StoryTeller~無気力少女の異世界道中~

翠漣

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フランタール脱出編

隠蔽工作のお時間です

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私とりょーたんの番が来た。

「では、ステータスをお願いします。」

私とりょーたんはステータスのウィンドウを他人にも見えるように設定して王女に見せる。

「……これは…その、何といいますか…本当に異世界召喚で喚ばれた方ですか?失礼ながら、2人共弱すぎですよ?2人共ほとんどのステータスが二桁、それも半分もいってません…しかも、片方の方は職業が召喚士とは…役立たずではありませんか。」

やっぱり?てか、召喚士って不遇職なの?聞いた感じはかっこいいのになぁ。………って、あれ?なんかおかしくね?りょーたんって確かほぼオール三桁じゃなかった?なのに二桁前半?
りょーたんをもう一度《看破》する。
…ステータスがオール40になっていた。隠蔽スキル使ってるし!?えー…と、とりあえず王女様に聞きたいことを聞くことにしよう。

「あの、王女様。召喚士ってどんな職業なんですか?なんだかすごく不遇職みたいな言い方でしたけど」

「……召喚士は魔導書がないと何も出来ないんですよ。Dランクの魔導書なら各地のダンジョンでいくらでも出るんですが、Aランクにもなると世界に数える位しかありません。それに、召喚士に必要なのは白紙の魔導書と呼ばれるもので、ダンジョンから出る魔導書は基本ほとんどが魔法使いの補助用の文字の書かれたものです。更に言えば、例え白紙の魔導書が手に入っても何が召喚できるようになるかは分かりません。参考までに、Dランクの魔導書で召喚できるのはネズミや虫、良くて犬や猿だと聞きます。役に立ったと明言できるのは、Bランクの白紙の魔導書で多くの薬草を召喚できるようになった者くらいです……故に、召喚士が適性職業として出てしまった者はゆえん役立たずと呼ばれます。」

……想像以上に不遇職らしい。皆の視線が痛い。同情と嘲笑が半々くらいでとんでくる。

「もういいですか?それでは次へ進みます。次に皆さん“アイテムボックス”と唱えて下さい。これはあくまでもアイテムボックスが開けるかの確認です。」

……“アイテムボックス”。
目の前に不思議な渦のような空間の歪みが現れる。おぉ、開いた。これがアイテムボックスか。
王女曰わく、召喚された者は全員開けるらしい。この世界でアイテムボックス持ちは数少ないため、非常に重宝されるとか。

「……ん?」

アイテムボックスの中に何かある。誰もみていないのを確認した上でちら見程度に取り出す。
…あ。……あとで見よう。ちゃんと見よう。絶対見ないとヤバい。

「…皇、大丈夫か?」
「…久城かぁ。大丈夫ー。まぁ、なんとかなるさぁー。気にしない気にしない!勇者なんでしょう?久城の方こそ大丈夫?」
「あぁ、俺は大丈夫だ。…何かあったら言えよ?」
「あー、うん。何かごめんねぇ。ありがとう。ほら、女子の視線が痛いし怖いので戻った戻った。」
「…あぁ。」

その後は、今日はこれまでと部屋を与えられる事になった。2人一部屋。男子20の女子9。じゃんけんに勝った女子が一人部屋を手に入れていたが、知らない場所で一人は不安なんだろう、結局メイドさんに頼んで3人部屋にしてもらっていた。

皆が部屋に向かって歩き出した時、最後尾にいた私を王女が呼び止めた。

「あぁ、あなたは少しお話がありますので残ってください。」

強制イベント発生。王女様とお話です。めんどいなぁ。
扉が閉まり、王女様達の冷たい視線が突き刺さる。とうとう隠さなくなったよ、こいつら。
ならばここは先手必勝。少しでもこちらに有利な条件を取り付けなきゃ!

「あの、王女様。王女様が言いたいのは、…その、私が役立たずだと言われたことと関係があるのですよね?」

「なんだ、分かっているでは無いですか。そうです。使えない奴は要りませんわ。しかも獣人。厄介払いができて丁度いいですし、さっさと貴方には出ていって欲しいんですの。」

うわ、黒っ。でも負けられないんだよね。

「でしたら、3日の猶予をいただけませんか?私は召喚されたばかりでこの世界のことを何も知りません。3日の猶予とその3日間の図書室に通う許可、そして当面…1ヶ月程度で構いません、手切れ金をくださるなら、3日後に出て行きます。」

「はぁ?何故崇高なる私が獣人なんぞにそんな猶予を与えなければいけませんの?本来であればその身を切り刻んで家畜の餌にでもしてやりたいくらいですのに!!勇者様の身内だから温情を掛けてやっているのです、身の程を知りなさい!」

…化けの皮剥がれてんぞー。後でりょーたんにも教えてあげよーっと。腹立ったし、ちょっと煽ってみようかな。

「え?その崇高なる王女様が喚びだした者への責任も持てないんですか?偉大で懐の広い方でしたらこの程度してくれて当然では?」

「!!…いいですわ。許可してあげます。偉大で懐の広い私ですもの。この位してあげて当然の施しですわ!」

……予想以上に上手くいって寧ろ私の方が困惑してしまった。この子意外とチョロいな。お姉さんは将来が心配です。



この後案内されて部屋に行くと、相部屋の子は別の部屋に行っているらしく誰も居なかった。
今がチャンスかな…。アイテムボックスを開き、入っていた物を取り出した。

「わお、きれー」

純白の皮表紙に金の縁取りの本。中身は真っ白。
“白紙の魔導書”ってコレじゃね?違う?そうだよね?
……で、どうすんの?あれか?魔力的なのを流すとか?流すってどうやんの?……やっぱりつんだかも。

「王女サマ曰く“獣人ごとき”、か…。ここがもしアンチ獣人国家ではなく、人間至上主義国家の場合…」

ダークエルフのりょーたんを始め、29人中16人が人外…私みたく放逐で済めばいいけど、他のみんなは雑魚認定されていない…王女サマのスキルと相まって嫌な予感しかしないね。りょーたんはどうなんだろう、放逐勧告来たのかな?確認せねば。

とりあえず今日は疲れたから就寝。おやすみなさーい。ふかふかのベットの中に飛び込む。
…本のことは明日図書室で調べよう。あんなクズ王女に負けてなどやるものか。
そう決意して、私は目を閉じた。
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