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序章 始まりの町
第8話 セイリウム・バースデー
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「彼女からいろいろなことを聞いて、自分だけではどうするのが最適なのか判断できなかったのでみんなにも意見を聞きたいなと思ったんです。」
「そういう事ね。待ってて、みんな起こしてくるから。」
俺が大雑把に相談したい内容を話すと、すぐにアイラさんはみんなを呼びに行ってくれた。その間、マリアともほとんど話すこともなく、気まずい時間が流れていった。ほどなくして全員がカフェに集合し、俺が座っている円卓に座った。なぜかマリアだけがずっと姿勢を正しくしており、少し心配になった。
「さて、遅くなって済まない。アイラから何となくただ事ではないということだけは聞いているのだが、詳しく話してくれるかな?」
「はい、実は…」
俺はさっき広場でマリアから聞かされた事実をみんなに簡潔に話した。メリッカは未だに寝ぼけた顔のままだったが、ほかの三人はしっかりと聞いてくれていた。話がどんどん進んでいくにつれて三人の顔はどんどん深刻なものになっていき、メリッカも事の重大さを理解したようだった。
「なるほど、もしその話が本当なら国全体の危機、いや、世界の危機といっても過言ではない。これは俺たち独自で判断できるほど簡単な問題ではないからとりあえずこの町の領主の邸宅にこれから向かおうと思う。今すぐでも問題ないかい?」
「俺は大丈夫です。マリアさんは?」
「私も問題ない。」
「なら急いで向かおうか。」
ということで俺たち六人は足早にこの町の中央の高台にそびえたつ領主の邸宅に向かった。
「この町の領主、バースデー侯爵は叩き上げの成り上がりの貴族だ。あらゆる学識を持ち、その品定めの眼も一級品だ。話す言葉の一つ一つがすべて見られていると思って話したほうがいい。」
俺はライムが今から会うバースデー侯爵の話を聞きながら、とある懸念が脳裏に浮かんだ。
―やばい、俺今まで位の高い人と敬語で話したことないかも…
「大丈夫だ。君に質問が来ない限り応答は俺がやるよ。もし君に質問が来たら可能な限り丁寧な言葉で答えてくれれば問題ない。」
ライムはどうやら俺の心の声が聞こえたようで、何も言っていないにもかかわらず俺にアドバイスをくれた。そうしている間に俺たちはバースデー邸の門の前までやってきていた。
ライムが門番に話しかけようとすると、その奥で馬車を洗っていた使用人が突然走ってきた。
彼はどうやら俺のことを見てこちらに向かってきたようで、特に心当たりもないのだが無性に不安になった。
「これはこれはアルト様!その節は大変お世話になりました!セイリウム様もアルト様に直していただいた魔導騎馬を大変興味深そうにご連になられてましたよ!」
俺はその声を聴いて、彼がこの町に向かう途中に修理した魔導騎馬の御者であったことを思い出した。
「お久しぶり…でもないですね。今日はバースデー侯爵に用事があってきたんですけど、いらっしゃいますかね?」
「セイリウム様は今作業場にいらっしゃいます。ご案内しましょうか?」
「お願いします。」
その使用人について俺たちはバースデー邸の中に入った。バースデー邸はとんでもなく広く、敷地の中に公園が何個も作れそうなくらいの広さがあった。
そんな広大な敷地を歩きながら、美しく整えられた植物たちを眺めながら、あることに気が付いた。植物の成長度合いをある程度制御するための魔道具、スプリンクラーや疑似太陽光の魔道具の質が市販のものとは比べ物にならないほど素晴らしいものばかりだった。
俺はその魔道具たちを見ながら、本当に素晴らしい観察眼を持っている人なんだろうなと思った。
しばらく歩いていくと、とても大きなレンガ造りの大きな建物が見えてきた。
「あれがセイリウム様がよく利用されている作業場です。あの中で鍛冶、鋳造、精錬、錬金、木工、魔道具などの作業をされています。最近は魔道具の制作ばかりされてますね。」
使用人が俺たちに丁寧に説明してくれる。そのまま作業場に入っていく。中は本当にいろいろな工作機械が並んでおり、俺のテンションもひそかに上がっていった。
「セイリウム様、お客様です。お嬢様のお話されていたアルト様がいらっしゃいました。」
「本当かい!?」
使用人が中にいる作業服を着たあまり高貴には見えない男性がこれまた高貴には見えない話し方で俺たちのいるほうへ向かってきた。
「いやぁ、こんな汚い格好でごめんねー。僕がこの町の領主のセイリウム・バースデーだよ。君があのアルト・ロゼンタールかい?」
「はい、おれ、私がアルトです。」
「あー、僕の前では敬語は使わなくていいよ。そーゆーの苦手だから。」
「分かりました。普段道理に話しますね。」
俺はあまりにフランクな対応をされて思わず戸惑ってしまう。ほかのみんなも同じようで、どういった
反応をすればいいのかわからないようだった。
「それで、今日はどうしたの?」
「実は…」
さっきマリアに聞いた話をしっかりと漏れがないように伝える。俺の話が進んでいくにつれてセイリウムの顔はどんどん真剣なものになっていったが、話が終わると、またさっきと同じような表情に戻った。
「なるほどねぇ、それは大変だ。それで、君の意見を聞いてみたいんだけれど、相手の大本はどんなだと思う?」
セイリウムが唐突に問いかけてくる。俺はここに来るまでの間に思いついた考察を話す。
「多分、これは魔物の暴走ではないと思います。その証拠に、ゴーレムの中の基盤にとても知識がない魔物ができるような細工ではないものが施されていました。おそらくは、とんでもない技術を持った人間がいると思います。」
「君もそう思った?僕も実は話を聞きながら考えたんだけれど、そもそも魔物の暴走なら、明らかに圧倒的強者しかいない信託の騎士の末裔の集落は避けて通ると思う。それに、ただの魔物の群れなら、里は壊滅なんかしないと思ったんだよね。」
俺はセイリウムさんと見解一致したことに心底安心すると同時にこの予想が当たってほしくはないなとも思った。
「そういう事ね。待ってて、みんな起こしてくるから。」
俺が大雑把に相談したい内容を話すと、すぐにアイラさんはみんなを呼びに行ってくれた。その間、マリアともほとんど話すこともなく、気まずい時間が流れていった。ほどなくして全員がカフェに集合し、俺が座っている円卓に座った。なぜかマリアだけがずっと姿勢を正しくしており、少し心配になった。
「さて、遅くなって済まない。アイラから何となくただ事ではないということだけは聞いているのだが、詳しく話してくれるかな?」
「はい、実は…」
俺はさっき広場でマリアから聞かされた事実をみんなに簡潔に話した。メリッカは未だに寝ぼけた顔のままだったが、ほかの三人はしっかりと聞いてくれていた。話がどんどん進んでいくにつれて三人の顔はどんどん深刻なものになっていき、メリッカも事の重大さを理解したようだった。
「なるほど、もしその話が本当なら国全体の危機、いや、世界の危機といっても過言ではない。これは俺たち独自で判断できるほど簡単な問題ではないからとりあえずこの町の領主の邸宅にこれから向かおうと思う。今すぐでも問題ないかい?」
「俺は大丈夫です。マリアさんは?」
「私も問題ない。」
「なら急いで向かおうか。」
ということで俺たち六人は足早にこの町の中央の高台にそびえたつ領主の邸宅に向かった。
「この町の領主、バースデー侯爵は叩き上げの成り上がりの貴族だ。あらゆる学識を持ち、その品定めの眼も一級品だ。話す言葉の一つ一つがすべて見られていると思って話したほうがいい。」
俺はライムが今から会うバースデー侯爵の話を聞きながら、とある懸念が脳裏に浮かんだ。
―やばい、俺今まで位の高い人と敬語で話したことないかも…
「大丈夫だ。君に質問が来ない限り応答は俺がやるよ。もし君に質問が来たら可能な限り丁寧な言葉で答えてくれれば問題ない。」
ライムはどうやら俺の心の声が聞こえたようで、何も言っていないにもかかわらず俺にアドバイスをくれた。そうしている間に俺たちはバースデー邸の門の前までやってきていた。
ライムが門番に話しかけようとすると、その奥で馬車を洗っていた使用人が突然走ってきた。
彼はどうやら俺のことを見てこちらに向かってきたようで、特に心当たりもないのだが無性に不安になった。
「これはこれはアルト様!その節は大変お世話になりました!セイリウム様もアルト様に直していただいた魔導騎馬を大変興味深そうにご連になられてましたよ!」
俺はその声を聴いて、彼がこの町に向かう途中に修理した魔導騎馬の御者であったことを思い出した。
「お久しぶり…でもないですね。今日はバースデー侯爵に用事があってきたんですけど、いらっしゃいますかね?」
「セイリウム様は今作業場にいらっしゃいます。ご案内しましょうか?」
「お願いします。」
その使用人について俺たちはバースデー邸の中に入った。バースデー邸はとんでもなく広く、敷地の中に公園が何個も作れそうなくらいの広さがあった。
そんな広大な敷地を歩きながら、美しく整えられた植物たちを眺めながら、あることに気が付いた。植物の成長度合いをある程度制御するための魔道具、スプリンクラーや疑似太陽光の魔道具の質が市販のものとは比べ物にならないほど素晴らしいものばかりだった。
俺はその魔道具たちを見ながら、本当に素晴らしい観察眼を持っている人なんだろうなと思った。
しばらく歩いていくと、とても大きなレンガ造りの大きな建物が見えてきた。
「あれがセイリウム様がよく利用されている作業場です。あの中で鍛冶、鋳造、精錬、錬金、木工、魔道具などの作業をされています。最近は魔道具の制作ばかりされてますね。」
使用人が俺たちに丁寧に説明してくれる。そのまま作業場に入っていく。中は本当にいろいろな工作機械が並んでおり、俺のテンションもひそかに上がっていった。
「セイリウム様、お客様です。お嬢様のお話されていたアルト様がいらっしゃいました。」
「本当かい!?」
使用人が中にいる作業服を着たあまり高貴には見えない男性がこれまた高貴には見えない話し方で俺たちのいるほうへ向かってきた。
「いやぁ、こんな汚い格好でごめんねー。僕がこの町の領主のセイリウム・バースデーだよ。君があのアルト・ロゼンタールかい?」
「はい、おれ、私がアルトです。」
「あー、僕の前では敬語は使わなくていいよ。そーゆーの苦手だから。」
「分かりました。普段道理に話しますね。」
俺はあまりにフランクな対応をされて思わず戸惑ってしまう。ほかのみんなも同じようで、どういった
反応をすればいいのかわからないようだった。
「それで、今日はどうしたの?」
「実は…」
さっきマリアに聞いた話をしっかりと漏れがないように伝える。俺の話が進んでいくにつれてセイリウムの顔はどんどん真剣なものになっていったが、話が終わると、またさっきと同じような表情に戻った。
「なるほどねぇ、それは大変だ。それで、君の意見を聞いてみたいんだけれど、相手の大本はどんなだと思う?」
セイリウムが唐突に問いかけてくる。俺はここに来るまでの間に思いついた考察を話す。
「多分、これは魔物の暴走ではないと思います。その証拠に、ゴーレムの中の基盤にとても知識がない魔物ができるような細工ではないものが施されていました。おそらくは、とんでもない技術を持った人間がいると思います。」
「君もそう思った?僕も実は話を聞きながら考えたんだけれど、そもそも魔物の暴走なら、明らかに圧倒的強者しかいない信託の騎士の末裔の集落は避けて通ると思う。それに、ただの魔物の群れなら、里は壊滅なんかしないと思ったんだよね。」
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