輪廻の終わりで

秋赤音

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閉ざされた箱庭

癒し水檻

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「|ここが保つ間に他を片付けよう《これで光那ひなを独占できる》」

炎胡こうさんは辛そうな顔で僕を見て、先へ飛んでいった。水面に映った顔は笑っていた。

「|大丈夫、いつも通りにすればいいのよ《炎胡こうといる時間が増える。
は帰る場所でいてくれる》」

光那ひなさんは、いつもと同じように優しい声で優しい笑みで手を差し出す。水面には蕩けた笑みの光那ひなさんがいる。

「また会いましょう」

夜闇よいさんは穏やかに微笑む。水面に映る夜闇よいさんは諦めて枯れた笑みで。
そうか。
夜闇よいさんが全てを拒否して身を守る前に戻ればいい。拒んでも吸収されて溢れた穢れが全てを壊す前に。
水さえあれば何処にでも行ける僕だからできること。
炎胡こうさんと光那ひなさんは空から手伝ってくれる。
僕は一人ではない。
夜闇よいさんも一人ではない。
大丈夫。

「また会おうね」

僕も笑う。
水面に映る水井も笑う。
いつものように笑うから。せめて夜闇よいさんの近くだけでも綺麗であるように、大きな水溜りで夜闇よいさんを囲った。
水溜りに映る空と見上げる空を見て微笑んだから、安心した。
降り注ぐ穢れを小さな氷に変えて、飛べるようになった空へ向かう。
途中で光那ひなさんと別れ、見慣れた東の空と大地を見る。
茜色に黄金色の星が瞬き夜が来ることを示す空。穢れさえ払えば、美しい静寂が戻るから。
また皆で楽しく遊べるように。
でも、また穢れがくる。対処できないときは、一度凍らせて置くことも覚えた。
いつか、綺麗になった東の大地のすべてを凍らせて見せよう。
焔で解けて水になれば、大地が潤う。何色の空が映っても、雷が反射しても綺麗だから。
水井にしかできないこと。
だから、必ず。
全ての穢れを、払うから。
また会いましょう、と約束したから。
今日も水井は笑っていよう。
東の大地の片隅にある氷の家に戻り、休憩する。僕だけの夜涙よいさんが待っている。

「おかえりなさい」

半分だけ僕と同じ目の色をした夜涙よいさんは、甘く暖かに微笑み抱きしめてくれる。
壊れた夜闇よいさんの欠片を集めていたら、夜涙よいさんの形ができた。
集め続けると会話ができるようになり、家の中なら動けるようになった。
僕だけの夜涙よいさんは、頬を染めて視線だけで口づけを強請る。僕も笑みで応じて、そっと抱き上げた。
嬉しそうに熱い吐息をこぼしながら首に細腕が回される。
今日はたくさん愛し合おう。
夜涙よいさんに積もる穢れも消えるのだから。
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