小さな貴族は色々最強!?

谷 優

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28話

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   「本日は、よろしくお願いします。」

ベラルとアルノも同行することになった。万が一に備えて、屋敷外では複数名護衛を付けることで外出が許されるのだ。

   「よろしくね。」  

ウィリアムと、2人は互いに挨拶し終わるとウィリアムとエリスは馬車に乗り込み、後の3人は馬に乗って馬車の周りに移動した。

前回は、時間をかけて帝都まで行ったが今回は、時間をかけず領地内で1番栄えている街へ向かった。

少しの間馬車に揺られていると、直ぐに大通りに出て栄えている街に着いた。

石造りの建物が並ぶ広い通り。街の中心には大きな市場があり、人々の声と笑い声が溢れている。子供が元気に走り回り、平和そのもののようであった。
色とりどりの布が張られた屋台が立ち並び、果物、陶器、革細工、金属細工、香辛料などが所狭しと並べられている。

帝都と比べれば、少し小さいが侯爵家が保有している領地は、他の領地と比べても特産品や輸出、人的派遣などが盛んなため裕福な方ではある。街も清潔感が漂い、人々は暮らしやすいと感じている。

   侯爵家が、保有している土地とはいえ始めて来たよ。でも、アルノはこの街の出身だからよく分かるって言っていた。アルノに道案内は任せてもいいかな。

   「ねぇねぇ、アルノ。僕、薬草が売っている店に行きたい。案内してもらってもいいかな。」

   「もちろんです、ウィリアム坊っちゃま。」

そう言うと、アルノは薬草店に向かう途中様々な店を紹介してくれた。アルノは、よくここに通っているらしくほとんどの店を把握していた。その様子は、とても楽しそうであった。

   『おぉ、アルノじゃないか。』

すると横のフルーツ屋を出している店から、年老いたおばあさんが声をかけてきた。アルノは、呼びかけに応えるように手を挙げた。

   「久しぶりだなマキのばあちゃん、腰はもう治ったのか。」
    
   「ああ、もっすっかり治ったさ。まだまだ、若い血が流れているからね治りも早いんだ。」

   「ふっそうかよ。俺は、今任務中だからもう行くなせいぜい腰には気を付けるんだな。」

マキと言われているおばあさんは、冗談交じりに治ったことを伝えていた。アルノは、ウィリアムの護衛中ということもあって手短に話していた。

   このおばあさんは、アルノの知り合いなんだ。

   「おや、この子がギルベルト様のご子息かい。始めて見たよ。可愛らしい子じゃないか。」

   「ばあちゃん、失礼だぞ。」

   「あ、いえ気にしないで下さい。始めましてウィリアム・ヴェスターと申します。」

ウィリアムは、おばあさんに礼儀正しくご挨拶をした。

   「あらまぁ、こんなに小さいのに挨拶出来て偉いわねぇ。これから、どこに行くんだい?」

   「薬草のお店にいきます!でも、始めて街に来たのでアルノに案内してもらっているんです。」

   「そうだったのかい、アルノしっかりお護りするのだよ。そうだ、侯爵家の皆様に持っていきな。ばあちゃんの息子が、畑をやっていてねそこで採れた新鮮なフルーツだよ。」

すると、おばあさんは袋にリンゴやバナナ、メロンなどといった出店で販売されていたフルーツを入れウィリアムに渡した。

   「えぇ!こんなに大丈夫ですよ。」

  「いいのよ、ばあちゃんは子供が元気な姿を見るのが好きだからね。アルノも小さい時はよく食べてたんだから、坊ちゃんもこれを食べれば大きくなれるわよ。」

   「え、ほんとに!?僕いっぱい食べる。ありがとうおばあさん!」

ウィリアムは、善意を向けられアルノみたいに大きくなりたいという思いから、フルーツを受け取った。フルーツを受け取ると、5人は店を後にした。その向かう途中、今度はおじいさんや若いお兄さんまでもがアルノのことを知っており、皆が見つける度に声をかけてきた。

   『アルノ、ご子息をしっかり守るのよ。』
   『今度、また飲みにいこう。』
   『この間は、手伝ってくれてありがとよ。また、よろしくなぁー。』

などといった、アルノに対して皆は好印象のように思えた。その後、何人かの人に声をかけられながらも何とか店に着くことが出来た。

   「3人はここで、待っていてもいいよ。もしかしたら長くなっちゃうかも。できるだけ早くするね。」

   「焦らなくても大丈夫ですよ。私たちはここで待っておりますので、何かございましたら直ぐにお知らせください。」

サイラス、ベリル、アルノの三人はそれぞれ窓、ドア、の配置に着いた。

   「うん、後でね。」

ウィリアムがそう言うと、入口のドアが閉まった。
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