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守られる街
鈴の音
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『二季』のいる部屋に入ると、女は着物を着たままベッドで眠っていた。起こすのは悪いと思うくらい心地よさそうにしている。
だが、目的を考えれば痕跡は必要だろう。時間もない。しかたがない、と袂と裾を崩して、起こさないように快楽だけを引き出す。眠っていても感じるようで、陰部から溢れてくる水が準備のできた目安とする。
「ぁ……んっ…んぅっ?」
「遅くなり申し訳ありません。おまたせしました。時間がないので、始めています」
女が青い顔で目を泳がせる。ワケアリだと判断し、女の耳元へを寄せる。
「ここにいる者は、同意があるとされていますが」
「ぁっ…あの、こ…ここまでで、大丈夫、にできますか。両親には隠していますが、妊娠、していて」
囁き声で、必死に懇願される。ワケアリだろう。
「そうですか」
「近い日に、相手と挨拶に…と思っていたら両親が勝手に、ですね。申し訳ありません」
「気にしないでください。言うとすれば一つだけ…起きていてくださると助かります」
「はい。申し訳ありません」
女の体から少し離れれば、女はわかりやすく安堵の息を吐く。僕が動かないことに安堵と謝罪が混ざった顔で見上げている。
『季』持ちは想い人と添い遂げたいなら既成事実があっても、まだ難しい。パートナーの存在そのものは認められている。愛人関係を許す前提での話だが。旧街の相手なら意味のない挨拶。あえてする必要があるということは、相手は新街か一般人かもしれない。旧街の古い決まり特有の『愛人がいて当たり前』を受け入れているとは思えない。
で、あれば。なおさら、今は取り繕っておいたほうがいいかもしれない。挨拶の日までに何かあれば、挨拶どころではなくなるだろう。
再び女に近づき、耳元へ口を寄せる。吐息をかければ、女は体を震わせる。
「…ぁのっ」
「一応、それらしくここで時間を過ごします。誰に聞かれているかわからないので」
「はい…ありがとうございます」
お礼を言われても複雑な気分だ。たまにある出来事だが、手前しかない。早く本人の希望を伝えやすい環境にしなければ。
指だけで、女が絶頂するギリギリを狙うだけの作業。女は演技とは思えない程に欲へ染まる女と化していた。もういいだろうと終えるよう、最後に軽く絶頂してもらう。
虚ろな目が僕を見てくるけど、二度と会うことはないだろう。
身支度をして、部屋を出た。最後にシャワーだけ浴びて、身支度を終える。
稀に同室の浴室で事を望む女もいるが、目的が変わり、身を清める場ではなくなる。望みは叶えるが、遊びのプレイなら他でやってほしいと思っている。今回は許容範囲で終えて安堵した。
見送りは宿の世話人のみだが、目的に素直で気が楽になる。次も、シャワールームは別室を用意しておくよう伝えて、宿を出た。
朝日が上ろうとする頃、屋敷のドアを閉じた。
念のため、屋敷内の廊下を一周する。防音はあえて完全にしていないため、途中で兄さんたちの声が聞こえた。姉さんの部屋に出入りがあったようだが、今は眠っているようだ。
仕事部屋へ戻り、眠ろうとする。が、ドアがノックされた。女で元素の世話人は何か急ぎの用事があるようだ。『ナツ』の夏海家の六女が、わざわざ寝静まっている頃の用事にくるなんて良いことはない。
「どうぞ」
「はい」
世話人はドアを閉める。寝ていた直後らしく、毛先までは整いきれていない装い。よほどなにかあるのだろう。
「お疲れのところ、申し訳ありません」
「寝起きにわざわざ来る用件は?」
「はい。私にも子種をください」
女は、女の両親が手回しした指示書類を見せてく。偽物か確認したが、管理認可の印字は本物だ。わざわざお見合い写真までつけてある。
『ナツ』の夏海家の六女は、濃い緑を持つ元素。世話人として預けて来たときから、何かあるとは思っていた。
ハッキリと凹凸した体で他の世話人と男女関係を持っていた時期もあり、健康検査の結果の報告が多い女だ。面倒だがしかたない。
「いいですよ。本物のようですから」
「ありがとうございます」
「ベッドの前で、用意をしてください。『ナツ』の夏海家の六女さん」
「はい…改めて、那津と申します。よろしくお願いします」
肌を覆う布が全て取り払った女は、すでに濡れている。早く終わらせて、仮眠が取りたい。
「お仕事だから断られないと、安心して用意できましたので。どうぞ、いれてください」
「うつ伏せになってください。早朝です。あまり声を出さないように」
「はぁい…ぁんっ、んんんっ、もぅ、イきますかぁ?」
「早くしないと、仕事の時間になります」
「そ、でしたぁっ…んぁっ、はぁんっ、んんっ、んはっ、ぁんんんんっ」
女の中で出しきると、抜いて離れる。
「仕事は身を清めてから行うよう、お願いしますね」
「はい、承知してます。ありがとうございました。失礼します」
女は慣れたような速さで服を着て出ていった。疲れた。仕事部屋にシャワールームをつけて良かったと思う。
身を清め終えて、少しソファで眠ろうとするとドアがノックされる。
「歌鈴?私です」
「はい。どうぞ」
ドアを閉じた姉さんは少し眠そうだ。腕にある新しい痣も気になる。何かあったのだろうか?
三人掛けのソファに座ってもらい、隣に座る。
「お見合い、三ヶ月はしなくてよくなったわ。様子見で、あとは経過しだいね」
「相手は?いつ?」
「昨日の監視役と、夜中に。『フユとハル』の彼。お見合い写真と正規の申請許可証があると、ね」
「そうだね…僕も同じ状況の『ナツ』の世話人がきた」
候補に選ばれていることは知っていて、監視役にした。だが、行為をするために痣を作る必要はない。いつも言えない心配だけが積もる。
「歌鈴。少しだけ、いい?」
「どうぞ。気が済むまで」
そっと僕を抱きしめて、胸に顔を埋める姉さん。震える手。髪を撫でれば、声は無く服へ涙が染みてくる。いつも何かあっても、何も言わない姉さんが僕に求めてくる、僕が姉さんにできる事の一つ。
「彼、今夜も来るわ」
「でしょうね」
「立ち合い、します。姉さん」
「歌鈴…お願いします」
いつも断る姉さんが承諾した。
なにか、ある。
答えは、すぐにわかった。
まだ太陽が地を照らす頃。
書類仕事の休憩にしようと姉さんの部屋に向かうと、悲鳴が聞こえた。
ドアを開けると、刃物を持った監視役が姉さんをソファに押しつけて服を割いていた。首筋には一本の細い赤がある。
「ぁ…歌鈴。これは、少し驚いただけで」
「休憩の誘いでしたか?良い弟ですね。お姉様にはまだ、少し刺激が過ぎたようです。失礼しました」
監視役は部屋の端に移動した。僕は姉さんの隣に座り、上着を肩へかける。姉さんは上着の端を強く握っていた。
「姉さん。新しくドレスを「そうね。歌鈴が、選んでくれるわね?」
「もちろん。衣装室へ行こう」
隣りにある衣装室に入ると、鍵を閉める。
「姉さん。これはどう?先に傷の手当てだけどね」
首筋にできた傷も隠せるロングドレス。命の危険がある行いまで許す必要はない。やはり、状況によって監視役は必要だ。『季』持ちの種子の存続から逃げられなくても、想い人が選べなくても、他の『季』と同じ少しの自由をあげたいのに。
「ありがとう」
衣装室に揃っているアクセサリーと、救命道具。内側からもできる鍵。今までも、何かあればここが助けになっていたはず。
泣いてまでして命を作る必要は、あるのだろうか。
母体として欠陥扱いされた『季』を親族が管理する仕組みを思い出す。
「姉さん。一度は、あの男と仕事をしたよね?」
「したわ…まさか、歌鈴」
「そう。できてるかもしれないから、安全に過ごさないとね。あと、怯えがあるのに同じ男の相手をするのは大変だ。新街だと一般的な体外受精は、旧街だと選べない」
「それは…でも、まだ産める年齢だもの。私は、まだ、しなければ」
姉さんは、傷の手当てを終えても青い顔のまま。自分で自分を抱きしめながら、自分に言い聞かせているようだ。当事者では言い難いこともあるだろう。当事者でないなら、どうだろう。
自分で自分の機嫌を取りながら、荒波の中を生きていけるのは素晴らしい。が、守ってもらえる方法も覚えていてほしいものだ。
そっと姉さんの肩を抱き、耳元へ口を寄せる。
「まず、母体の安全は確保しないとね。彼は仕事を終えたってことで、兄さんに相談するから」
「歌鈴」
衣装室のドアがノックされた。
「開けなくていい。歌鈴。姉さんは無事か?」
「大丈夫だよ。兄さん、あとで話がある」
「よかったです。今から出かけるので、あとは明日になるかもしれません。あと、大事なお知らせを四つ言います。
一、今いる『フユとハル』と『ナツ』は今日でお別れです。すでに屋敷の外です。
二、しばらくは秋とこちらで暮らすことにします。
三、勉強のために、秋は『アキ』持ちの華蓮の世話人にします。
四、安全のため、華蓮のお見合い相手を、監視役も兼ねて当面の間は歌鈴にします。上は承諾しています。よろしくお願いします」
「兄さん。待って、帰ってくるよね?」
「少し外回りがいつもより増えるだけで、帰ります。秋を、頼みます」
「兄さん…気をつけていってらっしゃい」
「はい。いってきます。秋、ここは衣装室です。入ってください。世話人としての初仕事です」
外回りが増えるということは、僕と姉さんの分まで女の相手をする予定らしい。秋様は知っているのだろうか。知っていても、黙って見送るしかできないけど。
「歌鈴。秋様を入れて。着替えるから、歌鈴は外の見張りをお願い」
「はい。姉さん」
「春、歌鈴。ありがとう」
衣装室の鍵を閉めると、黙って笑みだけで場を去る兄さんを見送った。
だが、目的を考えれば痕跡は必要だろう。時間もない。しかたがない、と袂と裾を崩して、起こさないように快楽だけを引き出す。眠っていても感じるようで、陰部から溢れてくる水が準備のできた目安とする。
「ぁ……んっ…んぅっ?」
「遅くなり申し訳ありません。おまたせしました。時間がないので、始めています」
女が青い顔で目を泳がせる。ワケアリだと判断し、女の耳元へを寄せる。
「ここにいる者は、同意があるとされていますが」
「ぁっ…あの、こ…ここまでで、大丈夫、にできますか。両親には隠していますが、妊娠、していて」
囁き声で、必死に懇願される。ワケアリだろう。
「そうですか」
「近い日に、相手と挨拶に…と思っていたら両親が勝手に、ですね。申し訳ありません」
「気にしないでください。言うとすれば一つだけ…起きていてくださると助かります」
「はい。申し訳ありません」
女の体から少し離れれば、女はわかりやすく安堵の息を吐く。僕が動かないことに安堵と謝罪が混ざった顔で見上げている。
『季』持ちは想い人と添い遂げたいなら既成事実があっても、まだ難しい。パートナーの存在そのものは認められている。愛人関係を許す前提での話だが。旧街の相手なら意味のない挨拶。あえてする必要があるということは、相手は新街か一般人かもしれない。旧街の古い決まり特有の『愛人がいて当たり前』を受け入れているとは思えない。
で、あれば。なおさら、今は取り繕っておいたほうがいいかもしれない。挨拶の日までに何かあれば、挨拶どころではなくなるだろう。
再び女に近づき、耳元へ口を寄せる。吐息をかければ、女は体を震わせる。
「…ぁのっ」
「一応、それらしくここで時間を過ごします。誰に聞かれているかわからないので」
「はい…ありがとうございます」
お礼を言われても複雑な気分だ。たまにある出来事だが、手前しかない。早く本人の希望を伝えやすい環境にしなければ。
指だけで、女が絶頂するギリギリを狙うだけの作業。女は演技とは思えない程に欲へ染まる女と化していた。もういいだろうと終えるよう、最後に軽く絶頂してもらう。
虚ろな目が僕を見てくるけど、二度と会うことはないだろう。
身支度をして、部屋を出た。最後にシャワーだけ浴びて、身支度を終える。
稀に同室の浴室で事を望む女もいるが、目的が変わり、身を清める場ではなくなる。望みは叶えるが、遊びのプレイなら他でやってほしいと思っている。今回は許容範囲で終えて安堵した。
見送りは宿の世話人のみだが、目的に素直で気が楽になる。次も、シャワールームは別室を用意しておくよう伝えて、宿を出た。
朝日が上ろうとする頃、屋敷のドアを閉じた。
念のため、屋敷内の廊下を一周する。防音はあえて完全にしていないため、途中で兄さんたちの声が聞こえた。姉さんの部屋に出入りがあったようだが、今は眠っているようだ。
仕事部屋へ戻り、眠ろうとする。が、ドアがノックされた。女で元素の世話人は何か急ぎの用事があるようだ。『ナツ』の夏海家の六女が、わざわざ寝静まっている頃の用事にくるなんて良いことはない。
「どうぞ」
「はい」
世話人はドアを閉める。寝ていた直後らしく、毛先までは整いきれていない装い。よほどなにかあるのだろう。
「お疲れのところ、申し訳ありません」
「寝起きにわざわざ来る用件は?」
「はい。私にも子種をください」
女は、女の両親が手回しした指示書類を見せてく。偽物か確認したが、管理認可の印字は本物だ。わざわざお見合い写真までつけてある。
『ナツ』の夏海家の六女は、濃い緑を持つ元素。世話人として預けて来たときから、何かあるとは思っていた。
ハッキリと凹凸した体で他の世話人と男女関係を持っていた時期もあり、健康検査の結果の報告が多い女だ。面倒だがしかたない。
「いいですよ。本物のようですから」
「ありがとうございます」
「ベッドの前で、用意をしてください。『ナツ』の夏海家の六女さん」
「はい…改めて、那津と申します。よろしくお願いします」
肌を覆う布が全て取り払った女は、すでに濡れている。早く終わらせて、仮眠が取りたい。
「お仕事だから断られないと、安心して用意できましたので。どうぞ、いれてください」
「うつ伏せになってください。早朝です。あまり声を出さないように」
「はぁい…ぁんっ、んんんっ、もぅ、イきますかぁ?」
「早くしないと、仕事の時間になります」
「そ、でしたぁっ…んぁっ、はぁんっ、んんっ、んはっ、ぁんんんんっ」
女の中で出しきると、抜いて離れる。
「仕事は身を清めてから行うよう、お願いしますね」
「はい、承知してます。ありがとうございました。失礼します」
女は慣れたような速さで服を着て出ていった。疲れた。仕事部屋にシャワールームをつけて良かったと思う。
身を清め終えて、少しソファで眠ろうとするとドアがノックされる。
「歌鈴?私です」
「はい。どうぞ」
ドアを閉じた姉さんは少し眠そうだ。腕にある新しい痣も気になる。何かあったのだろうか?
三人掛けのソファに座ってもらい、隣に座る。
「お見合い、三ヶ月はしなくてよくなったわ。様子見で、あとは経過しだいね」
「相手は?いつ?」
「昨日の監視役と、夜中に。『フユとハル』の彼。お見合い写真と正規の申請許可証があると、ね」
「そうだね…僕も同じ状況の『ナツ』の世話人がきた」
候補に選ばれていることは知っていて、監視役にした。だが、行為をするために痣を作る必要はない。いつも言えない心配だけが積もる。
「歌鈴。少しだけ、いい?」
「どうぞ。気が済むまで」
そっと僕を抱きしめて、胸に顔を埋める姉さん。震える手。髪を撫でれば、声は無く服へ涙が染みてくる。いつも何かあっても、何も言わない姉さんが僕に求めてくる、僕が姉さんにできる事の一つ。
「彼、今夜も来るわ」
「でしょうね」
「立ち合い、します。姉さん」
「歌鈴…お願いします」
いつも断る姉さんが承諾した。
なにか、ある。
答えは、すぐにわかった。
まだ太陽が地を照らす頃。
書類仕事の休憩にしようと姉さんの部屋に向かうと、悲鳴が聞こえた。
ドアを開けると、刃物を持った監視役が姉さんをソファに押しつけて服を割いていた。首筋には一本の細い赤がある。
「ぁ…歌鈴。これは、少し驚いただけで」
「休憩の誘いでしたか?良い弟ですね。お姉様にはまだ、少し刺激が過ぎたようです。失礼しました」
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「姉さん。新しくドレスを「そうね。歌鈴が、選んでくれるわね?」
「もちろん。衣装室へ行こう」
隣りにある衣装室に入ると、鍵を閉める。
「姉さん。これはどう?先に傷の手当てだけどね」
首筋にできた傷も隠せるロングドレス。命の危険がある行いまで許す必要はない。やはり、状況によって監視役は必要だ。『季』持ちの種子の存続から逃げられなくても、想い人が選べなくても、他の『季』と同じ少しの自由をあげたいのに。
「ありがとう」
衣装室に揃っているアクセサリーと、救命道具。内側からもできる鍵。今までも、何かあればここが助けになっていたはず。
泣いてまでして命を作る必要は、あるのだろうか。
母体として欠陥扱いされた『季』を親族が管理する仕組みを思い出す。
「姉さん。一度は、あの男と仕事をしたよね?」
「したわ…まさか、歌鈴」
「そう。できてるかもしれないから、安全に過ごさないとね。あと、怯えがあるのに同じ男の相手をするのは大変だ。新街だと一般的な体外受精は、旧街だと選べない」
「それは…でも、まだ産める年齢だもの。私は、まだ、しなければ」
姉さんは、傷の手当てを終えても青い顔のまま。自分で自分を抱きしめながら、自分に言い聞かせているようだ。当事者では言い難いこともあるだろう。当事者でないなら、どうだろう。
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そっと姉さんの肩を抱き、耳元へ口を寄せる。
「まず、母体の安全は確保しないとね。彼は仕事を終えたってことで、兄さんに相談するから」
「歌鈴」
衣装室のドアがノックされた。
「開けなくていい。歌鈴。姉さんは無事か?」
「大丈夫だよ。兄さん、あとで話がある」
「よかったです。今から出かけるので、あとは明日になるかもしれません。あと、大事なお知らせを四つ言います。
一、今いる『フユとハル』と『ナツ』は今日でお別れです。すでに屋敷の外です。
二、しばらくは秋とこちらで暮らすことにします。
三、勉強のために、秋は『アキ』持ちの華蓮の世話人にします。
四、安全のため、華蓮のお見合い相手を、監視役も兼ねて当面の間は歌鈴にします。上は承諾しています。よろしくお願いします」
「兄さん。待って、帰ってくるよね?」
「少し外回りがいつもより増えるだけで、帰ります。秋を、頼みます」
「兄さん…気をつけていってらっしゃい」
「はい。いってきます。秋、ここは衣装室です。入ってください。世話人としての初仕事です」
外回りが増えるということは、僕と姉さんの分まで女の相手をする予定らしい。秋様は知っているのだろうか。知っていても、黙って見送るしかできないけど。
「歌鈴。秋様を入れて。着替えるから、歌鈴は外の見張りをお願い」
「はい。姉さん」
「春、歌鈴。ありがとう」
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