平成25年、あれから2年目の恋

みなわなみ

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コーヒー

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 その夜、美咲は久しぶりに祖母が使っていた古いコーヒーカップを取り出した。

「…おばあちゃん…おじいちゃん…」

 それは、やっと見つけたカップ。
 奇跡的に割れなかったカップ。
 津波で泥まみれになり、何度も洗って洗って洗って磨いたカップ。

(「おじいちゃんにもらった」と、嬉しそうだったよね。いつもおじいちゃんにコーヒーを淹れてもらって…)

 美咲は、そのカップに自分で淹れたコーヒーを注ぎ、一口飲んでみた。

 ​健太の言う通り、そのコーヒーは少し後味が苦い。

(おじいちゃんに教わった通りやってるのに…。前は、こんな味じゃなかった)

 美咲の瞳からは、知らないうちに涙がこぼれていた。


 ​翌日、健太がカフェに来ると、美咲は小さな声で言いました。

「…私に、コーヒー、淹れてみてくれませんか?」
「え?ええん?」
「はい…」

 ​健太は驚き、少し戸惑いながらも、美咲に言われた通りにコーヒーを淹れた。
 健太の淹れるコーヒーは、おおらかというか…雑だった。
 豆の挽き方が粗かったり、少しお湯が多かったり。
 美咲は見ていて、ハラハラする。
 ​しかし、そのコーヒーは、健太が笑いながら淹れてくれた、温かい味がした。

 美咲は、そのコーヒーを飲みながら、初めて健太の前で心から笑った。

「…なんか、変な味ですね」

 ​健太は、その美咲の笑顔を見て、心から安堵する。

「そやろ?俺は、コーヒー、まだまだ修行中やから」

 健太の絶妙な切り返しに、美咲はまた、笑顔を見せた。

 ​その日から、美咲は、健太に少しずつ笑顔を見せるようになった。

(今日もわろてくれるかな)

 健太も、美咲の心の傷に寄り添いながら、ゆっくりと時間をかけて話を聞く。

 潮音しおんには、穏やかな時間が流れるようになった。
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