輪廻の終わりで

秋赤音

文字の大きさ
20 / 41
他様生

4.生人形

しおりを挟む
薄暗い部屋。
広いベッドの前。
男は無表情でベッドに座り、待っている。
「ほら。仕事だ。脱げ」
「はい。脱ぎます」
冷めた目が、私を見ている。

得られる報酬が高いには、理由がある。そんな基本で、単純な事すら忘れていた。それよりも、取り返しの付かない大きな失敗に焦っていた。
検査キットは陽性。
薄い腹の中に命があると、信じられなかった。
にんしん?なにそれ。アリエナイ。
育てられないのに、どうせデキないと決めつけて、事だけは楽しんでいた罰だろう。
産んでお金だけ貰えばいい、と誰かは言っていた。目先の支払いをするアテのある人ばかりだった。
私には、無い。
どんなときも契約はしていたが、本当に都合だけの関係で。待ち合わせとお別れは、いつもホテルか相手の家だった。目的が達成できない、楽しい事がデキない、都合が合わない私に何かを払う人はいない。
無いなら、作るしかない。デートするだけで高報酬に飛びついた。

でも、結局は相手の上で気持ち良く腰を振っている。
「上手いな。イイ遊び方してたんだ。アバズレ」
「ひゃんっ……ぉく、だめぇえっ…ぃきたく…な、ぁっ…あぁあんっ」
「イケよ。淫乱妊婦。ヤッた金で、ガキ産むんだろ」
「あっ、ぃ、くっ…んっ、ぁ…なかぁあっ…んゃああぁっ…っくぅうううぅっ」
ぐったりと男の肩に身を預ければ、そのまま抱えられた。
「デートは明日まで。料金分は仕事してもらわないと」
「…っ」
拒否権はない。シーツが背中を受け止めて、男の重圧ごと体が沈む。
「飽きるまでは、相手になってやる」
「ありがとう、ございます…んぁああっ」

数カ月後。
出産して身軽になった体で、約束通りに男の相手をする。妊娠中も、産後も世話をしてくれた彼の愛人となった。生きるための環境を得た代わりに、私の体は私のものではなくなった。
ベッドの上。サイドボードに置いたビンから、甘い香りが漂っている。
すでに脱いだ私を見下ろしながら、準備を終えたようだ。なにもしていないまま、すでに硬くなっている肉棒。先を教え込まれた体が順応して、熱く蕩ける。
「また妊娠プレイがしたいから、まずは孕んでもらわないと。
約束の物は?」
男は無表情で、冷めた目で、私を見ている。
「あちらに」
「合ってる。
言ったら、用意してくれただろ」
「はい」
使うのは何度目だろう。理性なんか無くなって、グチャグチャに交わる快楽を思い出す。
「目標金額は…産んだ金が老後の資金になるくらい、か。しっかり楽しませろよ」
甘い液体が腹へ落ちてきた。
男の指先が胸へ、腹を軽く撫でられ絶頂。余韻を感じる前に足の付根へ、陰部の粒核へ。
すでに濡れている穴の浅い場所を撫でられ、気が遠くなる。だが、太ももに一瞬の痛みが走り目が冴える。痛みすら快楽で、強請れば、動けば、気持ち良くなれることを知っている。
「おい、返事は?」
「はぃっ…ぁ、んっ…私の体で…気持ちよくなって、くださぃいいっ」
「有言実行、イイコトだな。褒美だ」
「ぁああっ…んっ……しゃせ、ぃ、きもち、ぃ…っ」
男は無表情で、私を見る。
見慣れた冷めた目に安堵し、身を預けた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

百合短編集

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...