24 / 65
Ⅳ.追う者、追われる者
戦いに赴く
しおりを挟む
「入り口の修理費と、掃除費用をきっちり置いていってくれれば、文句は言いませんよ」
グラスを磨きながら、恐ろしい程にやんわりと、ログランドは言い放つ。
それにケイオスとゼオンは、先程とは別な意味で再度怯んだ。
「…それに迷惑料をプラスすればいいのか?」
「話が早いですね」
ログランドは極上の笑みを浮かべる。
「さすが、組織一の業突張りにして、S気質…」
ケイオスの背後で、何気なくゼオンが呟いたその途端。
ゼオンの頬を掠めるようにして、食事用ナイフが壁に突き立った。
…ゼオンがそれに気付いたのは、ナイフが音と共に壁に突き刺さった後。
その飛んできた経緯を眺めるようにして、ゼオンは視線をナイフに向け、そしてログランドへと流れを戻した。
「何か言いましたか? ゼオン」
「…いや、こちらの言葉の綾だ…」
結果的にゼオンはそう言うことしか出来ない。
それにユイは、さすがにうんざりしたように溜め息をついた。
「今更分かりきっていることはどうでもいい。
戦う気があるのなら、すぐに外に出ろ」
「!よほど死に急ぎたいらしいな…」
ケイオスが興味深そうに目を細めた。
その瞳には言うまでもなく残虐性がある。
その様子を一瞥の元に見定めたユイは、先に立つ形で店の裏側…
つまり、路地裏に向かった。
そんなユイに、セレンは不安げな、ひとりで留守番を任された子供のような目を向けた。
その目に映った寂しさと、ユイに対する縋の感情を悟り、ヴァルスはユイを追いつつも、扉の所で振り返りがてら、安心させるかのように笑顔で「大丈夫」と呟く。
そこで初めてセレンの目から、不安の色が緩和された。
セレンはまるで祈りそのものをヴァルスに捧げるかの如く、視線を戻すと、カウンターに両肘をつく形で両手を組む。
「お願い…ヴァルス。ユイを守って…」
その両手は、感情を抑え堪えようとしているのだろうに、あまりの心労から理性が反映されず、僅かに震えている。
「……」
そんなセレンに、ヴァルスは一時、いたたまれなさそうに目を伏せたが、やがてそれを消失させると、
「…大丈夫、ユイは強いよ。
もしかしたら守られるのは…俺の方かもね」
…安堵させるようにか、それとも本心からか…
そう意味ありげに呟いたヴァルスは、大破した扉の先に姿を消した。
勿論、そんなユイとヴァルスの二人を訝しげに見たケイオスとゼオンの二人も、それに続いた。
グラスを磨きながら、恐ろしい程にやんわりと、ログランドは言い放つ。
それにケイオスとゼオンは、先程とは別な意味で再度怯んだ。
「…それに迷惑料をプラスすればいいのか?」
「話が早いですね」
ログランドは極上の笑みを浮かべる。
「さすが、組織一の業突張りにして、S気質…」
ケイオスの背後で、何気なくゼオンが呟いたその途端。
ゼオンの頬を掠めるようにして、食事用ナイフが壁に突き立った。
…ゼオンがそれに気付いたのは、ナイフが音と共に壁に突き刺さった後。
その飛んできた経緯を眺めるようにして、ゼオンは視線をナイフに向け、そしてログランドへと流れを戻した。
「何か言いましたか? ゼオン」
「…いや、こちらの言葉の綾だ…」
結果的にゼオンはそう言うことしか出来ない。
それにユイは、さすがにうんざりしたように溜め息をついた。
「今更分かりきっていることはどうでもいい。
戦う気があるのなら、すぐに外に出ろ」
「!よほど死に急ぎたいらしいな…」
ケイオスが興味深そうに目を細めた。
その瞳には言うまでもなく残虐性がある。
その様子を一瞥の元に見定めたユイは、先に立つ形で店の裏側…
つまり、路地裏に向かった。
そんなユイに、セレンは不安げな、ひとりで留守番を任された子供のような目を向けた。
その目に映った寂しさと、ユイに対する縋の感情を悟り、ヴァルスはユイを追いつつも、扉の所で振り返りがてら、安心させるかのように笑顔で「大丈夫」と呟く。
そこで初めてセレンの目から、不安の色が緩和された。
セレンはまるで祈りそのものをヴァルスに捧げるかの如く、視線を戻すと、カウンターに両肘をつく形で両手を組む。
「お願い…ヴァルス。ユイを守って…」
その両手は、感情を抑え堪えようとしているのだろうに、あまりの心労から理性が反映されず、僅かに震えている。
「……」
そんなセレンに、ヴァルスは一時、いたたまれなさそうに目を伏せたが、やがてそれを消失させると、
「…大丈夫、ユイは強いよ。
もしかしたら守られるのは…俺の方かもね」
…安堵させるようにか、それとも本心からか…
そう意味ありげに呟いたヴァルスは、大破した扉の先に姿を消した。
勿論、そんなユイとヴァルスの二人を訝しげに見たケイオスとゼオンの二人も、それに続いた。
0
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる