【完結R18】三度目の結婚~江にございまする

みなわなみ

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【閨】心許なくて、心地よくて~秀勝さまとの夜2

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 ふいに落とされる秀勝さまの温かな唇を、どう受け止めてよいかわからず、私は、ただじっとしていました。
 恥ずかしいが、嫌ではない。生まれて始めての不思議な感情が、私の中に現れて戸惑う。

 武家の姫ゆえ、夫婦の営みは教えられていた。だからこそ、茶々姉上が秀吉なぞの側室になるのが嫌だった。
(茶々姉上も初姉上もこのようなお心持ちだったのであろうか)
 未知の頼る術のない心細さに、私は姉上たちを思い出していました。

 秀勝さまは、私の名を呼び、私を見つめて、急がず何度も口づけを繰り返してくださいます。
 秀勝さまの低い声がとても心地よくて……。なんだかふわふわしそう。
 
 少し長い口づけをしていた秀勝さまの片手が、私の胸元を撫でたと思うと、夜着がするりと肩からずれました。
「……っ」
 私は反射的に、腕で胸元を隠します。
 (あ、しまった……)
 秀勝さまに申し訳ない目を向けると、怒る様子もなく微笑んでくださいました。
 (よかった)
 ホッとしたけれど、秀勝さまに躰を見られるのは、やっぱり恥ずかしくて。
 すると、秀勝さまが私を抱き締めて耳元で囁かれました。
 
「「美しいぞ、江」」

 何度も、何度も……
 
 そう繰り返されて嬉しくない女子がおりましょうや。
 いつしか恥ずかしさより喜びが勝っておりました。

 秀勝さまの優しい口づけは、そのまま、首筋へと移ってゆきます。

 (ふふ、くすぐったい)

 私が大好きな秀勝さまのおひげ。いつもは見上げるお髭が、しょりしょりと私の肌にあたります。
 けれど、くすぐったさとも違う感じがなにやらあって……。体の奧が、なにやらざわざわするのです。
「……ふぁ……」
 知らずに甘い吐息が漏れ、身をよじりました。

 私の躰が緩んだ瞬間。
 秀勝さまは力の抜けた私の腕を軽くつかんでずらし、現れたふくらみにすかさず唇を這わせました。

「あっ、秀勝さま……」
 あまりの恥ずかしさに、私は思わず「お止めくださいまし」と言いそうになったのをこらえました。
 そう言うと、きっと秀勝さまは止めてしまわれる……
 (私は秀勝さまの妻になるのじゃ)
 キリッと奥歯を噛みしめ、きつく目をつぶりました。

 秀勝さまの唇は、ピンと上を向いたふくらみの頂点を捕らえています。
 生まれて初めて唇で触れられて……。
 躰中に、ゾワゾワとした甘やかな痺れが走りました。

 (なんじゃ?これは……)

 初めての感覚が恐ろしく、私は、幼子がおののくように、また胸元の腕にまた力を入れてしまって。
「江? 辛いか?」
 秀勝さまがすぐに私を見つめてくださいます。
 私が驚いたのは、秀勝の唇が体から外れるとさわさわした快感がなくなったこと。
 私はどうなってしまったのでしょう……。
「…いえ、大事ございませぬ…」
 微笑もうとしたのだけれど、うまく笑えなかった私の頬を、秀勝さまは優しく撫でてくださいました。
「そなたが愛しい」
 私の力が入るたび、秀勝さまはそう囁いて、やさしく口づけてくれます。
 その言葉が嬉しくて、私の心も躰もほどけていくのです。逞しい腕の中で。

「江、そなたの美しい躰を私に見せてはくれぬか?」
 秀勝さまの突然の申し出に、顔が火照って火照って、ふいと顔を背けてしまいました。
 (そのようなことは草紙に書かれていなかったのに……)
「恥ずかしがらずともよい。そなたは美しい」
 秀勝さまは、追い打ちをかけます。
 そう言われても、恥ずかしい……でも、嬉しい……。
 どうしよう。どうしたらいい……?
 自分で答えが出せなくて、秀勝さまを見つめたら、まっすぐな瞳が飛び込んできました。

 (この方に愛されたい)

 秀勝さまへの愛しさが溢れたのです。
 胸元を隠していた小さな手を一度グッと握りしめると、秀勝さまがゆっくりと頷かれて。それを合図に、私はそろそろと自分の躰の脇に手を降ろしました。
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