公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

谷 優

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59話

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     あれから、少し経ったあとパーティーはお開きになった。

   「お嬢様、お疲れ様でした。今日はすごく疲れましたよね。」

   「凄い疲れたけど楽しかったよ。」

何より会場のご飯がとても美味しかった。
特に"肉"!

   「ミシェル様とは、もうすっかり仲がよろしいですね。」

   「ふふ。一番の友達だからね。」

マリアナと寝る前に今日の楽しかったことを振り返った。

すると、私の部屋に誰かが夜遅くに来客してきた。

  『コンコン。』

夜が遅いということもあってマリアナも警戒していた。

誰が来たんだろう。

   「私が確認してまいります。」

そう言うと、マリアナは扉の向こうを確認した。

   「あら、公爵様。」

   「え、公爵様?中に通して。」

   「かしこまりました。」

   「失礼する。」



公爵様は小さな箱を持って私の側へ歩み寄ってきた。

   「二人にしてくれ。」

マリアナにそう言うと、直ぐに退出した。

何か内密に話したいことでもあるのかな?

   「ティアナ夜遅くすまない。少し話がしたくてな。」

   「話って重要なことなのですか?」

  「私にとっては重要なことだ。」

静かな空間だし、声が響く。
緊張して、心臓の音が部屋内に響き渡りそう。

   「これは、遅くなったが私とフローラからの誕生日プレゼントだ。」

公爵様はそう言うと、手に持っていた小さな箱をティアナに渡した。

フローラというと、私のお母様だ。
二人でプレゼントを用意してくれたの?

   「開けてもいいですか。」

   「あぁ。」

嬉しい気持ちを抑え、箱に着いているリボンを丁寧に解き、開封した。

   「わぁ!ネックレスですか!?」

中に入っていたプレゼントには、ティアナの瞳と同じ色である、赤い石が秘められていた。

   「これは、お前の母と共に作成した魔道具だ。エリーにプレゼントしたネックレスを覚えているな?それと同様の物だ。万が一危険が迫った時に、身を護ってくれるものだ。」

これを作る過程はとても大変なんじゃなかったっけ。

   「でも、これって魔力を込め何重にも魔法をかけないといけないんですよね?お母様のお体は大丈夫なのですか?」

このような高価な物を貰うのはとても嬉しいが、弱っているお母様には酷な事ではなかったのか。

   「大丈夫だ、お前の母親は強いからな。だが、万が一のこともある為私と共に魔力を込めた。」

いや、公爵様はお母様の容態は大丈夫だとは言っているけど本当は良好では無いのだろう。

それでも、私の誕生日に合わせて作ってくれるのは嬉しかった。

公爵様の出入りが最近多くなったのは、頻繁にお母様の元へ訪れていたからなのだろう。

  「でも、私はお母様の体調が優れないにも関わらず、いつもわがままを言いました。それが原因でお母様は、ここにいられないんですよね…。」

元はと言えば私の責任もあった。
今のお母様の様子は分からないが、まだ邸宅にいた頃のお母様はとても辛そうだった。でも、私はわがままを言い続けた。

だから、だから、このような籠った物を貰う権利が私には、無い…。

顔を上げられない。
公爵様は今どんな表情をしているのだろう。
私を恨んでいるのかな。

    「ティアナ…。そんな事は気にしなくていい。フローラもそのような事は気にしていない。誰もお前のせいだとは思ってはいないんだ…。」

なぜか、公爵様は苦しそうな悲しそうな声をしていた。


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