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「グスッ‥」

 どうしよう泣いてる。

「どうして泣いてるんですか?どこか痛いんですか?」

「っ私、醜いから‥嘘でも嬉しくて‥」

 醜い!?どこが!?

「醜くなんかないですよ!」

「ふふっ、いいんです。わかってますから。」

 泣きながら笑ってる。すごく綺麗、天使みたい。  はっ!危ない、飛びかけてた。
 このイケメン絶対わかってないよね!?醜くないよ!?

 言葉で伝わらないなら行動で示せ!だ。

 私は全力でイケメンを抱きしめた。

「‥ッ!!」

 イケメンは固まってしまった。
 目を見て伝えないと!

「あなた醜くないですよ!むしろカッコいいし、優しいし、素敵だし!!!!」

 イケメンは顔が真っ赤になった。

 私が力説していると、わかってくれたようで、とりあえず離れて冷静になった。

 その後、私のことについて話した。

 どうやら私は転生してしまったらしい。うん、なんかビックリ。追いつけない。

 この世界では昔私と同じように転生してしまった人がいるらしく、それは神のイタズラとか伝説の聖女とかなんとか。何百年に一度くらいのペースで転生してくるらしい‥。その後イケメンにお願いして、日本に帰るまで居候させてもらうことになった。イケメンはジェイっていうみたい。ジェイは私なんかに敬語を使わないでって何回も言うから、お互い敬語は使わないことになった。

 そして私は聞いてしまった。

「あの、さっき泣いてたけどもう大丈夫なの?」

「‥私は醜いから、こんな風に人と話せてることが夢みたいで‥信じられなくて‥」

「醜いって、ジェイは醜くないよ?私のこと助けてくれたし、優しいし、なんなら王子様みたいだよ?」

「!?///お、王子様!?」

「うん、ジェイ凄くかっこいいよ?もしかして本当に王子様なの?」

「!?!?!?!?!」

 ジェイは固まってしまった。私とジェイには何か価値観の違いがあると思って、この世界の美的感覚について聞いてみた。ジェイが言うにはこの世界ではジェイのようなイケメンが不細工らしく、逆に不細工はイケメンらしい。私はこの世界では凄い美人で、何よりこの黒髪黒目が美しいとされているらしい。

 私は私の世界の美的感覚について説明した。だからジェイはイケメンなんだって!と、何回も何回も説明した。するとジェイは照れながら「わ、わかったから、もう勘弁して///」と言った。わかってくれているような気がしないが、わかってくれていると信じることにした。

 私は日本に帰るまでお世話になる人が優しい人でよかったと思った。
 しかし、私はまだ知らなかった。もう日本には戻れないと言うことを‥。

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