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しおりを挟む「あ、えっと…」
まずは自己紹介を、と思ったところでふとゲームのシステムを思い出す。
(確かプレイヤー名つける時に名字はなかったよな…)
「初めまして…俺、輝夜と言います」
「カグヤか、よろしく頼む」
アルティミアが差し出した手におずおずと手を伸ばし握手をすると、再び庭園に慌ただしい気配が近づいてきた。
「陛下!!神子が召喚されたとお聞きしました!」
(あ!あれはモブかと思ったら意外とストーリーに絡んでくる大神官だ!)
長い髭を蓄えた白のローブに身を包んだ老人…基大神官は走ってきたのか息が弾んでいた。
「あぁ、大神官か。私も今しがた挨拶をしたばかりだ」
「おお!おお!これはこれは…神子様、私はこのルーナルで大神官を努めておりますラルゴと申します」
恭しく頭を下げた大神官に会釈を返すと頭を上げたラルゴはアルティミアに向き直り再び頭を下げた。
「陛下、神子様も混乱していらっしゃるご様子ですので一度神殿へとお連れしたいのですが…」
その言葉を聞いた俺はふと違和感を覚える。
「…ふむ。カグヤ、大神官はこう言っているがどうする?」
「えっと…」
(あれ…?)
1週目ならば確かアルティミアへのお伺いはなく神殿へ強制的に移動だったはず。
(今の2週目以降のセリフ…だよな?ってことはここは2週目以降の世界…)
となると答えは一つ。
「神殿へは行きません」
ゲームをプレイしていた時はもっと他の言い方あるだろ、って思ったけど口に出たのはゲームの選択肢と同じ言葉だった。
(うわ…やっぱゲームの世界なんだ…)
そんな事を呑気に思っていると険しい顔をしたラルゴが詰め寄ってきた。
「神子様!そう言わずに!」
目前に迫ったラルゴがいきなり俺の手を掴んでそう言った瞬間、
バチッーーー!
「っ!!!?!」
ラルゴと触れた箇所が激しく光り、衝撃が走る。
「あ、あぁ、」
途端アルティミアとカゼルディアの視線がラルゴに刺さり、ラルゴは目に見えて狼狽し始めた。
「大神官を捕らえなさい」
カゼルディアがそう言えば先程二人を呼びに行っていた騎士がラルゴを拘束する。
「今のは…」
「どうやら大神官はお前に悪意があるみたいだな」
「そう、みたいですね…」
(やっぱり…2週目以降か…危なかった)
2週目以降、あのまま神殿へ向かうとモブレBADEND一直線なのだ。
「では神子様、こちらへどうぞ」
「は、はい」
カゼルディアにそう促され、俺たちは城の方へ歩き出した。
城に入ればいつ推しに遭遇してもおかしくない。
でも俺は推しを救うための行動をするだけだ。
落ち着いて、選択肢を間違えないように。
必ずあなたの命を守ります、
正妃様。
応援ありがとうございます!
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