†Break Guns†

如月統哉

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Ⅳ.追う者、追われる者

戦いに赴く

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「入り口の修理費と、掃除費用をきっちり置いていってくれれば、文句は言いませんよ」

グラスを磨きながら、恐ろしい程にやんわりと、ログランドは言い放つ。
それにケイオスとゼオンは、先程とは別な意味で再度怯んだ。

「…それに迷惑料をプラスすればいいのか?」
「話が早いですね」

ログランドは極上の笑みを浮かべる。

「さすが、組織一の業突張りにして、S気質…」

ケイオスの背後で、何気なくゼオンが呟いたその途端。
ゼオンの頬を掠めるようにして、食事用ナイフが壁に突き立った。

…ゼオンがそれに気付いたのは、ナイフが音と共に壁に突き刺さった後。
その飛んできた経緯を眺めるようにして、ゼオンは視線をナイフに向け、そしてログランドへと流れを戻した。

「何か言いましたか? ゼオン」
「…いや、こちらの言葉の綾だ…」

結果的にゼオンはそう言うことしか出来ない。
それにユイは、さすがにうんざりしたように溜め息をついた。

「今更分かりきっていることはどうでもいい。
戦う気があるのなら、すぐに外に出ろ」
「!よほど死に急ぎたいらしいな…」

ケイオスが興味深そうに目を細めた。
その瞳には言うまでもなく残虐性がある。

その様子を一瞥の元に見定めたユイは、先に立つ形で店の裏側…
つまり、路地裏に向かった。

そんなユイに、セレンは不安げな、ひとりで留守番を任された子供のような目を向けた。
その目に映った寂しさと、ユイに対する縋の感情を悟り、ヴァルスはユイを追いつつも、扉の所で振り返りがてら、安心させるかのように笑顔で「大丈夫」と呟く。

そこで初めてセレンの目から、不安の色が緩和された。
セレンはまるで祈りそのものをヴァルスに捧げるかの如く、視線を戻すと、カウンターに両肘をつく形で両手を組む。

「お願い…ヴァルス。ユイを守って…」

その両手は、感情を抑え堪えようとしているのだろうに、あまりの心労から理性が反映されず、僅かに震えている。

「……」

そんなセレンに、ヴァルスは一時、いたたまれなさそうに目を伏せたが、やがてそれを消失させると、

「…大丈夫、ユイは強いよ。
もしかしたら守られるのは…俺の方かもね」

…安堵させるようにか、それとも本心からか…
そう意味ありげに呟いたヴァルスは、大破した扉の先に姿を消した。


勿論、そんなユイとヴァルスの二人を訝しげに見たケイオスとゼオンの二人も、それに続いた。
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