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52. 松田家のお茶会 (1)
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ほどなく、わたしと組長先生は若頭の運転する車に乗って松田さんの家に行った。
40分ほど車で走ると、組長先生が
「ほら、あれが松田ん家だ」
と、教えてくれたが、白い壁が延々と続いているだけで、わたしにはわからなかった。
門前に着いた。でかい。組長先生のお屋敷の門よりでかく見える。
門構えが完全洋風のせい?
お城でもかまえてそう。
若頭が携帯電話で連絡すると、数人の男達が出て来て門があいた。
六人の男達は左右に分かれ一列に並び、車に向かって深く頭を下げている。
そのまま車で走ると、白い大きな洋館が現れた。
ここ、松田さん家って気軽に言える家じゃないぞ。
洋館の前では着物姿の女性とその後ろにやはり男が二人、立っているのが見えた。
わたし、緊張MAX。
若頭が車のドアを開けてくれ、手を差しのべてくれた。
「あ、ありがとうございます・・・」と、小声しか出なかった。
転ばないように、転ばないように、と、緊張で足元が震える。
何せ着ている着物が『まほろば藤』
若頭の手をとった時、ぐっと強く握られた。
「━━━━」大丈夫。転ばない。
何かあっても若頭が支えてくれる。
無事に車を降りると、お出迎えの声がかかる。
「まあ、いらっしゃいませ。あなたが例のお嬢さんね。松田から聞いておりますわよ。私、松田の家内の胡蝶でございます」
出迎えてくれたのは松田さんの奥様の胡蝶さん。
なんと、楓さんのお姉さんなのだそうだ。
車を降りる直前、組長先生が教えてくれた。
つまり、組長先生の姪ごさんにあたる。
はっきり言って美人である。楓さんも美人だから美人姉妹だ。うらやましい。
「は、初めまして。青木みふゆと申します。本日はお招きしていただいて、ありがとうございます。お茶会は初めてなのでご無礼があるかもしれませんが、よろしくお願いします」
緊張しながらわたしは挨拶をした。
「まあ、こちらこそよろしくお願いします。振袖、まほろば藤ですわね。よくお似合いですこと」
「あ、ありがとうございます。ご縁がございまして、本日着せていただきました」
うまく挨拶できただろうか?
会話は成り立っていただろうか?
そんな些細なことが気になる。
「胡蝶、お前、今日までオーストラリアに行ってるんじゃなかったのか?」
「ええ、一日予定を繰り上げて帰ってきたの。だって面白そうなんですもの」
「?」面白そう??
何かイベントでもあるの?
しかし、若頭のフランスといい、胡蝶さんのオーストラリアといい、外国づいてる人達だなぁ。
すると、横にいた組長先生が、
「ばかやろう、見せもんじゃねえ」
と胡蝶さんに言った。
組長先生が面白いもの持ってるのか?それとも芸の披露とか?
「またまた、会長ってば、見せびらかしたいくせに」
胡蝶さんがクスクス笑う。
やっぱり組長先生が何か面白いことをやるんだな・・!何それ見たい!
組長先生は腕を組んで「うるせえ」とぶっきらぼうに言った。
やっぱ見なくていいや。怒られそう。
「あら、京司郎、お前はお茶会には出ないのかしら?」
胡蝶さんが若頭に声をかけるが、そこはかとなく姐さんの迫力。
「今日は運転手ですので」
若頭がやんわりと断りをいれている。
「松田が茶を点てるのよ?スーツでいいから参加なさい。そうだわ、久しぶりにお前の点てた茶もいただきたいわねえ」
胡蝶さんは淑やかな笑顔を見せるが、なんかものすごい上下関係を垣間見ている気がする。
ある意味組長先生以上なのでは・・・。
それにしても若頭まで茶を点てるのか。
なんてこったい。
ほどなく、わたしと組長先生は若頭の運転する車に乗って松田さんの家に行った。
40分ほど車で走ると、組長先生が
「ほら、あれが松田ん家だ」
と、教えてくれたが、白い壁が延々と続いているだけで、わたしにはわからなかった。
門前に着いた。でかい。組長先生のお屋敷の門よりでかく見える。
門構えが完全洋風のせい?
お城でもかまえてそう。
若頭が携帯電話で連絡すると、数人の男達が出て来て門があいた。
六人の男達は左右に分かれ一列に並び、車に向かって深く頭を下げている。
そのまま車で走ると、白い大きな洋館が現れた。
ここ、松田さん家って気軽に言える家じゃないぞ。
洋館の前では着物姿の女性とその後ろにやはり男が二人、立っているのが見えた。
わたし、緊張MAX。
若頭が車のドアを開けてくれ、手を差しのべてくれた。
「あ、ありがとうございます・・・」と、小声しか出なかった。
転ばないように、転ばないように、と、緊張で足元が震える。
何せ着ている着物が『まほろば藤』
若頭の手をとった時、ぐっと強く握られた。
「━━━━」大丈夫。転ばない。
何かあっても若頭が支えてくれる。
無事に車を降りると、お出迎えの声がかかる。
「まあ、いらっしゃいませ。あなたが例のお嬢さんね。松田から聞いておりますわよ。私、松田の家内の胡蝶でございます」
出迎えてくれたのは松田さんの奥様の胡蝶さん。
なんと、楓さんのお姉さんなのだそうだ。
車を降りる直前、組長先生が教えてくれた。
つまり、組長先生の姪ごさんにあたる。
はっきり言って美人である。楓さんも美人だから美人姉妹だ。うらやましい。
「は、初めまして。青木みふゆと申します。本日はお招きしていただいて、ありがとうございます。お茶会は初めてなのでご無礼があるかもしれませんが、よろしくお願いします」
緊張しながらわたしは挨拶をした。
「まあ、こちらこそよろしくお願いします。振袖、まほろば藤ですわね。よくお似合いですこと」
「あ、ありがとうございます。ご縁がございまして、本日着せていただきました」
うまく挨拶できただろうか?
会話は成り立っていただろうか?
そんな些細なことが気になる。
「胡蝶、お前、今日までオーストラリアに行ってるんじゃなかったのか?」
「ええ、一日予定を繰り上げて帰ってきたの。だって面白そうなんですもの」
「?」面白そう??
何かイベントでもあるの?
しかし、若頭のフランスといい、胡蝶さんのオーストラリアといい、外国づいてる人達だなぁ。
すると、横にいた組長先生が、
「ばかやろう、見せもんじゃねえ」
と胡蝶さんに言った。
組長先生が面白いもの持ってるのか?それとも芸の披露とか?
「またまた、会長ってば、見せびらかしたいくせに」
胡蝶さんがクスクス笑う。
やっぱり組長先生が何か面白いことをやるんだな・・!何それ見たい!
組長先生は腕を組んで「うるせえ」とぶっきらぼうに言った。
やっぱ見なくていいや。怒られそう。
「あら、京司郎、お前はお茶会には出ないのかしら?」
胡蝶さんが若頭に声をかけるが、そこはかとなく姐さんの迫力。
「今日は運転手ですので」
若頭がやんわりと断りをいれている。
「松田が茶を点てるのよ?スーツでいいから参加なさい。そうだわ、久しぶりにお前の点てた茶もいただきたいわねえ」
胡蝶さんは淑やかな笑顔を見せるが、なんかものすごい上下関係を垣間見ている気がする。
ある意味組長先生以上なのでは・・・。
それにしても若頭まで茶を点てるのか。
なんてこったい。
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