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合いし愛して
4.幸行
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フィーナと離れて1か月。
やはり彼女でないと、フィーナでないと何かが満たされないことを知った。
再会して1か月。
フィーナがいなければ俺は心が冷えきると確信できる。
似たような境遇の相手なら、合わせる部分も少ないから不足も少ない。
本能だけで生きるのも悪くはないが、俺の生き方は俺が決める。
でも、フィーナは公認の妻なのに、権力次第で簡単に傍から離れてしまう。
どこへ行くにも一緒でなければ不安でしかたない。
二度と事故が起きないように、起きても守れるように。
一緒に同じ家へ帰ることができるように。
印付けも体中にして、俺のだって誰からでもわかるようにする。
-寝るときも。
今夜もフィーナがベッドから起き上がれなくなるまで抱いた。明日は外出しないから良い許可を得ている。
フィーナはフィーナに合う食事にして肌艶も磨かれている。綺麗になるばかりで嬉しいが、怖い。
だから、体の隅々まで俺の気配を浸み込ませる。
採取を終えて仰向けのフィーナを見下ろし、まだ眠らない雄をフィーナへ見せつける。
「フィーナ。フィーナの触手で俺のも綺麗にしてください。俺も、フィーナにします」
「はい。リン…どうぞ」
一か月もすれば慣れたように始めるフィーナ。フィーナの触手が俺の体液を吸っている。
雄の精を吸って興奮が冷めないフィーナを見ているだけで心が満たされていく。俺も触手を使って、蜜をこぼすフィーナの陰部を吸う。
「ぁあっ…リンっ、また、ィきそ…ぅっ…んんッっ…ぁ、あっ、ぃ、イくぅううぅっ」
気絶したフィーナを抱きしめて、今日はもう寝ることにした。目覚めて全裸でも困ることはない。
-真夜中に起きたときも。
気怠い体で目が覚める。限界までリンと温度を交わした結果だから、心地よい。
しいていうなら、何も着ないまま眠るのはいかがなものか。
屋敷には誰も来ないし私たちだけだから困らないけれど。
今は何時だろう。窓越しに見える暗闇と月の影が朝でないことを示す。
雲の隙間で瞬く星だけが光源の空も綺麗で、抱きしめられたまま眺めている。
「ん…ふぃーな。まだ、ねる時間、です」
「…リン」
抱きしめられる力が強くなった。リンがくれるものなら圧迫感すら心地よい。
ふと、雲が晴れて月光がさす。同時に耳の奥で『フィー』と呼ばれた。
もう会うことはない彼と交尾した夜の花畑を思い出し、体が疼く。
嫌な記憶なのに、光景だけは綺麗なままで。覚えたままの遺伝子は彼を求める。
悲しい。
感情は拒否しているのに、本能でほしくなってしまう。
辛い。
せめて、と溢れる蜜を自分の触手で消すことしかできない。自慰するにも便利な触手だが、今は植物らしい体をリンに見られたくない。
私は触手が使えるだけの人間でありたい。
リンと離れようとするが、叶わない。
むしろ、リンの触手が潤んでいるナカをいっぱいに満たし蠢く。
「フィーナ、気持ちいいですか?」
「ぁふぅっ…あっ、ぁっ…イくぅ…ィ、くうぅうッっ」
リンが目を覚ましたようだ。耳を甘噛みされ、皮膚をなぞる舌が愛撫の動きを始めている。
「採取しますか?交尾しますか?」
「さ、ぃしゅ…っ。採取ぅっ…リンと、したい…っ」
交尾だけはしない。私たちは採取しないと子が成せないのだから。
-出かけるときも。
おしゃれをして出かけた、青空の下にある街。リンは必ず距離をあけずに傍を歩く。
私の指先と彼の指先がピッタリと繋がれている。
重なっている手から伝わる温度が心地よい。
温かくて、熱くて、このまま枯れても良いと思ってしまう程に離れがたく、永遠に感じていたいと名残惜しむことを繰り返す。
「フィーナ」
彼が私を呼ぶ。
フィーナ、と。
識別するためにつけられた名前が、リンに呼ばれる。
私を道具と扱う血縁者が呼ぶ音と同じなのに、絶対的に違う温かな声。
それだけで、ここにいたいと願ってしまう。
リンの隣にいたい。
愛しいこの場所が枯れた後も私の生きた証で心の居場所であればいい。
でも、リンには幸せでいてほしいから。
自由に、彼の望む未来へ進んでほしい。
いつかくる別れの時を惜しみながら、私といる時間がリンの幸せだといいと願う。
「リン」
ずっと眺めていたい横顔を見つめる。
リンの目に映るのは私。
それだけで嬉しい。
「フィーナ。今日は少し遠回りをして帰りたいです」
「どうして?」
街は危険だから、楽しいけれど長居はよくない。
「気分です。よければつき合ってください」
「…少しだけ」
「ありがとうございます」
でも、リンが楽しそうな声で話すから。
でも、今日しか見られない景色も大切だから。
でも、なにかあったら、対応できるのか。
でも、いいえ。そのときはリンと一緒に対応すればいい。
「どこに行きたいの?」
「最近見つけた雑貨屋です。フィーナの好みに合えば、贈り物選びの候補にしたいので」
-家事をするときも。
フィーナが料理をする後姿を眺めていると、なぜか交尾したくなる。頃合いを見て、危なくないところまで作業が終わるのを待つ。
そして、フィーナが安全になったら背中を抱きしめる。すでに硬い雄を押し当てると、フィーナの目が蕩ける。全身から甘い香りが増して、交尾できることを知らせてくれる。
「フィーナ…お願いです」
そっと腰を揺さぶり、交尾を強請る。フィーナの唇から熱い吐息がこぼれ始めたから、もう少し。
片手で服の上から雌特有の柔らかな胸部を包んで、硬い先端は避けて愛撫する。片手で足を開かせて、濡れている布越しの陰部を撫で突く。
「んぅ…っ、ぁあ…ここ、はぁあんっ…リン、ベッド、ベッドいくぅ…っ」
「フィーナ。ここでしたいです」
「ここ…で?もぅ、我慢、できない…?」
「はい」
すると、服を脱いだフィーナは安全な壁へ背を預ける。俺も服を脱いで、フィーナを抱えあげた。
フィーナの腕が首に回ると、腰を支えながら奥深くまで繋がる。瞬間に射精してしまう。フィーナも絶頂しながら受け入れる。
「あ…っ、うぅっ…は、ぁ…っ」
「このままでよければ。ベッド、いきますか?」
「んぅっ…ぃく、ベッドいくっ」
フィーナは軽く絶頂しながら応じてくれる。しっかりと密着するナカが心地よい。
俺たちはこれでいい。
たとえ彼女と過ごす時間がわずかだとしても。
まだ宣告されていない時刻までもを大切に、できる限りを共に過ごす。
知らないことを分かち合い、同じ景色を見て互いの感性で語り合う。
穏やかで、温かく、心通う時間を、少しでも長く。
愛している。
愛している。
ただ、フィーナを愛している。
やはり彼女でないと、フィーナでないと何かが満たされないことを知った。
再会して1か月。
フィーナがいなければ俺は心が冷えきると確信できる。
似たような境遇の相手なら、合わせる部分も少ないから不足も少ない。
本能だけで生きるのも悪くはないが、俺の生き方は俺が決める。
でも、フィーナは公認の妻なのに、権力次第で簡単に傍から離れてしまう。
どこへ行くにも一緒でなければ不安でしかたない。
二度と事故が起きないように、起きても守れるように。
一緒に同じ家へ帰ることができるように。
印付けも体中にして、俺のだって誰からでもわかるようにする。
-寝るときも。
今夜もフィーナがベッドから起き上がれなくなるまで抱いた。明日は外出しないから良い許可を得ている。
フィーナはフィーナに合う食事にして肌艶も磨かれている。綺麗になるばかりで嬉しいが、怖い。
だから、体の隅々まで俺の気配を浸み込ませる。
採取を終えて仰向けのフィーナを見下ろし、まだ眠らない雄をフィーナへ見せつける。
「フィーナ。フィーナの触手で俺のも綺麗にしてください。俺も、フィーナにします」
「はい。リン…どうぞ」
一か月もすれば慣れたように始めるフィーナ。フィーナの触手が俺の体液を吸っている。
雄の精を吸って興奮が冷めないフィーナを見ているだけで心が満たされていく。俺も触手を使って、蜜をこぼすフィーナの陰部を吸う。
「ぁあっ…リンっ、また、ィきそ…ぅっ…んんッっ…ぁ、あっ、ぃ、イくぅううぅっ」
気絶したフィーナを抱きしめて、今日はもう寝ることにした。目覚めて全裸でも困ることはない。
-真夜中に起きたときも。
気怠い体で目が覚める。限界までリンと温度を交わした結果だから、心地よい。
しいていうなら、何も着ないまま眠るのはいかがなものか。
屋敷には誰も来ないし私たちだけだから困らないけれど。
今は何時だろう。窓越しに見える暗闇と月の影が朝でないことを示す。
雲の隙間で瞬く星だけが光源の空も綺麗で、抱きしめられたまま眺めている。
「ん…ふぃーな。まだ、ねる時間、です」
「…リン」
抱きしめられる力が強くなった。リンがくれるものなら圧迫感すら心地よい。
ふと、雲が晴れて月光がさす。同時に耳の奥で『フィー』と呼ばれた。
もう会うことはない彼と交尾した夜の花畑を思い出し、体が疼く。
嫌な記憶なのに、光景だけは綺麗なままで。覚えたままの遺伝子は彼を求める。
悲しい。
感情は拒否しているのに、本能でほしくなってしまう。
辛い。
せめて、と溢れる蜜を自分の触手で消すことしかできない。自慰するにも便利な触手だが、今は植物らしい体をリンに見られたくない。
私は触手が使えるだけの人間でありたい。
リンと離れようとするが、叶わない。
むしろ、リンの触手が潤んでいるナカをいっぱいに満たし蠢く。
「フィーナ、気持ちいいですか?」
「ぁふぅっ…あっ、ぁっ…イくぅ…ィ、くうぅうッっ」
リンが目を覚ましたようだ。耳を甘噛みされ、皮膚をなぞる舌が愛撫の動きを始めている。
「採取しますか?交尾しますか?」
「さ、ぃしゅ…っ。採取ぅっ…リンと、したい…っ」
交尾だけはしない。私たちは採取しないと子が成せないのだから。
-出かけるときも。
おしゃれをして出かけた、青空の下にある街。リンは必ず距離をあけずに傍を歩く。
私の指先と彼の指先がピッタリと繋がれている。
重なっている手から伝わる温度が心地よい。
温かくて、熱くて、このまま枯れても良いと思ってしまう程に離れがたく、永遠に感じていたいと名残惜しむことを繰り返す。
「フィーナ」
彼が私を呼ぶ。
フィーナ、と。
識別するためにつけられた名前が、リンに呼ばれる。
私を道具と扱う血縁者が呼ぶ音と同じなのに、絶対的に違う温かな声。
それだけで、ここにいたいと願ってしまう。
リンの隣にいたい。
愛しいこの場所が枯れた後も私の生きた証で心の居場所であればいい。
でも、リンには幸せでいてほしいから。
自由に、彼の望む未来へ進んでほしい。
いつかくる別れの時を惜しみながら、私といる時間がリンの幸せだといいと願う。
「リン」
ずっと眺めていたい横顔を見つめる。
リンの目に映るのは私。
それだけで嬉しい。
「フィーナ。今日は少し遠回りをして帰りたいです」
「どうして?」
街は危険だから、楽しいけれど長居はよくない。
「気分です。よければつき合ってください」
「…少しだけ」
「ありがとうございます」
でも、リンが楽しそうな声で話すから。
でも、今日しか見られない景色も大切だから。
でも、なにかあったら、対応できるのか。
でも、いいえ。そのときはリンと一緒に対応すればいい。
「どこに行きたいの?」
「最近見つけた雑貨屋です。フィーナの好みに合えば、贈り物選びの候補にしたいので」
-家事をするときも。
フィーナが料理をする後姿を眺めていると、なぜか交尾したくなる。頃合いを見て、危なくないところまで作業が終わるのを待つ。
そして、フィーナが安全になったら背中を抱きしめる。すでに硬い雄を押し当てると、フィーナの目が蕩ける。全身から甘い香りが増して、交尾できることを知らせてくれる。
「フィーナ…お願いです」
そっと腰を揺さぶり、交尾を強請る。フィーナの唇から熱い吐息がこぼれ始めたから、もう少し。
片手で服の上から雌特有の柔らかな胸部を包んで、硬い先端は避けて愛撫する。片手で足を開かせて、濡れている布越しの陰部を撫で突く。
「んぅ…っ、ぁあ…ここ、はぁあんっ…リン、ベッド、ベッドいくぅ…っ」
「フィーナ。ここでしたいです」
「ここ…で?もぅ、我慢、できない…?」
「はい」
すると、服を脱いだフィーナは安全な壁へ背を預ける。俺も服を脱いで、フィーナを抱えあげた。
フィーナの腕が首に回ると、腰を支えながら奥深くまで繋がる。瞬間に射精してしまう。フィーナも絶頂しながら受け入れる。
「あ…っ、うぅっ…は、ぁ…っ」
「このままでよければ。ベッド、いきますか?」
「んぅっ…ぃく、ベッドいくっ」
フィーナは軽く絶頂しながら応じてくれる。しっかりと密着するナカが心地よい。
俺たちはこれでいい。
たとえ彼女と過ごす時間がわずかだとしても。
まだ宣告されていない時刻までもを大切に、できる限りを共に過ごす。
知らないことを分かち合い、同じ景色を見て互いの感性で語り合う。
穏やかで、温かく、心通う時間を、少しでも長く。
愛している。
愛している。
ただ、フィーナを愛している。
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