくれたら良かったのに」
人生のどん底にいた、26歳OL。
木崎 茉莉 ~kisaki matsuri~
×
「泣いたらいいよ。傍にいるから」
雨の日に現れた、30歳システムエンジニア。
藤堂 柊真 ~Todo Syuma~
雨の夜の出会いがもたらした
最高の溺愛ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる