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第一章 悪役令嬢と女神様
11 ミシェル視点
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私はミシェル・フォーレストと言います。フォーレスト家の長女で、兄が一人居ります。今日はグリムッド州に遠征する騎士様たちをお見送りして、それからはずっとぼんやりと過ごしていました。することが無かったのです。いつもなら幼なじみの二人が私の部屋の戸を叩くのですが、本日は何故か誰も来ません。なぜでしょう?
幼なじみの一人はロラン・ディアモール。見た目は地味ですが、凄く頭の回転が早くて驚かされます。そんな彼はグリムッド州への遠征に行っているので王都には居ません。
もう一人の幼なじみはシルヴィラ・ヴァンクリーフ。見た目は凄く美しいのに性格に難あり、な子です。彼女は結構人見知りが激しくて、知らない人が相手だとキツい口調になりがちです。フォローしないと反感を買いまくる子なのでちょっと将来が心配です。昨日のガーデンパーティーでもそうでした。
・・・
あの時、シルヴィラちゃんの周りには人垣が出来ていました。その中には男性も女性もいたのですが、一人、常識知らずの少女が迷い込んでいたのです。その少女はオムレツを頬張りながらこう言いました。
「私の夢は…んー、とりあえず王子様と結婚すること…ですかね」
その夢自体はよくあるものでした。王子というのは、結婚すれば余程のことがない限り一生安心して暮らせる、超優良物件ですから。貴族の娘として産まれた者が一度は夢見る未来と言っても過言ではありません。しかし言うタイミングが最悪でした。あろうことか、その『王子様』の婚約者であるシルヴィラちゃんの前でそう言ったのです。しかも目上の者に対してオムレツを食べながら。態度は最悪でした。そしてオムレツのケチャップが彼女のドレスに零れることで最悪度がより増します。それまで幾重にも無礼を働いた少女にシルヴィラちゃんが怒ります。ただの令嬢なら癇癪をおこしても無理はないと思うことなのに、シルヴィラちゃんは静かでした。
「ケチャップがドレスに零れているわよ?」
シルヴィラちゃんに話しかけられたのに驚いたのか、シルヴィラちゃんの怒りに怯えたのか。少女は後退りました。それからドレスにはまだ慣れていないのか、自分で裾を踏んで転びました。その時、少女が大きな悲鳴をあげたのでシルヴィラちゃんと少女は注目の的になります。
シルヴィラちゃんは見知らぬ人たちに注目されてのぼせてしまったのか、どんどん口調がキツくなっていきました。言いたいことは当然のことなのに…ぱっと見た人にはシルヴィラちゃんは悪役として映っていたことでしょう。
・・・
シルヴィラちゃんの両親はシルヴィラちゃんに雷を落とそうとしていました。私は事実を説明し、どうにか怒りを静めました。だって彼女は何一つ悪いことをしていないのですから、怒られるのはおかしいと思ったのです。
でも、シルヴィラちゃんの両親の怒りを静めたかった本当の理由は違うのかもしれません。私が、怒られて臆病にーいえ、大人になっていく彼女を見たくなかったから。
彼女にはいつまでも自由でいてほしい。恥ずかしいので口には出しませんが、私は彼女は太陽のような人だと思っています。そんな太陽の光が制限されるのが嫌だから。ただ、それだけだった気がします。彼女よりも素直に言葉が出ない私だけれど、彼女を好いていることだけは否定出来ません。というか、彼女を嫌いになることほど難しいことってないと思います。
コンコンコン
「ミシェル居る?私、シルヴィラよ」
ふふ、噂をすれば、ですね。さぁ、今日の彼女はどんな輝きをしているのでしょう…?
私はワクワクしながら扉を開けます。
すると、いつものように輝きに満ちた彼女は、またおかしな事を言い始めました。
「同人誌を作りましょう!」
幼なじみの一人はロラン・ディアモール。見た目は地味ですが、凄く頭の回転が早くて驚かされます。そんな彼はグリムッド州への遠征に行っているので王都には居ません。
もう一人の幼なじみはシルヴィラ・ヴァンクリーフ。見た目は凄く美しいのに性格に難あり、な子です。彼女は結構人見知りが激しくて、知らない人が相手だとキツい口調になりがちです。フォローしないと反感を買いまくる子なのでちょっと将来が心配です。昨日のガーデンパーティーでもそうでした。
・・・
あの時、シルヴィラちゃんの周りには人垣が出来ていました。その中には男性も女性もいたのですが、一人、常識知らずの少女が迷い込んでいたのです。その少女はオムレツを頬張りながらこう言いました。
「私の夢は…んー、とりあえず王子様と結婚すること…ですかね」
その夢自体はよくあるものでした。王子というのは、結婚すれば余程のことがない限り一生安心して暮らせる、超優良物件ですから。貴族の娘として産まれた者が一度は夢見る未来と言っても過言ではありません。しかし言うタイミングが最悪でした。あろうことか、その『王子様』の婚約者であるシルヴィラちゃんの前でそう言ったのです。しかも目上の者に対してオムレツを食べながら。態度は最悪でした。そしてオムレツのケチャップが彼女のドレスに零れることで最悪度がより増します。それまで幾重にも無礼を働いた少女にシルヴィラちゃんが怒ります。ただの令嬢なら癇癪をおこしても無理はないと思うことなのに、シルヴィラちゃんは静かでした。
「ケチャップがドレスに零れているわよ?」
シルヴィラちゃんに話しかけられたのに驚いたのか、シルヴィラちゃんの怒りに怯えたのか。少女は後退りました。それからドレスにはまだ慣れていないのか、自分で裾を踏んで転びました。その時、少女が大きな悲鳴をあげたのでシルヴィラちゃんと少女は注目の的になります。
シルヴィラちゃんは見知らぬ人たちに注目されてのぼせてしまったのか、どんどん口調がキツくなっていきました。言いたいことは当然のことなのに…ぱっと見た人にはシルヴィラちゃんは悪役として映っていたことでしょう。
・・・
シルヴィラちゃんの両親はシルヴィラちゃんに雷を落とそうとしていました。私は事実を説明し、どうにか怒りを静めました。だって彼女は何一つ悪いことをしていないのですから、怒られるのはおかしいと思ったのです。
でも、シルヴィラちゃんの両親の怒りを静めたかった本当の理由は違うのかもしれません。私が、怒られて臆病にーいえ、大人になっていく彼女を見たくなかったから。
彼女にはいつまでも自由でいてほしい。恥ずかしいので口には出しませんが、私は彼女は太陽のような人だと思っています。そんな太陽の光が制限されるのが嫌だから。ただ、それだけだった気がします。彼女よりも素直に言葉が出ない私だけれど、彼女を好いていることだけは否定出来ません。というか、彼女を嫌いになることほど難しいことってないと思います。
コンコンコン
「ミシェル居る?私、シルヴィラよ」
ふふ、噂をすれば、ですね。さぁ、今日の彼女はどんな輝きをしているのでしょう…?
私はワクワクしながら扉を開けます。
すると、いつものように輝きに満ちた彼女は、またおかしな事を言い始めました。
「同人誌を作りましょう!」
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