瞬く間に住む魔

秋赤音

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合いし愛して

3.5-1 命運

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外部の侵入を許さない施錠と守りがされた屋敷。
数多ある部屋の一室。月光がさす場所で、体中から水が溢れる女は喘ぎ、男が談笑している。

「フィー。店で人気のプレイをした感想は?」

女は男に精を注がれた後、触手で陰部の内側を愛撫された。触手が出入りするたび、溢れる体液が女の足を伝う。体液は触手に吸われて消える。しだいに触手は動かないまま雌の性器内でのみ活動する。極細の触手が子宮の中で清掃を終えると、全ての触手が消えた。女は下腹部を皮膚の表面から軽く押されるだけで新たな蜜がこぼれ落ちる。

「ぁ…あっ…ふぁあっ…んひぃっ」

余韻で朦朧とする女は、泣きながら啼いている。汗すら甘く香り、雄を求めて男の手に擦り寄るよう腰を揺らす。肉体の凹凸がはっきりした砂時計を人で作る造形にため息が出る。首や手足は特に、すぐに手折れそうで不安だ。獣なら簡単だろう。噛み痕も不快だが、だけで済み、よく無事だった。

「陰部の清掃とマッサージを合わせたら、夜一番の人気でね。
初めに塗った香油は体温を上げて発汗を促す作用があるだけなんだけど。
フィー…おねだりするほど、良かったんだね。嬉しいな」

「り、ん…っ…ぅっ、うぉっ、ふぁああっ」

女の声に男の表情が険しくなる。浅い呼吸の女の背に覆いかぶさり、滴る雄の証を潤む雌の証へ埋めこんだ。

「フィー。半獣の伴侶が恋しいの?孕みたくなるよう促してるから効果は出てるね。
まあ、まだ家を離れて3日だからね。でも、フィーはお客様ではなくて僕の伴侶。
フィーと子作りしているのは?」

「あっ、ぁあぅっ、ふら…んんっ、フィラン様っ、あっ、あひっ…ふ、フラン様ぁあんっ、やっ、…んぅう…っ、フランんぁああっ」

「そう。僕はフィラン・クレフ。フィーの伴侶になったフラン。
僕は僕たちに様付することを必要としない。覚えるまでは何度でも教えてあげる。
フィーは僕の特別だから、手入れも全て僕が毎日する。
短い時間だけど、まだ3週間と4日はあるからね。フィー」

フィーは、僕の愛撫で狂い乱れる。やっと、一つになれたんだ。
フィーナ・クラフは、遺伝子が定めた僕の花嫁だ。


フィーと初めて出会ったのは、まだ家名があった幼い頃のお茶会だった。
大人になるまで出会うことなく過ごしたから、最初で最後だと思っていた出会い。
遠目に見るクラフ家のフィーナお嬢様は壁の花だったけれど、僕にとっては輝いていた。
家族になるならフィーナお嬢様がいい。家族になるならフィーナお嬢様ではなくフィーナだろうか。
婚約が決まるまでは、心の中だけで人らしく愛を込めてフィーと呼ぼうと決めた。
調べていないのに、同じ遺伝子を持っていると何故か確信できていた。
しべが欠けて生まれる人型の弱さを補う相手としても最高だと思っていた。

大人になって、家名が消えた原因がクラフ家の真似をして潰されたことを知る。
同じ時、隣国同士が協力する大きな企画に関わることになった。
そこで遺伝子を調べる機会を得た僕は、幼い頃の確信が間違いでないことを知った。
やはりフィーナお嬢様は僕の対になる存在。フィーが花なら持っていたはずの雄しべが僕であり、僕が持つはずだった雌しべがフィー。幸い人型で生きているから仲介は要らない。
幼い頃の輝きが最高の伴侶だと知った嬉しさと、同時に絶望した。
被験体には決められた伴侶の候補がいて、高い確率で選ばれるよう設定してあった。フィーは半分が獣の血を持つ男と子を成す行いをしなければいけない事になっていた。美しい花が獣の牙で傷つき喰われる事が、ただ悲しかった。

3ヶ月が過ぎたある日。
本業の癒やし事業をしながら、計画の経過を見守るだけだった僕に転機が訪れた。
フィーのご両親から第二の伴侶になる誘いだった。迷わず引き受けた。
フィーを確実に伴侶から引き離す方法まで打ち合わせて、当日は大成功。見守り続けて6ヶ月目の奇跡だった。
フィーは実家の使者に連れられ、僕と出会う。別行動の伴侶は後日に街で女性とぶつかり、そのまま行動を共にする。
当然、女性選びから女性と出会うよう仕向けたのもフィーのご両親と使者。選ばれた女性は説得しやすく、相手も納得の上で発情状態に仕上げたのは僕の本業だ。
癒やし事業といっても様々で、表通りでできる仕事から裏路地向けまで管理する。触手を使ったマッサージや強姦された男女の医療行為から、性的な欲望を満たすための店まであり暇はない。
フィーの遺伝子が育てられると、利便性が広いことが分かり適応職にはすぐ導入されている。夜の営業では、触手が使えて獣の特有の気質が少しだけ混ざっていることで対応できるプレイの種類が多いのが人気の理由だ。施術者が孕みにくく安全で後腐れ無いのも理由の一つだ。個体によって異なる資質に合わせた設定で売り、好むお客様が楽しい時間を買う。おかげでさらに忙しくなっていた。
フィーと同じ遺伝子を持つ僕は、たくさんの人の子を成す手伝いもした。触手から出る液が受精と育成に役立つと実験成果が出ると、フィーの子供たちは店で一番人気となっている。基本的に触手しか使わない医療行為に近いものであるから施術者も安全で、お客様も心の浮気とはなりにくい。雌は雄の性器に愛撫をして妊ませやすくし、雄は雌の陰部を内側から刺激して受精力を高める。稀に高い金を積んで秘密裏な事もある。妊娠する可能性を承知して本番と同じように行為をすることで、より高い効果を得る雌のお客様だ。需要が高まる中、問題なのは短命であること。短命である方がいい場面ばかりではなくなっている。
だからだろう。同じ遺伝子を持ちながら、野生種ならではの長命さを持つ僕が選ばれたのは。

予定通りに発情したフィーは、初日から抗うことができないまま僕で絶頂し続けた。同じ遺伝子だから反発することなく体に馴染んでいるはずだ。雄しべを持たない花であるフィーは、本能だけで雄しべと受粉してくれる仲介を求めて甘く香り蜜滴る。
予定通りに発情したフィーは、初日から抗うことができないまま僕で絶頂し続けた。同じ遺伝子だから反発することなく体に馴染んでいるはずだ。雄しべを持たない花であるフィーは、本能だけで雄しべと受粉してくれる仲介を求めて甘く香り蜜滴る。
今頃おそらく用意した彼女も同じようにフィーの伴侶と仲良くしている。獣遺伝子同士で相性もいいはずだから、遠慮なく行為ができるはず。遠慮しなくていいから満たされる事もある。フィーと僕のように。

屋敷に閉じこもって2日目に自己紹介と今回の目的を伝えた。
フィーの意識を変えるため、フィーには僕が選んだ夜着を着てもらった。
薄い白絹でできた短いワンピース。夜会ドレスのような胸元と、スカートを捲らなくても潤む陰部が見えるのが特徴だ。脱がせるのは身を清めるときだけと決めている。身に纏っているから引き立つ良さもある。ドレスを着て交わるフィーは、永遠に見ていたいほど美しい。
フィーは環境と役割へ慣れて連朝、連日、連夜と光を浴びながら子づくりに励む。
食事は栄養がある水だけでも十分満たされる。

採取されている遺伝子の質は、7日目の時点ですでに評判が良い。
問題の短命が改善されているから量産を求められている。残りの3週間だけでは足りないかもしれない。
ベッドの上にうつ伏せている無垢で淫らな花嫁は、互いの体液で蕩けた陰部を突き出して採取を待っている。

「フラ、ンんっ…もっとぉ…採取して…ねぇ…っ」

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