瞬く間に住む魔

秋赤音

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合いし愛して

3.5-2 拐誘

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両親の使者について行くと、住み慣れた家に着いた。
知らない応接間に通され座り待っているが、しばらく過ぎても呼び出した当人たちは来ない。
日差しが良く入るせいか春の温室のような場所で頭がぼやけてくる。水分が足りていないのか、体から力も抜けていく。
すると、扉の向こうから足音が複数聞こえてきた。
ノックもなしに開いた扉を両親と、両親の後ろにいる男性が現れる。

「待たせたな。さっそくだけど、今から4週間ほど彼と過ごしてもらう」

「野生の植物族だけの掛け合わせを用意したわ。
回収道具は屋敷に用意してあるもの全てを使い切ること。足りなければ言いなさい」

「4週間だけの伴侶だけど、よろしく。フィーナお嬢様。あ…これからは伴侶となるのだから、フィーと呼ぶね」

両親が道を開けると、男性が私の傍にきて迷わず抱きしめた。両親は満たされた表情で場を去る。

「伴侶?どういう…っ、…ッぁうっ」

唇を塞がれ、舌を絡められる。さらに頭がぼんやりとして、されるがままに体の自由を渡してしまった。
男性が生み出した触手が服の隙間から皮膚を這い、胸や足のつけ根から陰部の淫核をを弱く刺激する。体温が上がり、汗がにじむ。胎の奥から水が溢れてくるのが分かる。
男性が服の襟元をを乱し、晒された彼の噛み痕を消すように吸う。体がしびれてくるが、今は刺激にしかならない。終わったはずの発情期を思い出した。

「ぁ…は…っ、ぅ…んんっ」

「やはり素晴らしい受粉能力。フィーは覚えていないだろうけど、僕は覚えている。幼い頃に出会った時から、この日を待っていたんだ。
フィーは雄しべを持たない短命な花だから、雄の精を運んでもらい受粉の助けも必要だから育った力。
あの半獣だけに差し出すのは惜しい。短い時間で、少しでも多くの可能性を残す手伝いをするよ。
続きはお屋敷で」

「…ぁ、…っ」

するりと触手がなくなった。中途半端に煽られた快楽が疼く。
動けない私を抱き上げた男性は、わざと揺らすように歩き始めた。
そのまま馬車に乗るが男性の膝の上で固定されて、愛撫のような口づけを強いられた。絶頂しない程度の刺激は馬車が止まるまで続いた。

両親が決めた4週間の軟禁先は、幼い頃にきたことがある別宅の一つだった。
私を抱き上げたまま男性が入り口の扉を開けた瞬間、強い香りがして、また体が変わった。
目の前にいる雄がほしくて完全に発情している。陰部からとろりとろりと水が溢れてとまらない。
扉が閉まり、施錠がされた。どこかへ向かって歩く僅かな揺れすら煽る要素になる。
ようやく止まった。
部屋に入った男性が施錠をする。
ベッドにおろされると、本能的に雄を求める雌となる。名が思い出せない男性の、精を求めている。

「発情は、条件さえ整えばできるんだ。何度でも」

再び、男性の触手が服の中を這って巻き付いてきた。
これからされることを予感して、身体が悦び絶頂する。
触らないで、お願い。
これ以上は、私が私でなくなる気がした。
願いは届かず、男性の触手は服の中で快楽を煽り、生殖行為の準備を始めた。

「ぁっ、あっ、ぃっ…ひゃぅうッっっ…っ」

「あぁ…素晴らしい。フィーは発情すれば雄なら誰とでも種を残せる素晴らしい体、なのに」

触手が私の足を動かして、開いた場所へ男性が滴る雄を見せつけるように覆いかぶさる。
抗おうとするが、触手の力が強くなって動きを封じられた。
陰部に雄が近づいてきて、淫らな口が塞がれた。
一気に奥まで突き上げられ、突きの動きへ合わせるように動けないまま絶頂を繰り返した。

「んぁああっッ…ぉっ、おっ、んふぁあああっ…ぁっ、はっ、んひぃいいいっ…っ」

「射精するごとに採取するから、安心してほしい」

「んんっ、はっ…ぅううっ、ぁああ…っぁはぁああっ…ぃいっ」

ナカへ射精されて、採取されて、また荒ぶる雄が戻ってくる。
痛みはなく、甘い受粉行為を一方的に続けられている。のに、もう抗う選択肢はなかった。
月光に照らされながら、受粉行為は続いた。朝の光が照り始めて、男性の動きが止まる。
繋がったまま見下ろされ、男性が微笑む。

「フィー。4週間しかないけど、たくさん僕との種を残そうね」

嬉しそうに男性が動き出す。命令という免罪符が、私の足掻きを意味の無い行いにする。
もう、考えたくない。
何も、考えたくない。

「ん、ぁっ、あひぃいいいッっ…ま、ぁ…っ、んくぅううううッ…っ」

知らない雄の精が注がれる。けれど、初めから望んでいたように馴染んでいく。
驚くほど拒絶感も、嫌悪感もない。
むしろ、本来あるべきものが揃ったような感覚。
なにも考えたくない。未知の存在に落ち着く理由も、なにもかも。

覚えているのは、役割として4週間は未知の存在と、フィラン・クレフ様と、生殖行為と採取を行うこと。
フィラン・クレフ様は植物族の野生種で、オーウィン国の元家名持ちだった、今は家名無しで有名な癒やし事業の管理人であること。
フィラン様はクラフ家の真似をして家名を失った主人を親に持つ、きっと想像以上の努力で地を這いあがって生きてきた人であること。
フィーと呼ばれて、彼と、リンと過ごした日々とは違う食事や行動をしていること。
体が知らない何かに変わっている気がする。ゆっくりと、確実に。
なぜか不快でない変化。
もう、かつての食事が食べたくなる気持ちは浮かばない。
でも、それでいいとも思う。
でも、何かが。何が変わっているのだろう。
私の体は未知な存在を受け入れて、順応して、噂でしかない番のようにフィラン様を求めている。
分からない。
今はただ遺伝子を残すのが最優先で、フランと過ごす時間が終わるのを待つだけ。
リン。
自分で決めた伴侶は、元気にしているだろうか。
家の命令であっても他の異性に体を許す私が、帰ってもいいのだろうか。
ここにいれば噛まれることもなく、痛みもない。
懐かしい水と土の香りに包まれる、ただ優しいだけの場所に馴染んでしまった体は半獣の彼に応えられるだろうか。
今日も採取をする。
相手に望まれて、自ら望んで、受け入れる。
悦ぶ体を受け入れられなくて、意識だけ遠ざける。
これは私ではない。
リンの知る、私が知るフィーナとは違う存在。
フィーという、フィラン様のフィーナ。
今日も心地よいかごに乗り、揺られている。

フィラン様と過ごして2週間が過ぎたようだ。
与えられた夜会ドレスを着て、外に出ると水と土の香りが混ざったそよぐ風が心地よい。
フィラン様は、マナー違反をしても気にしないと言っていた。
栄養水だけのお茶会も慣れた。
不満はない。なぜか、思わない。
美味しいとすら思う。
近くに池を用意した外部の視線を遮る屋根つきの休み所は、程よい光もあって心地よい。

「フィー。約束の4週週間が過ぎてもここで僕と一緒にいよう?」

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